ル・ルネサンスでは、国家機構、つまり政治・統治制度においても、根本からの見直しが求められます。
前回の政治制度に続いて、今回は統治制度の修正方向を展望してみましょう。
政治制度が国民の合意形成を図るための制度だとすれば、統治制度は合意形成された方策を実現していく制度です。一般には、行政機能や執行機能を意味しています。
この課題についても、①分節化から合節化へ、②数値絶対化から数値相対化へ、③システム化からストラクチャー化へ、という視点に立って、幾つかのアイデアを検討してみましょう。
①言語機能・・・【分節化➡合節化】を実現するため、【間接制度中心➡直接・間接整合化】が求められる。
❶超省庁的課題への対応拡大・・・工業前波の社会的課題を大きく超えた諸問題(脱福祉国家、地球単位の互助組織の進展など)の拡大に伴って、従来の固定的な行政分野では対応できなくなるケースが増えてくるため、超省庁的な新組織の設定と運営を柔軟に行っていく。 ❷専門省庁と課題別チームのバランス化・・・超省庁的な新組織の拡大で、従来の専門別省庁との間に新たな連携方式を形成し、それによって省庁の既存運営方式を大胆に改良・修正していく。 ❸公務員・民間人交換制の導入・・・工業後波の進行に伴って、次々発生する、新たな社会的課題に対応するため、斬新な発想力のある民間人を統治分野に参加させるとともに、統治能力の高い公務員を経済・社会分野に転出させ、両者の合力化を可能にするような、新たなジョブ型雇用制をめざす。 |
②数値機能・・・【数値絶対化➡数値相対化】へ向かうため、【多数決絶対化➡多様意見整合化】を検討する。
❶数値統計+非数値情報による判断拡大・・・情意のバランスのとれた統治制度を実現するため、さまざまな社会・経済事象を把握する時には、数量・計量的把握に加えて、民意・世論・世相・風潮など超数値的な情報把握に努め、両者の統合をめざす。 ❷統計少数値への肯定的理解の拡大・・・統計的には少数であるマイノリティーに対しては、極力その意見を収集・分析し、多数派意見との調整を図る。 |
③把握機能・・・【システム化➡ストラクチャー化】へ転換するため、【網の目的統治➡風呂敷的統治】を目指す。
❶超省庁的政策課題の発見・提案拡大・・・工業後波の社会的課題は、従来の省庁的視点を大きく超えているため、専門的・ネットワーク的なアプローチに留まらず、より視野を広げた、多角的・ラッピング的なアプローチによる発見や提案が求められる。 ❷政策課題への超省庁的対応拡大・・・個々の政策課題への対応についても、先例・慣例重視の専断的担当を見直し、常に省庁を超えた、横断的な対応の可能性を探っていく。 |
以上のように、制度改革の基本的な方向を挙げてきましたが、工業後波の統治制度においては、工業前波の専門的統治制度を継承しつつも、省庁の固定的な役割を大きく超えていくような、幾つかの修正が必要になるでしょう。
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