2022年6月21日火曜日

ヨーロッパでも人口減少が始まっている!

世界人口の急減が迫っており、各国の対応に関心が集まっています。

すでに人口減少に入った国々、間もなく入ろうとしている国々では、何が起きているのでしょうか。

国際連合2019年予測の低位値に基づき、前回の東欧諸国に続いて、今回は西欧主要国の人口動向をグラフで眺めてみると、各国のピークは次のようなものです。


2つのグラフから、次のような推移が読み取れます。

2021年までにすでに人口減少が始まっているのは、ギリシャ2004年~、ポルトガル:2009年~、スペイン2011年~、イタリア2017年~、ドイツ2021年~、フィンランド:2021年~などです。

2022年以降になると、オランダ2024年~、オーストリア:2024年~、フランス2026年~、ベルギー:2028年~などの国で、減少が始まると予測されています。

2030年代以降は、デンマーク:3031年~、イギリス2033年~、スイス:2043年~、アイルランド:2045年~、スウェーデン2049年~、ノルウェー2059年~などでも、減少が始まります。

これらのトレンドについては、次のようにコメントできます。

❶ほとんどすべての国で、2050年代までに減少が始まるようですが、2008年以降、人口が減り続けている日本とは異なって、西欧諸国では移住民がかなり多いため、それぞれのピークは幾分遅れるものと思われます。

❷ギリシャ:2004年~、ポルトガル:2009年~、スペイン:2011年~、イタリア:2017年~と、南欧諸国ではすでに人口減少が続いています。その要因には出生率の低下に加えて、国外移住者の増加が推察されます。

少子化対策などで高く評価されているフランス、オランダ、スウェーデンなども、202040年代に減少に入る見込みであり、出生率の改善だけでは減少は止められません

❹日本は2009年以降13年間、イタリアは2017年から5年間、ドイツは2021年から・・・と、第二次世界大戦の3つの枢軸国が比較的早く人口減少に入っています。この背景については、当ブログにおいてすでに【容量オーバー時の対応経験で分かれる!】前後で詳しく説明しています。

以上のように見てくると、人口減少というトレンドは、もはや全ての国にとって避けられない現象と思われます。

とすれば、現代の人類に求められているのは、人口減少の遅延策や回復策などではなく、減少に最適な社会構造をめざす「人減適応策」の構築ではないでしょうか。

2022年6月3日金曜日

人減国家・・・強引な回復策は成功するのか?

世界人口の急減がマスメディアを騒がしています。

すでに人口減少に入った国々では、何が起きているのでしょうか。

中東欧の国々(ブルガリア:ピーク年:1985年・以下同じ、ルーマニア:1990年、ウクライナ:1990、ハンガリー:1992年、ロシア: 1994、ポーランド:1999年、スロバキア:2020)や、西欧の国々(イタリア:1994年、ギリシャ:2004年)では、すでに3020年も前から人口減少を続けています。

続いて西欧ではポルトガル:2009年、ドイツ: 2020年、スペイン: 2020年や、アジアの日本:2009年や韓国:2020年なども、最近10年ほどの間に減少過程に入っています。

人口が減少し始めた時、これらの国々では、各々がさまざまな対応策を打ち出してきましたが、減少を多少遅らすことはできても、再び増加へと転換することはほとんど不可能だったようです。

しかし、それでもなお強引な対策によって、人口を維持させようという国家も現れています。

現在、極めて強引なウクライナ侵攻によって、世界の批判を集めているロシアです。



ロシアの人口は1994年の14,835万人で一度めのピークに達し、以後は減少して、2007年に14,327万人まで500万人ほど落ちました。

しかし、その後は「母親資本制度」とよばれる官製ベビーブーム14,400万人台を維持しつつ、2014年のクリミア半島併合などで14,500万人までは回復しましたが、2020からは14,593万人をピークに再び減り始めています。

こうした情勢に同国のリーダーは「ロシアの人口動態が再び悪化しており、包括的な措置を策定することが急務だ」(20171128日)と危機感を表明していますが、同時に、かつてのソビエト連邦(19221991年)へのノスタルジーを強めたのでは・・・とも思えます。

自らが中核であったソビエト連邦の人口規模は、現状のロシアのほぼ2倍の28,670万人1989年)であり、この時代、約30年前へのノスタルジーです。

少しでも人口を回復することができないものか、再び当時の領土が回復できれば・・・。ウクライナ侵攻の一因だったのではないでしょうか。

しかし、この目標はほとんど無意味だと思います。

上図に示したように、ウクライナ自体の人口もまた30年ほど前から減少を続けています。

もし同国全体を領有したとしても、ロシア+ウクライナの人口は間もなく、下図に示したように、急速に減少していくはずです。


過去の30年間よりももっと急激に減っていく人口動向は、今後のロシアにいっそう負の衝撃を与えることになるでしょう。

人口回復への最も安易な対応策は、国家の地位を揺るがすばかりか、さらなる混迷へと誘い込んでいくのです。