ポスト禍の影響がどうなるか、を【人口波動で読むコロナ禍!:2020年5月1日】以来、1年6カ月に亘って検討してきました。
前回の【グローバル化を見直す!:2021年9月15日】で一段落しましたので、次のテーマとして、昨今急速に浮上している世界人口急減について、暫くの間、私見を述べていこうと思います。
この件については、当ブログで何度も取り上げていますので、それらを基にしつつ、新たな論点を展開していく予定です。
まずは世界人口の予測をリードしている国際連合とワシントン大の数値を紹介します。
国際連合の最新の人口予測(2019年6月)は、次のとおりです。
①この予測は、国または地域、地理的集計、および世界銀行の所得グループによる総人口の推定値を基礎に、出生時の総出生率と平均余命の確率的予測に基づいて推計したものです。 ②真ん中の赤い太線が2020年から2100年までの中位推計値であり、その上下にある、赤い鎖線の上下(80%の確率)、赤い点線の上下(95%の確率)、黒い一点鎖線の上下(総生殖能力が中位推計値より0.5%上下する場合)が、さまざまな不確実性を見込んだうえでの上限と下限を示しています。 ③中位推計値では、2050年に97億人、2010年に109億人になると予測しています。 ④赤い点線の上下(95%の確率)の場合、2030年には85~86億人、2050年には94億~101億人、2100年には94億~127億人に達する、と予測しています。 ⑤黒い一点鎖線の上下(総生殖能力が中位推計値より0.5%上下する場合)では、2100年の多い場合は156億人、少ない場合は73億人となるようです。 ⑥世界人口は、今世紀を通じておおむね拡大を続けることが見込まれていますが、2100年までに増加が停止あるいは減少し始める確率が27%である、と推計しています。 |
一方、ワシントン大の人口予測(2020年7月)では、より減少傾向の強い数値が提示されています。
①予測の前提として、5つのシナリオが想定されています。 ❶Slower met need and education pace:資源・医療・教育対応の最も遅いシナリオ ❷Reference (95% UI shading):参考シナリオ(95%不確実性を反映) ❸Faster met need and education pace:資源・医療・教育対応のより速いシナリオ ❹Fastest met need and education pace:資源・医療・教育対応の最速シナリオ ❺SDG met need and education pace: SDGsと資源・医療・教育対応が連結したシナリオ ②資源・医療・教育対応が最も遅いシナリオでは、世界人口は2080年に120億人、2100年に135億人まで増える、と予測しています。 ③基本となる参考シナリオでは、世界人口は2064年に97億人でピークに達し、2100年には88億人に減少する、と予測しています。 ④SDGと資源・医療・教育対応が連結したシナリオでは、2100年に63億人に減少する、と予測しています。その理由として、女性教育の上昇と避妊へのアクセスの継続的な進行が出生率の低下と人口増加の遅延を招く、と述べています。 |
以上のような国際連合とワシントン大の予測を比較すると、次の論点が浮かんできます。
①2100年の世界人口は、国際連合の中位値で109億人に増えるのに対し、ワシントン大の参考シナリオでは88億人に減少する、と対立しています。 ②最も低い値で2100年を比較すると、国際連合の低位値では73億人に減りますが、ワシントン大のSDGsシナリオではさらに低い63億人にまで減少するとしており、両者の差は10億人に達します。 ③ワシントン大の見解では、国連の推進するSDGs(持続可能な開発目標)が進めば進むほど、人口は大きく減少しますので、人口そのもののサスティナブル(持続可能)は不可能になります。 |
こうしてみてくると、世界人口の予測では、単なる数値予測を超えて、政策目標の是非が問われる時代になってきた、といえるでしょう。
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