2022年5月25日水曜日

人口減少国家が続出する!

21世紀の世界では、地球上の大半の地域人口が前半の間にピークを迎え、それ以降は減少していきます。それぞれの地域に属する国家は、どうなっていくのでしょうか。

国連の人口予測2019年版の最低値により、大胆に展望してみましょう。



 

①人口のピーク時点を大州別の国家群で見ると、ヨーロッパ、アジア、南アメリカ、北アメリカ、オセアニア、アフリカの順番が概ね読み取れます。

②最も早くピークを過ぎて2000年までに減少過程に入っているのは、東欧の国々(ブルガリア:ピーク年:1985年・以下同じ、ルーマニア:1990年、ウクライナ:1990年、ハンガリー:1992年、ポーランド:1999)と西欧のイタリア:1994年などです。

③続いて2020年までにピーク➔減少過程に入ったのは、ヨーロッパの諸国(ギリシャ:2004年、ポルトガル:2009年、スロバキア:2020年、ドイツ:同年、ロシア:同年、スペイン:同年など)と、アジアの日本:2009年と韓国:2020年です。

④今後2040年までにピーク➔減少過程に入るのは、ヨーロッパの主要国(フィンランド:2021年、オランダ:2024年、フランス:2026年、ベルギー:2028年、イギリス:2033年)と、アジアの主要国(タイ:2022年、中国:2024年、ベトナム:2036年、ビルマ:2038年、バングラデッシュ:2039年など)、南アメリカのコロンビア:2035年やアフリカのモロッコ:2049年などです。

:204050年代にピーク➔減少過程に入るのは、ヨーロッパではスイス:2043年と北欧諸諸国(スウェーデン:2049年、ノルウェー:2059年)、アジアでは人口巨大国(インド:2042年、トルコ:2044年、イラン:2049年、サウジアラビア:2049年、マレーシア:2050年、インドネシア:2055年など)、南アメリカのペルー:2049年やアルゼンチン:2050年、北アメリカのメキシコ:2044年とアメリカ合衆国:2047年、そしてオセアニアのニュージーランド:2044年と、アフリカの南アフリカ:2050年です。

206070年代にピーク➔減少過程に入るのは、アジアではパキスタン:2065年、イラク:2083年など、北アメリカではカナダ:2075年、アフリカの人口巨大国(アルジェリア:2061年、エジプト:2079年、エチオピア:2079年など)です。

208090年代にピーク➔減少過程に入るのは、南アメリカのブラジル:2091年、オセアニアのオーストラリア:2094年、アフリカのウガンダ:2084年やコンゴ:2097年などです。

2100年以降にピーク➔減少過程に入るのは、アフリカのナイジェリアタンザニア、スーダンなどです。

以上を整理すると、次のような傾向が浮かび上がってきます。

3億人以上の国々では、中国2024年、インド2042年、アメリカ合衆国2047年といずれも2050年より前にピークを越えます。

❷ヨーロッパの先進国では、イタリア、ギリシャ、ポルトガル、ドイツ、スペイン、ロシアなどがすでに減少過程に入っており、続いてフィンランド、オランダフランス、ベルギー、イギリスなども今後10年ほどでピークを超えます。

❸アジアや南アメリカの国々も、ほとんどが202060の間にピークを迎えます。

2060年以降にピークを迎えるのは、アジアのパキスタン、イランなど、北アメリカのカナダ、南アメリカのブラジル、オセアニアのオーストラリア、アフリカの諸国のみとなります。

こうしてみると、国連予測の最低値が当たるとすれば、主要な先進国はもとより、急増中の中国やインドもまた、今世紀の中ほどまでに人口減少を迎えることになりそうです。

2022年5月13日金曜日

人類が消滅する?

ツイッター社の買収で注目を集める、アメリカ・テスラ社の最高経営責任者イーロン・マスク氏が5月7日、彼のツイッターに「日本が消滅する」とすると投稿し、大きな反響をよんでいます。

この論理で言えば、「イギリスもアメリカも消滅する」「人類が消滅する」ということになるのではないであしょうか。

しかし、「消滅する」というのは、人口減少が遅れ、成長・拡大的経済が続くアメリカの経営者の、いかにも現状膠着的な見方だと思います。まことに僭越ながら、当ブログの人口波動説の視点から評価してみましょう。

●日本はいずれ存在しなくなるだろう。・・・×

●世界の人口は崩壊に向かって加速している。・・・

●対策の1つは、人口減少による労働力不足を補うヒト型ロボットだ。・・・

なぜこのように評価したのか・・・それについては追い追い述べますが、より長期的な視点に立てば、人口は減少を続けるものではなく、増加に転じる可能性を十分持っています。

問題の核心は減少ではなく、減少から増加への切り替えをいかに進めるか、なのです。

それはともあれ、世界人口が減り始めるのは予想よりずっと早く、前回述べたように2040~50年代と思われます。

大州別、国別に見ると、すでに人口減少が始まっており、その傾向が次第に広がりつつあります。

筆者の別のブログでは【世界の各国で人口が減り始める!】(2020107日)と題してすでに述べていますが、改めて修正版を挙げます。

まずは大州別の人口動向を、国連の人口予測(2019年低位値)により展望します。


①世界人口の総計は2054年にピークに達し、以後は減少していきます。

②最大の大州であるアジア2039年をピークとして、2040年代から減っていきます。

ヨーロッパ2020南アメリカ2041北アメリカ2048オセアニア2077にそれぞれピークに達し、以後は減っていきます。

アフリカだけは伸び続けますが、それでも2096にはピークを迎えます。

以上のように、21世紀の世界では、地球上の大半の地域が前半の間にピークを迎え、それ以降は減少していくのです。減少すれば、消滅するのでしょうか?

それぞれの国家としてはどうなっていくのでしょう。次回に展望します。

2022年5月5日木曜日

人口減少は世界的トレンドだ!

人口減少対策は、現代日本にとって喫緊の課題だと言われていますが、日本だけの問題ではありません。

主な先進国では間もなく人口減少が始まると予測されており、今回のコロナ禍でその傾向に拍車がかかってきました。

マクロな傾向がどうなるのか、世界人口の予測については、国際連合・社会経済局の人口推計(2019年版)ワシントン大学IHMEの推計(2021年版)が、さまざまな展望をしています。

コロナ禍の影響を織り込んだ、正確な予測はまだ出されていませんが、これらの推計値の中の最低傾向を辿る可能性が高まってきた、と思われます。


もし最低値へ向かうとすればどうなるか、このブログではすでに【世界人口急減の時代が来た!】で、これらの予測値の比較をしてきましたので、改めて要点を整理しておきましょう。

①国連予測の最低値・・・2054年に89億人でピークに達し、2100年には73億人まで減少。

②ワシントン大予測の最低値・・・2040年に87億人でピークに達し、2100年には63億人まで減少。

要するに現在79億人に達した世界人口は、2040~50年代までは増加しますが、その後は減少過程に入り、2100年には6070億人台になるということです。現在より10~20億人ほど減るわけです。

こうした展望に対し、某新聞がトップで「人類史、迫る初の減少」という、誤った見出しを掲げたり、某有名出版社の翻訳が「いったん減少に転じると、二度と増えることはない」など、いささか暴論を述べています。

いずれも現状膠着的、あるいは近視眼的な見方ではないでしょうか。

もっと視野を広げ、より長期的な見方をすると、世界人口は何度も増加・減少を経験してきており、今回もまたその一環にすぎません。

当ブログで展開する「人口波動説」からいえば、一つの文明が作り出した「人口容量」が限界に達したからだ、ということです。

科学技術文明という近代社会を支えてきた容量が、すでに満杯に近づいてきたため、容量の小さな国から順番に減り始めているのです。

そう考えると、人口減少を恐れるのではなく、容量に適応した方向へ社会のあり方を変えていくことが求められます。

さらには次の容量革新へと向かって、新たな挑戦、「ル・ルネサンス」が求められる時代が来るのだ、ともいえるでしょう。

こうした視点から、このブログではさまざまな議論を展開していきます。