ル・ルネサンスでは、次の時代を創る工業後波の生産・分配体制として、複合経済体制の構築が期待されます。
この目標を達成するために、とりわけ重視されるのが地球単位の互助機構、「グローバル・レシプロシティー:Global Reciprocity」の形成です。
地球上に生まれた、全ての人々が、国家という帰属制度を超えて、互いに助け合いながら、それぞれの人生達成を可能にする、新たな仕組みです。
世界中の全ての人間は全て対等で、生まれた時から亡くなる時まで基盤生活はあくまでも平等であることをめざします。国家や地域などで生まれる、さまざまな格差も乗り越え、日常的な暮らしを維持するための基本的な費用をベーシックインカムの形で授与するのです。
運営主体となるのは、国家という組織を超えたグローバルな互酬共同体(Global
reciprocal community)であり、さまざまな形で財源を確保していきます。主な事例を挙げておきましょう。
①地球人同志間の寄付や寄贈などを基盤に、贈与や遺贈、あるいは企業や団体からの献金などが想定されます。 ②出自による格差を縮小するため、富裕層の遺産や遺物などは、できるだけこの共同体へ遺贈します。 ③先進的な企業もまた、その存在自体が社会的な貢献を目ざすものだという視点から、収益の一部を出捐していきます。 |
以上のような基金を財源にしたベーシックインカムを毎年、世界中の人々に向けて、国籍を問わず、公平に分配していきます。
まったく新たな仕組みですから、一度に地球単位のコミュニティー形成は困難かとも思われます。まずは幾つかの機構が国家や地域を超えて形成され、徐々に世界単位へ統合されて行くことになるか、と思います。
なにやら途方もない目標のようですが、決して夢ではありません。先端的な起業家もまた、同じような構想をすでに企画しています。
例えば生成AI、チャットGPTの開発者で、代表去就問題で注目を集めたオープンAI社のサム・アルトマン・CEO(最高経営責任者)も、2021年に書いたツイートの中で、地球上のすべての人に仮想通貨を無料で配るプロジェクト構想を述べています。
「ワールドコイン」と名付けられた電子通貨を配布するものですが、「AIが最低限の生活費を稼ぐようになったら、人間は本当に自分のやりたいことに向き合え、理想を追い求められる」とも語っています。
このプランでは、資金の回収と配布の主体を国家とし、財源回収を税制度改定によるものとしている点などで、なお課題が残ると思われます。
とはいえ、グローバル・レシプロシティー構築への一つの挑戦として、その実現が決して夢ではないことを示しています。