ル・ルネサンスでは、生産・分配制度、つまり経済構造についても、根本からの再編成が求められます。
まずめざすべき目標を考えてみましょう。
ウィーン出身の経済人類学者、K・ポランニーによると、人類が歴史的に創り出してきた生産・分配制度には、家政、互酬、再配分、交換の4つがあり、これらの制度をほどよくバランスさせた「複合社会(complex society)」こそ望ましい、と述べているようです(【K.ポランニーの複合社会論を応用する!】。
こうした視点を、今後の社会の向かうべき生産・分配制度に当てはめてみると、企業や資本家だけが闊歩する市場交換制度、社会主義国家や福祉国家のような再配分至上制度、家族や集落の相互扶助だけに頼る互酬中心制度、個人や家族内だけで生産・消費する家政主導制度の、いずれの一つに偏るのではなく、4つの制度を4つとも存続させながら、それぞれのバランスをとっていくという方向が浮かんできます。
あるいは、移りゆく時代の変化に応じて、組み合わせの比重を変えたり、それぞれの内容を微妙に変換していくという方向も考えられます。
昨今、経済制度の改革案として、コモンズ再生やポスト資本主義などが囁かれ始めていますが、それらを実現していく場合にも、4つの制度のバランス化が課題となるでしょう。
そうなると、今後の社会が市場交換、互酬、再配分、家政の諸制度のほどよくバランスした「複合社会」へ向かって行くには、3つの調整が必要になってきます。
❶市場交換の縮小に比例して、適度に他の3領域を広げること ❷再配分の適正化に応じて、税金や社会保障などの規模を見直すこと ❸互酬制の拡大に応じて、贈答、贈与、寄与などの社会的意義を重視すること |
以上のように、次の人口波動を生み出すためには、より複合化の進んだ生産・分配制度が期待されます。
果たしてその実現は可能なのでしょうか? あるいは、さらに実現性の高い代替案はあるのでしょうか?
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