2021年11月22日月曜日

SDGsは人口抑制装置の作動だ!

国連のSDGsが目ざす持続可能(Sustainableとは、地球の人口容量を90億人程度で維持しつつ、世界人口を2055年頃の88億人をピークに、以後は2080年の83億人から2100年の73億人へと減少させていく(国連予測・低位値)ことではないか、と述べてきました。

要するに、SDGsとは、人口容量の持続と世界人口の減少という両面を目ざすものだ、といえるでしょう。

いいかえれば、人口容量は持続可能(Sustainableにするものの、世界人口は持続不可能(Unsustainableにする、ということです。


一見矛盾するかのように思われるかもしれません。
それにもかかわらず、国連がSDGsという言葉を喧伝するのは、その真意はともかくも、人口容量という限界に直面した時、人類が採用する、無意識的な反応のせいではないでしょうか。

人類はもとより、あらゆる生物は生存できる環境の上限、つまり環境容量(Carrying capacityの限界に近づくと、自ら個体数を抑制する行動、つまり個体数抑制装置を作動させるからです。

その実例については、このブログで度々紹介してきました。

個体数抑制装置とは何か

昆虫の個体数抑制行動

魚類も個体数を抑制している

鳥類の個体数抑制行動を探す!

哺乳類はなぜ増えすぎないのか?

個体数抑制行動には4つのパターンがある

人類の場合も同様で、人口が人口容量Population capacityの限界に近づくと、人口抑制装置を作動させます。

もっとも、人類の場合は、生得的(遺伝的)な抑制行動に加えて、文化的な抑制行動を行っていますから、人類の人口抑制装置は、生物的(=生理的)次元と人為的(=文化的)次元の二重構造になっているのです。

この件についても、このブログで度々紹介しています。

人間もまた個体数抑制をしている!

人間の人口抑制装置は二重のしくみを持っている!

人為的抑制装置には3つの次元がある!

人口抑制装置が作動する時

以上のように見てくると、国連のSDGsとは、その意図に関わらず、地球の人口容量の限界に直面した人類が、破滅的な終末を避けるため、予め人口を抑制していこうとする対応といえるのではないでしょうか。

2021年11月13日土曜日

SDGsは人口容量の持続と世界人口の低下を目ざす!

国連のSDGsSustainable Development Goals)に掲げられた17の目標が、世界の人口動態にどのような影響を及ぼすのか、国連の説明に従って、そのインパクトを考えています。

前回は前半の7目標について考えましたので、今回は後半の10目標を検討します。

8.経済成長と雇用・・・「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」

各国の状況に応じ、一人当たり経済成長率を持続させるため、高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどで、多様化、技術向上および技術革新を通じた高いレベルの経済生産性を達成すると、人口容量が維持される傾向が強まりますが、その一方で生活水準の上昇による自己実現願望の上昇出生率が低下し、人口は減少します。

9.インフラ・産業化・イノベーション ・・・「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」

が高く信頼できる持続可能かつ強靭な地域・越境インフラなどのインフラを開発し、すべての人々の安価なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援し、2030年までに各国の状況に応じて雇用および国内総生産 (GDP) に占める産業セクターの割合を大幅に増加させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

10.不平等・・・「各国内及び各国間の不平等を是正する」

2030年までに年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々のエンパワーメント、および社会的、経済的、および政治的な包含を促進するため、 差別的な法律、政策、および慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正すると、人口容量は安定化しますが、自己実現願望の上昇で出生率が低下し、人口は減少します。

11.持続可能な都市・・・「包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する」

2030年までに、すべての人々に適切、安全かつ安価な住宅および基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善したり、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者などに、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

12.持続可能な消費と生産 ・・・「持続可能な生産消費形態を確保する」

2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成し、小売・消費レベルにおける一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

13.気候変動・・・「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」

すべての国々で気候変動に起因する危険や自然災害に対する強靭性および適応力を強化し、 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込むと、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

14.海洋資源・・・「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」

2025年までに、陸上活動による海洋堆積物や富栄養化をはじめ、あらゆる種類の海洋汚染を防止して大幅に減少させ、 2020年までに海洋および沿岸の生態系の強靭性強化や回復取り組みなどを通じた持続的な管理と保護を行って、大きな悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

15.陸上資源・・・「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」

2020年までに、国際協定下の義務に則って、森林、湿地、山地、および乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系およびそれらのサービスの保全、回復、および持続可能な利用を確保し、あらゆる種類の森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊の阻止や劣化した森林の回復で、世界全体で植林と森林再生を大幅に増加させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

16.平和・・・「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」

あらゆる場所において、すべての形態の暴力および暴力に関連する死亡率を大幅に減少させ、子どもに対する虐待、搾取、人身売買およびあらゆる形態の暴力および拷問を撲滅すると、死亡率が低下し、人口は増加します。

17.実施手段・・・「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」

課税および徴税能力の向上に向けた国際的な支援などを通じて、開発途上国の国内資源の動員を強化し、複数の財源から開発途上国のための追加的資金源を動員すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。 

以上で見てきたように、17目標の影響では、人口増加が5人口容量維持が10人口減少が6(ダブり2)ということになります。

とすれば、人口容量を持続Sustainable)しつつ、人口の幾分減る社会を目ざしている、といえるでしょう。

具体的にいえば、先に述べたように、地球の人口容量を90億人程度持続可能にしつつ、世界人口を7080億人へ近づけていくこと、つまり持続微減なのです。

2021年11月4日木曜日

SDGsで世界人口はどう変わるのか?

国連のSDGsSustainable Development Goals)が目ざす持続可能(Sustainable)とは、地球の人口容量を90億人程度で維持し、世界人口を低位値に近づけていくことだ、と述べてきました。

そこで、SDGsに掲げられた17の目標が、世界の人口動態にどのような影響を及ぼすのか、国連の説明に従って、そのインパクトを考えてみましょう。

まずは前半の7目標について。

1.貧困・・・「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

2030年までに極度の貧困を世界中で終わらせると、一方では死亡率の低下で人口は増加し、他方では生活水準の上昇による出生率の低下で人口が減少するという、両面的な影響が現れます。

2.飢餓・・・「飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」

飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層や幼児を含む脆弱な立場にある人々が安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにし、若年女子、妊婦・授乳婦、高齢者の栄養需要に対処すると、死亡率が低下し、人口は増加します。

3.保健・・・「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」

2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減し、新生児や5歳未満児の死亡率を激減させると、死亡率が低下し、人口は増加しますが、生活水準が高まるにつれて、出生率が低下し、人口は減少します。

4.教育・・・「すべての人々へ包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果を得られる、無償かつ公正で質の高い初等・中等教育を修了できるようにし、すべての人々が男女の区別なく、質の高い技術教育・職業教育と大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにすると、自己実現願望の拡大で出生率が低下し、人口は減少傾向となります。

5.ジェンダー ・・・「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」

あらゆる場所ですべての女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、公共のサービス、インフラ、社会保障政策の提供や、世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を評価し、 政治、経済、公共分野のすべてのレベルの意思決定で、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保すると、結婚の延期や育児の敬遠などで出生率は低下し、人口減少が進みます。

6.水・衛生・・・「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」

2030年までに、すべての人々が安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成できるようにすると、衛生水準の上昇で死亡率が低下し、人口は増加します。

7.エネルギー・・・「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」

2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させ、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させると、人口容量の安定化によって、人口の維持される傾向が強まります。

以上のように、前半の7目標の影響では、人口増加が4つ、人口容量維持が1つ、人口減少が4つ(ダブり2項目)ということになりそうです。

後半は次回で。