2024年4月12日金曜日

新たな生産構造を考える!

グローバル・レシプロシティーの構築プロセスを考えようとしていましたが、その前に「次の時代、工業後波の生産構造はどうなるのか?」とのご質問をいただきました。

ご指摘の通り、互助団体が動き出す前に、100年後、地球民の生活資源をどのように創り出していくのかが、まずは問われるべきでしょう。

そこで、ル・ルネサンスが目指すべき、新たな生産構造を考えてみます。

現代社会、つまり工業現波の生産構造の基本は、科学技術文明を応用した工業的生産形態です。農業・水産物から工業・製造物はもとより、サービス・情報に至るまで、ほとんどが工業技術をベースに生産されています。

となると、次の波動、工業後波の生産構造は、どのように変化していくのでしょうか。

筆者の提唱する「人口波動説」では、前波と後波の間には一定の継承・発展関係が存在する、と考えています。

世界の人口波動でみると、石器文明による石器前波と石器後波、農業文明による農業前波と農業後波において、生産構造には粗放と集約の関係が見られます。

人口波動の流れで読む!】に示したように、4つの波動は次のような生産構造を持っています。

●石器前波・・・旧石器と地縁・血縁による狩猟・採集生産

●石器後波・・・新石器+土器と地縁・集落による狩猟・採集・耕作生産

●農業前波・・・粗放農業と村落・町衆による粗放的農耕・牧畜生産

●農業後波・・・集約農業と都市・国家による集約的農耕・牧畜生産

このような関係を前提に、現在の工業現波を「工業」、次の波動「工業」と考えると、両者の間には次のような関係が予想できます。


工業前波・・・粗放的機械生産と企業・都市・国家による工業・農業等分業生産

工業後波・・・集約的機械生産と企業・都市・国家・新共同体による工業・農業等分業生産

より具体的にいえば、現在の生産構造を主導しているのは、企業という社会集団であり、それを支えているのは「資本主義」という経済原理です。 

これが工業後波になると、企業という集団と資本主義という主導原理はどのように変わっていくのでしょうか。

しばらくは、このテーマを考えていきます。

2024年3月21日木曜日

グローバル・レシプロシティー:互酬団体の構築ステップ

グローバル・レシプロシティーの構築については、【構築プロセスを考える!】でおおまかな手順を提案してきました。

最も基本となるプロセスは、❷互酬団体などの構築ではないでしょうか。

地球民一人一人の“互酬:Reciprocity”関係という以上、彼らがどのような形で互酬や互恵に関わっていくのか、が問われてきます。

全地球的な互酬グループの構築を最初から実現するのは、かなり困難と思われますから、まずは国境を越えた中小グループの構築が現実的でしょう。

基本的には、WEB上で結びついた人々が、国籍や居住地など超えて、それぞれ互酬グループを構築し、その責任においてベーシックインカムの供給体制を準備していく、という手順です。

その形態についても、幾つかの可能性が考えられます。

①地球民個人による組織化

最も基本的な対応は、地球民の一人一人がそれぞれ自らの選択によって、さまざまな互助団体を構築し、参加することです。

この団体では、参加者一人一人が互いに助け合うという関係を実現するため、ベーシックインカムの基金確保をめざして、さまざまな出資可能層に対し、交渉や要請などを担当していきます。

要請対象としては、資産家や遺産移譲者、企業家や起業家、さらには企業や各種団体などに対し、グローバル・レシプロシティーへの賛同と支援を求めていくことになります。

②個人+団体による組織化

互酬グループの構成員を個人に限らず、支援企業や団体などにも広げ、予め基金提供を要請するケースも考えられます。

資産家や遺産移譲者などの中には互助組織を設立するもの、あるいはAI(人工知能)や高機能ロボットなどの先端企業などの中には、獲得した利潤を社会的な貢献に向けようとするものも、かなり期待できるからです。

③社会貢献団体による組織化

個人レベルの組織を構築する前に、社会貢献をめざす団体を中核とする互助組織を構築し、その中へ個人レベルの参加を招くというケースも考えられます。

オープンAI社のサム・アルトマン・CEOが主導する「ワールドコイン」プロジェクトのように、地球上のすべての人に仮想通貨を無料で配るプロジェクト構想もあり、最先端企業家や団体の中には、すでに資金提供に協力するものも出現しているからです。


以上のように、グローバル・レシプロシティーを実現していくには、まずはさまざまな形での互助団体の形成を図りつつ、そのうえで段階的に統合化を図ることが現実的ではないでしょうか。

2024年3月5日火曜日

グローバル・レシプロシティー・・・この英語でいいのか?

グローバル・レシプロシティー(Global Reciprocityという言葉で、地球民全員の参加する互酬制度の構築を考えています。

これに対し、「この英語はすでに別の意味で使われている」とのご指摘がありましたので、WEB上で確かめてみました。

確かにアメリカでは、global reciprocityという言葉で.「相手国の市場開放の度合いに応じて、その相手国がアメリカから利益を得ることができるとする、アメリカの通商政策」を意味しているようです(現代人のカタカナ語辞典)。

なるほど、「相互主義: principle of reciprocity」という言葉自体は「外交や通商などにおいて、相手国の自国に対する待遇と同様の待遇を相手国に対して付与しようとする考え方」、あるいは「外国人の権利に関して、その外国人の本国が自国民に同等の権利を与えることを条件とする考え方」を意味しています(Wikipedia)。

またマサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボラトリーの研究報告「Detecting reciprocity at a global scale:地球規模での互恵性の検出」でも、「互恵性は、国民国家のようなより大きな人間の集合体間の安定した協力の根底にあるのでしょうか? 既存の研究では、少数の国別ペア間での互恵性に基づく協力しか検出されていません。我々は、力学系における相互影響を検出する新しい手法を、時間分解で記録する新しい大規模データセットに適用し、国際システムにおける多くの国ペア間の互恵性を検出しました。これらの相互ペアは、非相互のペアと比較して質的に異なる協力ダイナミクスを示すことを発見しました」(SCIENCE ADVANCES3 Jan 2018)と述べて、reciprocity国家間の課題だと見なしています。

これらの定義では、Global Reciprocityとは、国家間の互酬・互恵制を意味しており、地球民個々人の間の互酬・互恵制には未だ至っていないようです。

一方、ワシントン大学の学者や学生らが推進する「The Global Reciprocity Network」という組織もあります。この組織は「グローバルサウスの人々の知識を大切にし、高等教育、特に留学プログラムにおける不平等に立ち向かう教育者と活動家の国際的なネットワークです。私たちは公平なグローバルパートナーシップへの障壁を検討し、互恵性と知識交換の実践を構築します」と宣言しています。

この組織もまた、学生や学者など、主に教育面でのreciprocity実現を目標にしており、地球民一般にまでは届いていません。

以上のように、Global Reciprocityという英語は、国家間や教育面での互酬・互恵制を意味するものとして、これまでは使われてきました。

しかし、これらの延長線上で、国家から教育関係者へ、さらには一般の地球民へと、生活資源の互酬・互恵制を広げていくことは、決して無理ではないと思います。

そうした意味こそ、Global Reciprocityという英語の担うべき、本来の目標ではないでしょうか。

2024年2月26日月曜日

グローバル・レシプロシティー・・・構築プロセスを考える!

効果的利他主義の実践に向けて、先行的な事例を幾つか挙げてきました。

しかし、GR(グローバル・レシプロシティー:Global Reciprocityを実現していくには、これらの先例事象を参考にしつつ、さらに全体的、あるいは統合的な形成プロセスの構築が強く望まれます。どうすればいいのでしょうか。

基本的には急進するAI(人工知能)の応用を前提として、【グローバル・レシプロシティーを構想する!】において述べたような手順、つまり①機構の構築と自動運営、②分配記号の設定、③システム企画・開発、④運営方針、⑤運営管理者などの構築が求められます。

そこで、これらの項目を前提に、さらに具現化していくプロセスを考えてみると、図のような手順が考えられます。

全体の構成としては、新たな互酬団体の構築をめざして、AI活用による実践方式の開発を推し進め、価値=財源の収集と分配方法の詳細を構築して、全地球的な展開へと進展させる、というものです。

おおまかな検討内容を列記してみましょう。

❶AI技術を活用したGR実践方式の構築

最初に求められるのは、地球民一人一人が自主的に参加できる、国境を越えた互助組織の構築です。効果的利他主義者などの協調により、実践的な構成を進めるとともに、加速する生成AIを活用して、財源取集や適正分配などの実践と拡大に伴う、さまざまな運用実務を運営していきます。

❷互酬団体などの構築

◆互酬団体の基準設定と構築・・・全地球単位のGRを一挙に構築していくのはかなり困難ですから、まずは国境を越えた、さまざまな互酬団体の設立が必要です。

先行するGiveWellGiving What We CanGiving Pledgeなどの協力を得るとともに、新たな実践機構をグローバルレベルで構築していかなければなりません。

◆互酬団体の連結・統合化・・・幾つかの互酬団体が構築され、それぞれに加入した世界民に一定額のベーシックインカムが配布されるようになれば、個々の団体の行動を連携し、さらには団体そのものの統合が求められます。

❸価値・財源などの確保

◆価値・財源の収集制度の確立と共通化・・・ベーシックインカムとして配布する価値資源を蓄積していくには、個人レベルの互酬(寄贈や遺贈)、企業や団体レベルの寄贈、国家レベルの参加などが求められます。これには、先行する主体で実施されている、GiveWellの個人寄付、Giving What We Canの会員寄付、Giving Pledgeの資産家による寄贈と遺贈など、さまざまな手法を参考にしつつ、財源の確保をめざすことが求められます。

◆価値・財源の維持・増加体制の確立・・・地球民全体に対しベーシックインカムを永続的に供与していくには、個人や法人からの遺贈などに加えて、国家からも一定額の提供を求めることが必要です。

例えばWorldcoin構想では、高度な技術革新による、企業の収益増加に対する課税を強化し、その一定額をDRの財源にするという案も企画されており、その普遍化も検討すべきでしょう。

❹分配方式の整備

◆分配対象の基準設定・・・集められた価値・財源を、どのような世界民に対し、どのようなレベルと形式で給付していくか、とりあえずは幾つかの互酬団体別にそれぞれの給付・分配制度が実施されます。しかし、地球民全体に公平な給付を行うためには、標準的な給付制度の構築が必要になります。

先行する機構(GiveWellGiving What We CanGiving Pledgeなど)では、給付の対象を慈善団体などに設定していますが、GR機構では団体よりも個人への給付が基本方向となります。

◆分配方法の確立と共通化・・・給付制度の標準的モデルが形成されるとともに、さまざまな互酬団体への普及を広げ、給付方法の共通化を図ります。

ワールドコイン・プロジェクトが採用している、網膜スキャンによる配布システムなども参考になるでしょう。

❺GRの地球的展開

以上のような手順で、幾つかの互酬団体が価値・財源の確保を押し広げ、それぞれに参加する地球民への給付・分配を実施するようになると、次第に団体間のグループ化が進み始め、やがては地球民全体を少数の互酬団体がフォローするようになります。

現時点ではまったく予想もつかないGRの形成手順を、ひとまず大まかに展望してみました。

空想的な展望と見なされるかもしれませんが、人類が現在の工業前波を乗り越え、次の工業後波へ進むには、これこそが必須のプログラムなのです。

2024年2月16日金曜日

効果的利他主義、いかに実践していくか?

人口減少時代には、効果的加速主義よりも、効果的利他主義の方が有効ではないか、と述べてきました。

それを実証するかのように、効果的利他主義の進展に対応して、学者・研究者や企業家の中には、その実践に挑戦する動きが広がっています。

主な実践組織の動向を、Wikipediaなどを参考にして拾い挙げてみましょう。

Web上に多様な情報が流れていますので、必ずしも正確ではありせん。)


ギブウェル:GiveWell

2006年ころ、アメリカのヘッジファンドで働いていたホールデン・カーノフスキーとエリー・ハッセンフェルドが創設。

同じ1ドルでもっともよいことができる慈善団体を厳密に分析する組織

最も推奨する慈善団体には、年間9000万ドル以上の個人寄付が集まっている。

例えばフェイスブックの共同創設者の1人が創設した財団GoodVentures(潜在資産140億ドル)は、GiveWellのパートナーであるOpen Philanthropy Projectの助言を受けて、毎年2億ドル以上の助成金を配布している。

◆ギビング・ワット・ウィー・キャン:Giving What We Can

2009年、イギリスOxford大学の上級研究員トビー・オードや哲学准教授ウィリアム・マッカスキルらが、最も費用対効果の高い人に寄付することの重要性を強調し、会員が収入の少なくとも10%を最も費用対効果の高い慈善団体に寄付することを誓約する国際組織を立ち上げた。

20202月までに4,500人以上のメンバーに成長し、慈善団体に15億ドル以上を寄付している。

◆ギビング・プレッジ:Giving Pledge:寄付誓約宣言

20106月、アメリカMicrosoft社会長、ビル・ゲイツ夫妻と投資家のウォーレン・バフェットが始めた寄付啓蒙活動で、資産家が生前もしくは死後に自身の資産の半分以上を慈善活動に寄付するという「プレッジ(誓約)」を宣言することで、富裕層の寄付行為を促そうとする運動。

1年足らずで、67人の米国のビリオネア(1,100億円以上の資産がある人)を仲間に引きいれ、慈善事業に彼らの資産の多くを寄附するよう約束させる事に成功。

2016年までに142に増え、参加国も米国だけではなく、ヨーロッパ、大洋州、アジア、アフリカなどにも広がっている。

ワールドコイン:WorldcoinWLD

2019年にアメリカOpenAI最高経営責任者サム・アルトマンが、物理学者のアレックス・ブラニアらと開発を進める資産分散プロジェクト。

オーブ(Orb」と呼ばれるボール状のデバイスで網膜をスキャンし、各人それぞれの虹彩の特徴をデジタルコードに変換することで個人を識別するWorld ID」を発行する。現在このスキャンは無料ででき、スキャンしたユーザーは現在無料の暗号資産「WorldcoinWLD)」を受け取れる。「WLD」の配布でベーシックインカムの実現も計画されている。

202110月、このプロジェクトは2,500万ドルを調達し、半年以内にさらに1億ドルを調達、トークン(交付証券)の価値は2024年1月、34億ドルにまで上がっている。

以上のうち、GiveWellGiving What We CanGiving Pledgeの3つは、個人や資産家から慈善団体への寄贈を勧めるもので、個人層への直接的な分配をめざすものではありません。

4番目のWorldcoinは、個人層へのベーシックインカム配布をめざしており、その点では先進的と言えますが、財源は電子貨幣への投資に基づくもので、相互扶助というにはやや無理があります。

とすれば、すでに始まっている資産分散システムは、本格的なグローバル・レシプロシティーというには、かなり遠い形態ではないでしょうか。

2024年2月3日土曜日

利他主義か加速主義か?

生成AIに代表される技術革新を、どのように社会進化に応用していくのか。この件については、さまざまな意見が飛び交っています。

前回述べたように、代表的な意見として、効果的利他主義Effective Altruism効果的加速主義(Effective Accelerationism)が、真っ向から対立しています。

前者の立場を敷衍すれば、AIやロボットなどの進歩で生産性が急拡大し、経済規模が拡大すれば、世界中の人々の最低限の生活費を賄うことが可能になるから、公平に分配する体制や制度の構築が求められる、ということでしょう。

一方、後者の立場は、技術革新の急進で経済規模が拡大すれば、自由市場がさらに進展し、資本主義をさらに加速させるから、その成果を応用すれば、さまざまな社会的課題を解決していくことができる、というものです。

どちらの意見に説得性があるのでしょうか。

AI関連企業の起業家や投資家などは、後者の支持者が多いようですが、よりマクロな展望を考察する研究者や技術者などでは、前者への関心が高いようです。

この差は、現在の世界が現在、どのような歴史的位置にあるのか、という視点の差異に起因するものと思われます。

これまで述べてきた人口波動の視点から見ると、世界の人口は間もなくピークに達し、その後は減少を続けると予測されています。科学技術文明によって生まれた人口容量が限界に達し、さまざまな人口抑制装置が作動するからです。

AIやロボットなどの進展で生産性が上がり、経済規模が維持できたとしても、環境問題の深刻化やグローバル化の限界などで、人口容量そのものは拡大できず、人口は減り続けます。

この視点に立てば、今後半世紀は従来の社会・経済構造もまた限界に達し、新たな方向を模索しなければならない時代、ル・ルネサンスへと移行していきます。

前回の人口減少期であった中世末期、ルネサンスの時代に生み出された活版印刷術が、宗教改革の素地を育み、産業革命の基盤となったように、情報化の進展は次の文明への橋渡しを意味しています。

生成AIに代表される高度情報化そのものが、文明の方向がすでに物質的拡大から情報的充実へ移行していることを示しているのです。



このように考えると、効果的加速主義現状維持・拡大に拘泥しており、人口減少への展望を欠いているのではないでしょうか。一方、効果的利他主義は、以上のような変革期を強く意識していると思われます。

そうだとすれば、効果的利他主義には、その具現化方向について、より強力な提案が期待されている、と思われます。

2024年1月19日金曜日

先端技術革新をいかに活用するか?

複合経済体制へ進展する、大きな課題としてグローバル・レシプロシティー(地球民互助機構:Global Reciprocity:GRを提案し、AIによる機構構築や運営方式などを展望しています。

この課題に関連する社会・経済学分野では、この20年ほどの間にさまざまな革新的提案が行われています。グローバル・レシプロシティーへの応用が可能なのかどうか、ひとまず確認しておきましょう。

最も代表的な提案として、効果的利他主義(Effective Altruism効果的加速主義(Effective Accelerationism)の2つを取り上げてみます。



まず概要を整理します。

効果的利他主義(Effective Altruism

●科学的な根拠に基づき、最大のインパクトを生み出す利他行為を実証的に発見し、その実現を目標に掲げるという主張であり、実践的コミュニティーとしても活動を始めている。

2000年代にイギリスの大学教授らが中心となって開始し、2011年には「効果的利他主義」という名称が作られた。

2009年ころから幾つかの非営利組織を創設、社会的に効果の高い「寄付」と「担い手選択」に関する広報やコンサルティング活動を行っている。

2017年には、アメリカのバークレーにも事務所を設立し、「効果的な利他主義センター(CEA」という名称で国際的な活動を行っている。

●すでに3,500人以上の人々が、同組織の誓約書に従って、最も費用対効果が高いと思われる団体に残りの人生で収入の10%以上を寄付し、合わせて15億ドル以上の生涯寄付を誓約している。

●現在では70以上の国々で、何万人かが効果的利他主義に賛同している。


効果的加速主義( Effective Accelerationism)

●技術革新によって加速される自由市場が、社会問題を解決する最も効果的な手段であると主張する立場である。

●効果的利他主義が、科学的な根拠に基づいて最大のインパクトを生み出す利他行為をめざすのに対し、効果的加速主義は技術を利用して資本主義をさらに加速させ、社会変革をめざす。

テクノロジーの進歩市場の成長こそが、さまざまな社会問題を解決できる方向だと考え、テクノロジー規制や脱成長論などに強く反対する。

2022年頃からTwitterX)などを通じて広がり、シリコンバレーの起業家や投資家の間で多数の支持者を集めている。

以上のように、急激に進む技術革新をどのように社会的課題へ応用するかについては、まったく異なる視点からの主張が展開されています。

GRの構築には、どちらの主張が有効なのか、さらに詳しく検討していきましょう。