2021年11月13日土曜日

SDGsは人口容量の持続と世界人口の低下を目ざす!

国連のSDGs(Sustainable Development Goals)に掲げられた17の目標が、世界の人口動態にどのような影響を及ぼすのか、国連の説明に従って、そのインパクトを考えています。

前回は前半の7目標について考えましたので、今回は後半の10目標を検討します。

8.経済成長と雇用・・・「包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する」

各国の状況に応じ、一人当たり経済成長率を持続させるため、高付加価値セクターや労働集約型セクターに重点を置くことなどで、多様化、技術向上および技術革新を通じた高いレベルの経済生産性を達成すると、人口容量が維持される傾向が強まりますが、その一方で生活水準の上昇による自己実現願望の上昇で出生率が低下し、人口は減少します。

9.インフラ・産業化・イノベーション ・・・「強靱なインフラ構築、包摂的かつ持続可能な産業化の促進及びイノベーションの推進を図る」

質が高く信頼できる持続可能かつ強靭な地域・越境インフラなどのインフラを開発し、すべての人々の安価なアクセスに重点を置いた経済発展と人間の福祉を支援し、2030年までに各国の状況に応じて雇用および国内総生産 (GDP) に占める産業セクターの割合を大幅に増加させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

10.不平等・・・「各国内及び各国間の不平等を是正する」

2030年までに年齢、性別、障害、人種、民族、出自、宗教、あるいは経済的地位その他の状況に関わりなく、すべての人々のエンパワーメント、および社会的、経済的、および政治的な包含を促進するため、 差別的な法律、政策、および慣行の撤廃、ならびに適切な関連法規、政策、行動の促進などを通じて、機会均等を確保し、成果の不平等を是正すると、人口容量は安定化しますが、自己実現願望の上昇で出生率が低下し、人口は減少します。

11.持続可能な都市・・・「包摂的で安全かつ強靱で持続可能な都市及び人間居住を実現する」

2030年までに、すべての人々に適切、安全かつ安価な住宅および基本的サービスへのアクセスを確保し、スラムを改善したり、脆弱な立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者などに、安全かつ安価で容易に利用できる、持続可能な輸送システムへのアクセスを提供すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

12.持続可能な消費と生産 ・・・「持続可能な生産消費形態を確保する」

2030年までに天然資源の持続可能な管理および効率的な利用を達成し、小売・消費レベルにおける一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食品の損失を減少させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

13.気候変動・・・「気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる」

すべての国々で気候変動に起因する危険や自然災害に対する強靭性および適応力を強化し、 気候変動対策を国別の政策、戦略および計画に盛り込むと、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

14.海洋資源・・・「持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する」

2025年までに、陸上活動による海洋堆積物や富栄養化をはじめ、あらゆる種類の海洋汚染を防止して大幅に減少させ、 2020年までに海洋および沿岸の生態系の強靭性強化や回復取り組みなどを通じた持続的な管理と保護を行って、大きな悪影響を回避し、健全で生産的な海洋を実現すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

15.陸上資源・・・「陸域生態系の保護、回復、持続可能な利用の推進、持続可能な森林の経営、砂漠化への対処、ならびに土地の劣化の阻止・回復及び生物多様性の損失を阻止する」

2020年までに、国際協定下の義務に則って、森林、湿地、山地、および乾燥地をはじめとする陸域生態系と内陸淡水生態系およびそれらのサービスの保全、回復、および持続可能な利用を確保し、あらゆる種類の森林の持続可能な管理の実施を促進し、森林破壊の阻止や劣化した森林の回復で、世界全体で植林と森林再生を大幅に増加させると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。

16.平和・・・「持続可能な開発のための平和で包摂的な社会を促進し、すべての人々に司法へのアクセスを提供し、あらゆるレベルにおいて効果的で説明責任のある包摂的な制度を構築する」

あらゆる場所において、すべての形態の暴力および暴力に関連する死亡率を大幅に減少させ、子どもに対する虐待、搾取、人身売買およびあらゆる形態の暴力および拷問を撲滅すると、死亡率が低下し、人口は増加します。

17.実施手段・・・「持続可能な開発のための実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する」

課税および徴税能力の向上に向けた国際的な支援などを通じて、開発途上国の国内資源の動員を強化し、複数の財源から開発途上国のための追加的資金源を動員すると、人口容量が安定化し、維持される傾向が強まります。 

以上で見てきたように、17目標の影響では、人口増加が5、人口容量維持が10、人口減少が6(ダブり2)ということになります。

とすれば、人口容量を持続(Sustainable)しつつ、人口の幾分減る社会を目ざしている、といえるでしょう。

具体的にいえば、先に述べたように、地球の人口容量を90億人程度に持続可能にしつつ、世界人口を70~80億人へ近づけていくこと、つまり持続微減なのです。

2021年11月4日木曜日

SDGsで世界人口はどう変わるのか?

国連のSDGs(Sustainable Development Goals)が目ざす持続可能(Sustainable)とは、地球の人口容量を90億人程度で維持し、世界人口を低位値に近づけていくことだ、と述べてきました。

そこで、SDGsに掲げられた17の目標が、世界の人口動態にどのような影響を及ぼすのか、国連の説明に従って、そのインパクトを考えてみましょう。

まずは前半の7目標について。

1.貧困・・・「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」

2030年までに極度の貧困を世界中で終わらせると、一方では死亡率の低下で人口は増加し、他方では生活水準の上昇による出生率の低下で人口が減少するという、両面的な影響が現れます。

2.飢餓・・・「飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」

飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層や幼児を含む脆弱な立場にある人々が安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにし、若年女子、妊婦・授乳婦、高齢者の栄養需要に対処すると、死亡率が低下し、人口は増加します。

3.保健・・・「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」

2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減し、新生児や5歳未満児の死亡率を激減させると、死亡率が低下し、人口は増加しますが、生活水準が高まるにつれて、出生率が低下し、人口は減少します。

4.教育・・・「すべての人々へ包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果を得られる、無償かつ公正で質の高い初等・中等教育を修了できるようにし、すべての人々が男女の区別なく、質の高い技術教育・職業教育と大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにすると、自己実現願望の拡大で出生率が低下し、人口は減少傾向となります。

5.ジェンダー ・・・「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」

あらゆる場所ですべての女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、公共のサービス、インフラ、社会保障政策の提供や、世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を評価し、 政治、経済、公共分野のすべてのレベルの意思決定で、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保すると、結婚の延期や育児の敬遠などで出生率は低下し、人口減少が進みます。

6.水・衛生・・・「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」

2030年までに、すべての人々が安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成できるようにすると、衛生水準の上昇で死亡率が低下し、人口は増加します。

7.エネルギー・・・「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」

2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させ、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させると、人口容量の安定化によって、人口の維持される傾向が強まります。

以上のように、前半の7目標の影響では、人口増加が4つ、人口容量維持が1つ、人口減少が4つ(ダブり2項目)ということになりそうです。

後半は次回で。

2021年10月22日金曜日

サスティナブルの逆説を解く!

「SustainableはUnsustainableをもたらす」あるいは「SustainableはUnsustainableで初めて成立する」という逆説は、何ゆえに生まれてくるのでしょうか?

国連の提唱するSDGs(Sustainable Development Goals)は、現代社会に生きる人類の生存を保証するため、地球の持つ人口容量を維持しようという運動、と理解できます。

容量の規模は明らかにされていませんが、世界人口の趨勢やさまざまな予測から推測すると、約90~110億人と想定されます。

とすれば、SDGsが達成できれば、人口容量90~110億人を維持できることになります。

SGDsで人口容量が90~110億人で持続可能(Sustainable)となれば、人口の変化によって、1人当たり人口容量、つまり1人当たりの生活水準は大きく変化(Unsustainable)します。

最も低い90億人で算定すると、その変化は下図のようになります。

①人口予測値

❶国連・人口予測・中位値・・・2020年の78億人から2040年頃に人口容量90億人を超えて、2050年に97億人、2080年に107億人、2100年に109億人と一貫して増加し続けます。

❷国連・人口予測・低位値・・・2020年の78億人から2050年頃に人口容量90億人でピークに達し、以後は2080年の83億人、2100年の73億人と減少し、容量の8割となります。

❸ワシントン大・人口予測・SDG値・・・2020年の79億人から2050年に88億人でピークに達し、2080年の77億人、2100年の63億人と減少し、容量の7割となります。

②1人当たり人口容量・・・人口容量の下限90億人を年々の人口で割った数字は、広い意味での生活水準を表しています。

❶国連・中位値・・・1990年以降、継続的な人口増加によって低下し続け、2100年には2035年の1.00に対し0.83にまで落ちていきます。

❷国連・低位値・・・1990~2060年は、人口増加によって低下し続けますが、2060年以降は人口停滞によって上昇に転じ、2100年には2035年の1.00に対して1.23にまで上がります。

❸ワシントン大・SDG値・・・1990~2050年の間は、人口増加によって低下し続けますが、2060年以降は人口急減によって上昇に転じ、2100年には2035年の1.00に対して1.43にまで上がります。

以上のようなトレンドを読み解くと、次のような解釈ができます。

①国連の人口予測のうち中位値を実現するためには、地球の人口容量を110億人程度まで上げていかなくてはなりません。しかし、2020年現在の79億人で環境汚染や地球温暖化などが進んでいるのを見ると、今後80年間に約30億人を拡大していくことは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。

②国連の低位値やワシントン大のSDG値で人口が推移するとすれば、90億人程度が上限であることが示唆されていますから、現状の地球環境をなんとか持続可能(Sustainable)にしていけば、その実現は可能となるでしょう。

③人口容量を90億人で持続可能(Sustainable)とした場合、国連の中位値で進めば、1人当たりの人口容量、つまり生活水準は下がり続けますから、持続不可能(Unsustainable)となります。

④国連の低位値やワシントン大のSDG値で推移する場合、2050年以降の生活水準は次第に上昇していきますから、その意味でも持続不可能(Unsustainable)となります。

このように見てくると、国連のSDGsが目ざす持続可能(Sustainable)とは、地球の人口容量を90億人程度で維持し、世界人口を低位値に近づけていくこと、といえるのではないでしょうか。

2021年10月16日土曜日

サスティナブルはアンサスティナブルをもたらす?

ワシントン大の予測によれば、SDGsが進め進むほど、世界人口は減少していきます。

人口容量はSustainable(持続可能)となりますが、人口はUnsustainable(持続不可能)になる、ということです。

先に述べたように、私たち人類の生存可能量を支えている人口容量(Population Capacity)は、次の式で表わせます。

人口容量=自然環境×文明

より具体的にいえば、【人口容量の中身を考える!】で述べているように、

国土などの扶養量(食糧・衣料・住居など生活資源や、移動・通信・熱源などエネルギーの供給量)と許容量(生活廃棄物・産業廃棄物・排出ガスなどの処理量)の両面から決まってきます。

それゆえ、上記の式を現代社会に当てはめると、次のように変換できます。

世界の人口容量=(地球扶養量+地球許容量)×現代文明

この式が意味しているのは、現代世界の人口容量が、現代の文明によって、❶食糧・衣料など生活資源や移動・通信・熱源などをどこまで保証できるのか、❷生活廃棄物・産業廃棄物・排出ガスなどをどこまで処理できるのか、の両面から決まってくる、ということです。

翻って、現代の地球環境を眺めると、❶では食糧危機やエネルギー不足などが懸念され、❷では温暖化や環境汚染などが顕在化しています。

それゆえ、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標群)が目ざしているのは、これらの不安を縮小し、安定的な地球環境を回復させていこう、ということだと思います。

下図で説明すれば、地球という自然環境を現代文明の改善によって維持し、90億人規模の人口容量をなんとか維持していこう、という趣旨です。

その意味では、人口容量のSustainable(持続可能)をまさに実現しようとしています。

しかし、ワシントン大の予測によれば、SDGsを進めれば進めるほど、世界人口は減少していきます。

2050年ころに88億人となって、人口容量90億人にほぼ達した後、徐々に下がり始め、2100年には63億人となり、人口容量の7割へ落ちていきます。

つまり、人口そのものはUnsustainable(持続不可能)となり、減少していくということです。

その結果、1人当たりの人口容量(90億人/総人口数)は、現在の1.15から2040年に1.03にまで落ちますが、その後は逆転して上昇し始め、2090年には2010年の水準を回復し、2020年には1.43まで上がっていきます。

先進国のライフスタイルが途上国にまで浸透し、世界全体の生活民が高度な生活水準を営めるようになるということです。

このため、世界人口の平均的生活水準は、低下→横ばい→上昇とUnsustainable(持続不可能)な、大きな波を打つのです。

以上のように見てくると、Sustainable(持続可能)という言葉が当てはめられるのは人口容量だけであり、人口推移と生活水準については、Unsustainable(持続不可能)の方が妥当だということになります。

要約すれば、SustainableはUnsustainableをもたらすのです。

あるいは、SustainableはUnsustainableで初めて成立するのです。

この逆説は何ゆえに生まれてくるのでしょうか?

2021年10月5日火曜日

SDGsで人口はなぜ減るのか?

ワシントン大の最新の予測では、国連の推進するSDGsが進むほど、人口は大きく減少すると展望していますので、人口そのもののサスティナブル(持続可能)は不可能になります。

とすれば、国連の主導するSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標群)の“Sustainable”とは、何を意味しているのでしょうか?

筆者のブログ(JINGENブログ、生活学マーケティング)で何度も述べてきましたが、生物の個体数はキャリング・キャパシティー(Carrying Capacity:環境容量)の許容内までは増加しますが、限界に近づくにつれて、個体数抑制装置を作動させ、自ら減少に向かって行きます。

自然環境が与えてくれるキャリング・キャパシティーは、ほとんどの生物の場合、個体数の上限となります。キャパシティーを自ら変えることができないからです。

ところが、人間の場合は、さまざまな文明で働きかけることによって、キャリング・キャパシティーの大きさをある程度変えることができます。

つまり、人間のキャリング・キャパシティーは、自然環境と文明の掛け算によって決まってきます。

そこで、筆者は人間の環境容量を改めて「人口容量:Population Capacity」と名づけ、次の数式で表わしています。

人口容量=自然環境×文明

現代社会でいえば、激変する自然環境にそれに対応する文明力が掛け合わされたものが、人口容量の上限を作り出している、ということです。

となると、国連の主導するSDGs(持続可能な開発目標群)とは、おそらく上記の式において、文明のあり方の変更を意味することになるでしょう。

さまざまな開発目標が達成できれば、人口容量は一定の規模を保って持続可能なる、というわけです。

ところが、ワシントン大の指摘するとおり、SDGsが進め進むほど、いいかえれば、自然環境の変化に文明が対応すればするほど、人口そのものは減少していきます。

人口容量は持続可能となりますが、人口は持続できない、ということです。

となると、何のためのSustainableか、という疑問が浮上してきますが、これには国連の意図とは別の、もう一つ裏の意味があるのだ、と思います。

つまり、SDGsとは、人口容量の限界に差し掛かった人類が、破滅的な終末を避けるため、予め人口を抑制していこうとする行動なのではないでしょうか。

いいかえれば、生物学でいう個体数抑制装置、人間に当てはめれば人口抑制装置、その発動を意味しているということです。

その仕組みを、もう少し詳しく眺めていきたいと思います。

2021年9月25日土曜日

世界人口急減の時代が来た!

ポスト禍の影響がどうなるか、を【人口波動で読むコロナ禍!:2020年5月1日】以来、1年6カ月に亘って検討してきました。

前回の【グローバル化を見直す!:2021年9月15日】で一段落しましたので、次のテーマとして、昨今急速に浮上している世界人口急減について、暫くの間、私見を述べていこうと思います。

この件については、当ブログで何度も取り上げていますので、それらを基にしつつ、新たな論点を展開していく予定です。

まずは世界人口の予測をリードしている国際連合とワシントン大の数値を紹介します。

国際連合の最新の人口予測(2019年6月)は、次のとおりです。


①この予測は、国または地域、地理的集計、および世界銀行の所得グループによる総人口の推定値を基礎に、出生時の総出生率と平均余命の確率的予測に基づいて推計したものです。

②真ん中の赤い太線が2020年から2100年までの中位推計値であり、その上下にある、赤い鎖線の上下(80%の確率)、赤い点線の上下(95%の確率)、黒い一点鎖線の上下(総生殖能力が中位推計値より0.5%上下する場合)が、さまざまな不確実性を見込んだうえでの上限と下限を示しています。

③中位推計値では、2050年に97億人、2010年に109億人になると予測しています。

④赤い点線の上下(95%の確率)の場合、2030年には85~86億人、2050年には94億~101億人、2100年には94億~127億人に達する、と予測しています。

⑤黒い一点鎖線の上下(総生殖能力が中位推計値より0.5%上下する場合)では、2100年の多い場合は156億人、少ない場合は73億人となるようです。‎

⑥世界人口は、今世紀を通じておおむね拡大を続けることが見込まれていますが、2100年までに増加が停止あるいは減少し始める確率が27%である、と推計しています。

一方、ワシントン大の人口予測(2020年7月)では、より減少傾向の強い数値が提示されています。


①予測の前提として、5つのシナリオが想定されています。

 ❶Slower met need and education pace:資源・医療・教育対応の最も遅いシナリオ

 ❷Reference (95% UI shading):参考シナリオ(95%不確実性を反映)

 ❸Faster met need and education pace:資源・医療・教育対応のより速いシナリオ

 ❹Fastest met need and education pace:資源・医療・教育対応の最速シナリオ

 ❺SDG met need and education pace: SDGsと資源・医療・教育対応が連結したシナリオ

②資源・医療・教育対応が最も遅いシナリオでは、世界人口は2080年に120億人、2100年に135億人まで増える、と予測しています。

③基本となる参考シナリオでは、世界人口は2064年に97億人でピークに達し、2100年には88億人に減少する、と予測しています。

④SDGと資源・医療・教育対応が連結したシナリオでは、2100年に63億人に減少する、と予測しています。その理由として、女性教育の上昇と避妊へのアクセスの継続的な進行が出生率の低下と人口増加の遅延を招く、と述べています。

以上のような国際連合とワシントン大の予測を比較すると、次の論点が浮かんできます。


①2100年の世界人口は、国際連合の中位値で109億人に増えるのに対し、ワシントン大の参考シナリオでは88億人に減少する、と対立しています。

②最も低い値で2100年を比較すると、国際連合の低位値では73億人に減りますが、ワシントン大のSDGsシナリオではさらに低い63億人にまで減少するとしており、両者の差は10億人に達します。

③ワシントン大の見解では、国連の推進するSDGs(持続可能な開発目標)が進めば進むほど、人口は大きく減少しますので、人口そのもののサスティナブル(持続可能)は不可能になります。

こうしてみてくると、世界人口の予測では、単なる数値予測を超えて、政策目標の是非が問われる時代になってきた、といえるでしょう。

2021年9月15日水曜日

グローバル化を見直す!

ポストコロナ時代の新たな社会目標を予想するため、集約・統合的識知という視点から、市場経済制、民主主義制、グロ―バル化を見直しています。

今回は3つめのグローバル化です。

今回のコロナ禍によって、グロ―バル化についても、さまざまな混乱が露呈しています。

すでに【ル・ルネサンスは集約・統合的な社会知をめざす!】で指摘しましたが、❶国際機関の空洞化、❷国際市場経済制の欠陥化、❸食糧・資源・燃料などの枯渇化といった現象が目立ち始め、安易なグローバリズム信仰が大きく動揺しています。

こうした混乱を乗り越えていくには、集約的・統合的集中性という、新たな社会知が必要だと述べてきました。

この社会知は、「言語機能は分節化から合節化へ」「数値機能は数値絶対化から数値相対化へ」「把握機能はシステム化からストラクチャー化へ」の、3つから構成されています。

この視点をグローバル化の今後に適用してみましょう。


①言語機能:分節化から合節化へ

グローバル化という言葉は、人、物、金などが国境を越えて広く交流することを意味し、それこそが人類の発展方向だという価値観もまた内包している。

しかし、野放図なグローバル化によって自国内の生産構造が次第に崩れ、些細な国際変動によって、自国民の生活が危機に瀕するケースが拡大している。

こうした悪弊を防ぐには、まずは国内の自給構造を再構築し、それに対応した国際分業をめざすことが必要になる。

いいかえれば、過剰な国際分業を見直し、国際分業と国内自給を改めて整合化することが急務なのだ。

②数値機能:数値絶対化から数値相対化へ

国際情勢を大局的に把握するため、国際連合などでは統計的データによる集積と分析が行われている。だが、現実の世界情勢は数値を超えて、刻々と変化している。

世界人口の予測でも、国連人口部の「World Population Prospects 2019」では、現在の77憶人から、2030年に85憶人、2050年に97憶人、2100年109憶人に達すると予測している。だが、コロナ禍の影響やSDGs(下記参照)の進展などによって、ワシントン大の予測では、2050年に87憶人、2100年に63憶人まで落ちていくという。

昨今の大きく変貌する国際構造に対応していくには、視野狭窄に陥りがちな数値・統計的把握だけに留まらず、意見収集・交流実態などを通じて、多様な情動的情報との統合を行い、政策化の充実をめざすことが望まれる。

③把握:システム化からストラクチャー化へ

国連はSDGs(Sustainable Development Goals)と命名し、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標と、極めて多くの目標をシステマティックに掲げている。

これはまさに分散型、ポイント型、ネットワーク型の識知構造を意味している。

だが、上記の如く、SDGsが進めば、人口減少が進んでいくことになる。つまり、SDGsの推進と人口の維持は対立する目標なのである、

その意味で、SDGsがいかに偏狭な発想であるかについては、筆者の別のブログで【サステイナブル・・・えっ、ほんとに実現できる目標なの?】以下で詳しく述べている。

マスメディアの多くが、何の躊躇いもなく「SDGs賛成!」と国連追従を繰り返しているのは、まさに時代錯誤そのものであろう。

とすれば、今や人口減少へと転換しつつある世界への対応は、もっとストラクチュアルに提示していかなければならない。

ストラクチュアルとは、個別の目標の積み上げではなく、民主主義制、市場経済制、国際協調制などを含む、人類の社会構造そのものを、横断的、統合的、ラッピング的なアプローチによって、人口増加型から人口減少型へどのように変革していくか、を示すことである。

要するに、点と線による一元的な国際視点から、何層かの面を重ねていく多元的な国際視点への転換が望まれるのだ。

以上のように、ポストコロナ時代には、グローバル化についても、新たな社会知による見直しが求められるでしょう。