ル・ルネサンスでは「統合科学(Omni-science:オムニシェンス)」という知性によって、倫理・使命感を持った「集約的・統合的構造性」という社会知が形成され、グローバル化、国家機構、生産・分配制度などの修正が準備されることになります。
今回は、国家機構への影響を考えてみます。
現代社会では国家機構、つまり政治・統治制度においても、その限界が目立ち始めています。
とりわけ、多くの国家が採用している間接民主制については、❶制度固定化による無力感や不信感の増加、❷政党選挙制による個別意見の排除、❸代議制による政治的無関心の拡大、❹投票者は政策内容・実施状況の検証・理解が困難、❺選挙活動における利益誘導や投票誘導などの不正など、さまざまな欠陥が露呈しています。
これらを修正し、次の時代にふさわしい政治・統治制度へ進んでいくには、どうしたらよいのでしょうか。
この課題についても、統合科学の社会知の特性、つまり①分節化から合節化へ、②数値絶対化から数値相対化へ、③システム化からストラクチャー化へ、という視点に立つと、幾つかのアイデアが浮上してきます。
まずは政治制度について、次のような方向が考えられます。
①【分節化➡合節化】を実現するには、【間接制度中心➡直接・間接整合化】が求められます。
❶IT化による選挙方式の導入……現在の直接投票唯一制に、パソコンやスマホなどで個人認証を徹底化したIT投票制を加え、投票率の拡大を図る。 ❷個別政策別意思表示法の導入……政党主導型政策選定に加え、重要な個別政策については、国民自身がその是非を選べる投票制度を導入する。 ❸議員任期・回数限定制の導入……議員の固定化・職業化を脱するため、任期や回数などの制限を導入し、議員の流動化・多角化を図る。 |
②【数値絶対化➡数値相対化】へ向かうには、【多数決絶対化➡多様意見整合化】を検討することが必要です。
❶多数決+異見調整方式の導入……多数決を前提にしつつも、投票の事前事後に反対意見との調整を図る機会を拡大し、合意形成の上昇を図る。 ❷少数意見探索・組み込み方式の導入……政策案の立案に際しては、主導意見だけでなく、少数意見や反対意見なども広く収集し、効果・逆効果、利益層・不利益層などを明示したうえで、議会への提案を図る。 |
③【システム化➡ストラクチャー化】へ転換するためには、【網の目的政治➡風呂敷的政治】を目指すことが求められます。
❶代議制+直接投票制による関心拡大……重要な個別政策については、国民の直接投票制をいっそう拡大し、政治課題への参加拡大を促す。 ❷社会的課題の網羅的抽出……国家の取り組むべき社会的課題については、利害関係者や主要関心者の意向だけをくみ取るだけでなく、その背後や影響にまで広く目を配った、統合的な政策提案をめざす。 ❸課題解決策の多様な提案……新たな社会的課題に取り組むには、合理的な解決策に加えて、非合理的にもかかわらず合意形成が可能な方策なども提示し、一面的な提案から多面的な提案への転換を図る。 |
以上のように、今後の政治制度では、現在の間接民主制を継承しながらも、国民の参加をいっそう可能にするような、幾つかの修正を加えていくことが求められるでしょう。
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