2023年12月22日金曜日

グローバル・レシプロシティーをめざして!

ル・ルネサンスでは、次の時代を創る工業後波の生産・分配体制として、複合経済体制の構築が期待されます。

この目標を達成するために、とりわけ重視されるのが地球単位の互助機構、「グローバル・レシプロシティー:Global Reciprocity」の形成です。

地球上に生まれた、全ての人々が、国家という帰属制度を超えて、互いに助け合いながら、それぞれの人生達成を可能にする、新たな仕組みです。

世界中の全ての人間は全て対等で、生まれた時から亡くなる時まで基盤生活はあくまでも平等であることをめざします。国家や地域などで生まれる、さまざまな格差も乗り越え、日常的な暮らしを維持するための基本的な費用をベーシックインカムの形で授与するのです。

運営主体となるのは、国家という組織を超えたグローバルな互酬共同体(Global reciprocal communityであり、さまざまな形で財源を確保していきます。主な事例を挙げておきましょう。



①地球人同志間の寄付や寄贈などを基盤に、贈与や遺贈、あるいは企業や団体からの献金などが想定されます。

②出自による格差を縮小するため、富裕層の遺産や遺物などは、できるだけこの共同体へ遺贈します。

③先進的な企業もまた、その存在自体が社会的な貢献を目ざすものだという視点から、収益の一部を出捐していきます。

以上のような基金を財源にしたベーシックインカムを毎年、世界中の人々に向けて、国籍を問わず、公平に分配していきます。

まったく新たな仕組みですから、一度に地球単位のコミュニティー形成は困難かとも思われます。まずは幾つかの機構が国家や地域を超えて形成され、徐々に世界単位へ統合されて行くことになるか、と思います。

なにやら途方もない目標のようですが、決して夢ではありません。先端的な起業家もまた、同じような構想をすでに企画しています。

例えば生成AI、チャットGPTの開発者で、代表去就問題で注目を集めたオープンAI社のサム・アルトマン・CEO(最高経営責任者)も、2021年に書いたツイートの中で、地球上のすべての人に仮想通貨を無料で配るプロジェクト構想を述べています。

ワールドコイン」と名付けられた電子通貨を配布するものですが、「AIが最低限の生活費を稼ぐようになったら、人間は本当に自分のやりたいことに向き合え、理想を追い求められる」とも語っています。

このプランでは、資金の回収と配布の主体を国家とし、財源回収を税制度改定によるものとしている点などで、なお課題が残ると思われます。

とはいえ、グローバル・レシプロシティー構築への一つの挑戦として、その実現が決して夢ではないことを示しています。

2023年12月12日火曜日

ル・ルネサンス:地球的互助機構へ向かって!

ル・ルネサンスの進むべき生産・分配体制は、市場交換・互酬・再配分・家政の諸制度がほどよくバランスした「複合社会」をめざすべきだ、と述べてきました。

複合社会とはどのようなものなのか、これについては何度も取り上げています。

生産・交換制度の未来を読む!2015914日)

家政・互酬・再配分・交換の比重は変わる!2015929日)

互酬性を再建する!2015103日)

複合社会へ向かって!20151015日)

要するに、次の人口波動、工業後波の生産・分配体制は、現在の市場交換と再配分:福祉国家の比重を緩めて、互酬や家政の比重を回復させるべきだ、ということです。


とりわけ、互酬制度の拡大が必要だと思います。

互酬性を再建する!】では、次のように述べてきました。

破壊された共同体の再建・・・家族や親族、村落や町内会などの共同体を改めて支援し、保護・育成する。

新しい共同体の構築・・・ハウスシェアリングやルームシェアリングなどのシェアリング家族、老齢者や単身世帯などが相互支援を前提に一緒に居住するコレクティブ家族、緊急時の共同対応や生活財の共同購入などを行なうマンション共同体、共同で農業を営む新農業共同体など、新たな共同体を積極的に育成していく。

こうした対応に加え、今回新たに提案するのは、国家という共同体を超えて、地球規模で互いに助け合う機構、「グローバル・レシプロシティー:Global Reciprocity」の構築です。

この言葉は筆者の造語ですが、「International:国際的」でも、「Universal:宇宙的」でもなく、あくまでもGlobal:地球的」な互助機構を意味しています。

現在の工業現波(=工業前波)の世界では、科学という分析・分散型時代知のもとに、国家という共同体が個々人の生命・生活保障を担ってきました。国防はもとより福祉制度もまた、国家単位で行われています。地球単位であっても「国際連合:United Nations」と名乗るように、「国家:Nation」が前提になっています。

しかし、ラストモダンの社会では、国家という機能の限界が目立ち始めています。国境紛争や経済破綻などはもとより、福祉国家や強権国家などという形態もまた、制度そのものの脆弱性を示し始めています。

とすれば、工業前波を超える工業後波では、国家という機能は残しつつも、国家を超える共同体の構築が求められるでしょう。

その一つが「グローバル・レシプロシティー」だと思います。

昨今、さまざまな形で注目を集め始めていますが、どのような機構なのか、次回から考えてきます。

2023年12月3日日曜日

ル・ルネサンス:複合経済制を準備する!

ル・ルネサンスの進むべき生産・分配体制も、市場交換・互酬・再配分・家政の諸制度がほどよくバランスした「複合社会」をめざすべきだ、と述べてきました。

そうだとすれば、工業後波の新たな社会知の方向に従って、生産・分配体制にも、次のような3つの大転換が求められるでしょう。



①言語機能:分節化から合節化へ

極端な市場・政府依存を脱し、互酬や家政の再構築によって、経済構造のバランス化をめざします。

肥大化した市場交換を、租税バランスの変更や共同体的統制の強化などで、極力抑制していくとともに、再配分、互酬、家政の3領域をできるだけ強化していく。

負荷の増加する再配分制度を見直し、税収規模や社会保障構造などの、適正な規模を作り出していく。

互酬制を拡大させるため、地域社会や地縁共同体など伝統的共同体の再建や、シェアリング家族やコレクティブ家族など新型共同体の構築を、多面的に支援していく。さらに地球単位の互助組織、「グローバル・レシプロシティー」(後述)を拡大し、国家による再配分の比重を緩和する。

家政の自給自足力を高めるため、農・漁業自営者、独立系生活者など、自立的な生活民に向けて育成や支援を行う。

市場、再配分、互酬、家政の4領域をそれぞれ深化させるとともに、4つを連携・協調させるような、統合的な仕組みを構築していく。

②数値機能:数値絶対化から数値相対化へ

数量的な指標を優先する視点から、量と質の調和をめざす視点へ、行動視点の転換を図ります。

経済統計や株価指標などに拘泥する社会・経済運営から脱却し、さまざまな現象の示す数値以外の情報や動静を、より全体的に把握できるような観察・運営行動を拡大する。

経済実態とかなり乖離しつつある貨幣指標や株価指標などを修正するため、経済事象をより多角的に把握できる、新たなシンタックス(統辞法)とそれに基づく指標を作り出していく。

③把握機能:システム化からストラクチャー化へ

点と線による効率優先の生産・分配方式から、面と面を重ねて、中身を濃くするような生産・分配方式への転換をめざします。

システムの主導する市場交換や、システムとストラクチャーの混在する再配分には、ストラクチャーの強化を計る。

❷非システム的な互酬と家政には、新たなストラクチャーの構築や強化を進めていく。

❸市場交換のシステム化を他の領域に強引に押し広げるのではなく、4つの領域を構造的に連携させるような、包括的な運営方式を創り出していく。

かなり抽象的な行動目標となりましたが、要約すれば、圧倒的な市場交換中心経済から、生活民一人一人が自立性を再構築できる生産・分配制度へ向かって、数量的な指標を優先する行動視点から、量と質の調和をめざす行動視点への転換を図りつつ、点と線による効率優先の生産・分配方式を、面と面を重ねて中身を濃くする生産・分配方式へと移行させるなど、構造的な転換を推進していく、ということです。