「SustainableはUnsustainableをもたらす」あるいは「SustainableはUnsustainableで初めて成立する」という逆説は、何ゆえに生まれてくるのでしょうか?
国連の提唱するSDGs(Sustainable Development Goals)は、現代社会に生きる人類の生存を保証するため、地球の持つ人口容量を維持しようという運動、と理解できます。
容量の規模は明らかにされていませんが、世界人口の趨勢やさまざまな予測から推測すると、約90~110億人と想定されます。
とすれば、SDGsが達成できれば、人口容量90~110億人を維持できることになります。
SGDsで人口容量が90~110億人で持続可能(Sustainable)となれば、人口の変化によって、1人当たり人口容量、つまり1人当たりの生活水準は大きく変化(Unsustainable)します。
最も低い90億人で算定すると、その変化は下図のようになります。
①人口予測値
❶国連・人口予測・中位値・・・2020年の78億人から2040年頃に人口容量90億人を超えて、2050年に97億人、2080年に107億人、2100年に109億人と一貫して増加し続けます。
❷国連・人口予測・低位値・・・2020年の78億人から2050年頃に人口容量90億人でピークに達し、以後は2080年の83億人、2100年の73億人と減少し、容量の8割となります。
❸ワシントン大・人口予測・SDG値・・・2020年の79億人から2050年に88億人でピークに達し、2080年の77億人、2100年の63億人と減少し、容量の7割となります。
②1人当たり人口容量・・・人口容量の下限90億人を年々の人口で割った数字は、広い意味での生活水準を表しています。
❶国連・中位値・・・1990年以降、継続的な人口増加によって低下し続け、2100年には2035年の1.00に対し0.83にまで落ちていきます。
❷国連・低位値・・・1990~2060年は、人口増加によって低下し続けますが、2060年以降は人口停滞によって上昇に転じ、2100年には2035年の1.00に対して1.23にまで上がります。
❸ワシントン大・SDG値・・・1990~2050年の間は、人口増加によって低下し続けますが、2060年以降は人口急減によって上昇に転じ、2100年には2035年の1.00に対して1.43にまで上がります。
以上のようなトレンドを読み解くと、次のような解釈ができます。
①国連の人口予測のうち中位値を実現するためには、地球の人口容量を110億人程度まで上げていかなくてはなりません。しかし、2020年現在の79億人で環境汚染や地球温暖化などが進んでいるのを見ると、今後80年間に約30億人を拡大していくことは、ほとんど不可能と言っていいでしょう。 ②国連の低位値やワシントン大のSDG値で人口が推移するとすれば、90億人程度が上限であることが示唆されていますから、現状の地球環境をなんとか持続可能(Sustainable)にしていけば、その実現は可能となるでしょう。 ③人口容量を90億人で持続可能(Sustainable)とした場合、国連の中位値で進めば、1人当たりの人口容量、つまり生活水準は下がり続けますから、持続不可能(Unsustainable)となります。 ④国連の低位値やワシントン大のSDG値で推移する場合、2050年以降の生活水準は次第に上昇していきますから、その意味でも持続不可能(Unsustainable)となります。 |
このように見てくると、国連のSDGsが目ざす持続可能(Sustainable)とは、地球の人口容量を90億人程度で維持し、世界人口を低位値に近づけていくこと、といえるのではないでしょうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿