ル・ルネサンスの進むべき生産・分配体制は、市場交換・互酬・再配分・家政の諸制度がほどよくバランスした「複合社会」をめざすべきだ、と述べてきました。
複合社会とはどのようなものなのか、これについては何度も取り上げています。
生産・交換制度の未来を読む!(2015年9月14日)
家政・互酬・再配分・交換の比重は変わる!(2015年9月29日)
互酬性を再建する!(2015年10月3日)
複合社会へ向かって!(2015年10月15日)
要するに、次の人口波動、工業後波の生産・分配体制は、現在の市場交換と再配分:福祉国家の比重を緩めて、互酬や家政の比重を回復させるべきだ、ということです。
【互酬性を再建する!】では、次のように述べてきました。
●破壊された共同体の再建・・・家族や親族、村落や町内会などの共同体を改めて支援し、保護・育成する。 ●新しい共同体の構築・・・ハウスシェアリングやルームシェアリングなどのシェアリング家族、老齢者や単身世帯などが相互支援を前提に一緒に居住するコレクティブ家族、緊急時の共同対応や生活財の共同購入などを行なうマンション共同体、共同で農業を営む新農業共同体など、新たな共同体を積極的に育成していく。 |
こうした対応に加え、今回新たに提案するのは、国家という共同体を超えて、地球規模で互いに助け合う機構、「グローバル・レシプロシティー:Global Reciprocity」の構築です。
この言葉は筆者の造語ですが、「International:国際的」でも、「Universal:宇宙的」でもなく、あくまでも「Global:地球的」な互助機構を意味しています。
現在の工業現波(=工業前波)の世界では、科学という分析・分散型時代知のもとに、国家という共同体が個々人の生命・生活保障を担ってきました。国防はもとより福祉制度もまた、国家単位で行われています。地球単位であっても「国際連合:United Nations」と名乗るように、「国家:Nation」が前提になっています。
しかし、ラストモダンの社会では、国家という機能の限界が目立ち始めています。国境紛争や経済破綻などはもとより、福祉国家や強権国家などという形態もまた、制度そのものの脆弱性を示し始めています。
とすれば、工業前波を超える工業後波では、国家という機能は残しつつも、国家を超える共同体の構築が求められるでしょう。
その一つが「グローバル・レシプロシティー」だと思います。
昨今、さまざまな形で注目を集め始めていますが、どのような機構なのか、次回から考えてきます。
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