ラストミドルをモデルに、コロナ禍によって今や始まろうとしているラストモダン、その約100年間を推定しようとしています。
ラストミドルでは、【ポスト黒死病=ラストミドルは革新準備の時代!】で述べたように、社会的な混乱と革新が並行的に進行していましたので、ポストコロナ=ラストモダンでも同じことが起こるのではないか、と思われます。
社会的混乱については、【ポストコロナ・・・揺れるグローバル化】以降で説明しましたが、グロ―バル化、民主主義制、市場経済制の3つが懸念されます。
今回からは社会的革新で、【ポストコロナは「ル・ルネサンス」へ!】での予告に従い、ル・ルネサンス、第5次情報化、統合型エネルギー化の3つを考えていきます。
最初は ル・ルネサンス。
「ル・ルネサンス」という言葉は、当ブログの造語ですが、元々のRenaissance(再生)がre(再)とnaissance(生きる)の合成語であるのを継承して、もう一度re(再)が訪れてRe-Renaissanceが開花するのでは、と予想しているのです。
元々のRenaissanceとは一体、何を「再生」したのでしょうか。
さまざまな意見がありますが、代表的なものでは「ルネサンスとはギリシア、ローマの古典文化を再生することにより、新たな世界観を生み出した運動」とされています。
当時の西欧社会は、ゲルマン民族の大移動で形成された封建制度と、それを支えるローマ教会の思想、つまり「神を絶対視し、人間を罪深いものとする」という観念で形成されていました。
そこで、ルネサンスは、こうした中世社会を「暗黒の時代」と見なし、古代ギリシアや古代ローマの学問・知識を復興することによって、人間性の自由を解放し、ヒューマニズムと個性の尊重という、新たな思潮を生み出そうとした、というのです。
そうはいうものの、当時の著作を振り返ってみると、それほど単純ではないようです。
なるほど、中期の詩人で人文主義者のペトラルカ(1304~1374年)は、古典古代の失われた時代を「暗黒時代」とよび、古典古代の時代こそが人間性が肯定されていた理想の時代と称え、同時期の詩人ボッカチオ(1313~1375年)もまた、代表作『デカメロン』の中で、聖職者を痛烈に批判したうえで人間の愛を称賛しています。 その一方、初期の詩人ダンテ(1265~1321年)は代表作『神曲』の中で、スコラ神学者トマス・アクィナス(1225―1274年)の神学体系に基づいて、ローマの古典文学とキリスト教による救済との調和をめざしており、また晩期にメディチ家のプラトン・アカデミーを主導したフィチーノ(1433~1499年)もまた、神話を天上の力の表現として貴び、その占星術的寓意的解釈に努めています。 |
とすれば、ルネサンスのめざしたものは、単なる人文主義の復権というより、神格尊重と人間自立のバランス化というのが正解ではないでしょうか。
もう少し視野を広げて、このブログの視点でいえば、一つ前の人口波動、つまり農業前波(B.C.3500~A.D.400年頃)の時代識知の見直しによって、限界に至った農業後波(A.D.400~1400年頃)の社会構造を突破する時代識知を創り上げようとする運動、ということになるでしょう。
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