工業後波の社会構造を展望するため、K.ポランニーの4制度説を、当ブログの人口波動説の視点から改めて振り返っています。
ポランニーの難解な論旨を筆者なりに理解すると、今後の生産・分配制度は、肥大化した市場交換を抑制しつつ、再配分、互酬、家政の諸制度をほどよくバランスさせた「複合社会(complex society)」へ徐々に進んでいくべきだ、ということでしょう。
この視点を前回紹介した【家政・互酬・再配分・交換の比重は変わる!】の歴史的推移に当てはめてみると、とりあえず生産・分配制度の新たな目標が見えてきます。
つまり、工業後波における生産・分配制度は、前波における福祉国家と市場経済制度への過度の比重を緩和して、4つの制度がバランスを回復する方向へ進む、ということです。
企業や資本家だけが闊歩する市場交換制度、社会主義国家や福祉国家のような再配分至上制度、家族や集落の相互扶助だけに頼る互酬中心制度、個人や家族内だけで生産・使用する家政主導制度の、いずれの1つに偏るのではなく、4つの制度を4つとも存続させながら、それぞれのバランスをとっていくという方向です。
あるいは、移りゆく時代の変化に応じて、その組み合わせの比重を変えたり、あるいはそれぞれの内容を微妙に変換していくこと、といってもいいでしょう。
こうした方向の具体的なイメージについては、筆者の別のブログ(生活学マーケティング)で展開している生活構成論(生活学)の立場から、すでに【複合社会へ向かって!】において詳細に検討していますので、今一度確認しておきます。
つまり、次の工業後波において、市場交換、互酬、再配分、家政の諸制度がほどよくバランスした「複合社会」に向かって行くべきだとすれば、3つの調整が必要になってきます。
|
昨今ではポストコロナ時代の経済制度改革として、コモンズ再生やポスト資本主義などが囁かれ始めていますが、それらを実現していくには、4つの制度のバランス化が必要なのだ、ということです。
以上のように、工業後波という新たな波動では、より複合化の進んだ生産・分配制度が期待されるのですが、果たして実現は可能なのでしょうか? あるいは、さらに実現性の高い代替案はあるのでしょうか?
0 件のコメント:
コメントを投稿