2017年8月18日金曜日

牛乳石鹸CMの炎上で人口抑制が進む!

人口抑制装置の作動している社会を象徴するような事象が、WEB上で起こっています。

6月にYouTube上で公開された、牛乳石鹸のWEBムービーCM「与えるもの」篇です。




2か月ほど経って、SNSなどで批判や罵倒が広がっていますが、一方では援護や容認も現れて、この数日間はまさに“炎上“状態です。

批判派の主張では「意味不明」「大変不快!」「もう買わない」などと、否定的な文言が並んでいますが、一方では「すごく共感」「一応わかるよ」「お父さんの応援ムービー」などと評価する意見も散見されます。

CMのデキはともかく、これだけ騒がれたのですから、提供者や製作者としては十分満足されていることでしょう。

ともあれ、賛否激論の中身を探っていくと、人口減少の進む社会の構造がまざまざと浮上してくるような気分になります。

整理してみると、次の3つがポイントです。

増子化、あるいはコダルト化の進行・・・平均寿命の延長に伴って、子供時代の上限が30~40代にまで上がっている。

世代間のギャップの拡大・・・55歳前後の谷間世代を境界として、生活価値観(=期待肥大値)が大きく変化している。

期待肥大値の拡大で抑制装置が作動・・・子供に対する親の責任水準が高まるにつれて、出産を抑えようとする傾向が高まっている。

人口抑制装置が作動するのは、人口容量が伸びなくなった時代に、増加時代の生活価値観(期待肥大値)をなおも続けようとする人々が引き起こす、さまざまな軋轢のためです。

それは決して悪いことではなく、人口容量に適切に対応していこうとする生物の知恵を示しています。

こうした意味で、批判派の不快感は勿論、肯定派の共感もまた、人口を抑制する装置を動かしているといえるでしょう。

牛乳石鹸CMの炎上事件は、現代日本の気分、あるいは感情状況をまさしく象徴しています。 

2017年8月8日火曜日

人口抑制装置を緩められるか?

人口容量のゆとりが拡大するにつれて、人口回復の可能性が高まってくると述べてきました。

この実現性を当ブログの基本的な論理である「
人口抑制装置」の視点から、改めて検討してみましょう。

結論を先に述べますと、「ゆとりで装置が緩むのは2030年代から」ということになります。

人口の実数ではゆとりが生まれますが、国民の価値観=総期待肥大値でゆとりが生まれてくるのは2030年代になるからです。

先に【
人口は再び増加する!】で触れましたが、総期待肥大量は現在、1億6000万人の規模にまで膨れ上がっており、人口容量に多少の余裕が生まれた程度では、人口抑制装置を緩和するまでには至りません。

緩和できるのはいつ頃になるのか。下図に示したように、人口減少と年齢構成の変化に伴って、2030年代になると、ようやくこの値は1億2800万人を切ることになります


そうなると、本質的なゆとりが生まれてきます。

2030年以降、人口容量に本格的な余裕が出てくると、徐々に影響が出てきます。


それによって、一方では一貫して落ちていた出生率が上がり始め、他方では上昇傾向だった死亡率が少しずつ緩み始めて、2050年頃にようやく下がっていく可能性が生まれてきます。

果たしてこれが実現できるものなのか、人口抑制装置の作動を緩和する条件を、もう一度考えていきましょう。

2017年7月28日金曜日

格差是正が人口を回復させる!

生産年齢人口の見直し、AI やロボットの活用、外国人の適切な導入などで、減少する労働力を補って、GDPの規模が維持できるとすれば、人口減少によって生まれるゆとりを活用する、2つめの条件はその公平な分配です。

人口減少でGDP /人は2倍へ」(2017年5月18日)で述べましたが、現在のGDP水準が維持できれば、1人当たりGDPは伸びていきます。

実際、現在のGDP =500兆円が続けば、国民一人当たりの所得は2015年の393万円から2050年には491万円(1.23倍)、2100年には837万円(2.13倍)へと増えていきます(いずれも実質)。

人口が減る社会では、経済規模が伸びなくても、個々人は豊かになっていくのです。

これを実現していくには、GDPの維持、分配の公平化、移民影響の最小化など、幾つかの条件があります。

「GDPの維持」については、すでに述べてきましたので、2番目は「分配の公平化」です。

いわゆる「経済格差」「所得格差」の問題ですが、これを表す指標として、一般的に使われているのが「ジニ係数」です。

ジニ係数とは、所得がどれくらい均等に分配されているかを、0から1の数字で表す指標であり、0に近いほど格差が少なく、1に近いほど格差が大きいことを示します。

厚生労働省の「所得再分配調査」に基づいて、その推移をグラフ化してみると、下図のようになります。


上の線が雇用者所得や事業所得などを示す「当初所得」、下の線が当初所得から税金と社会保険料を控除し、社会保障給付を加えた「再分配所得」です。

一見してわかるのは、当初所得のジニ係数が1970年代までの縮小傾向を捨てて、1980年代以降は徐々に拡大していることです。とりわけ2000年代に入ると急拡大しています。

これこそ、最近とみに喧伝される「格差拡大」の実態ですが、この傾向が今後も続けば、仮に1人当たりのGDPが増えたとしても、経済的なゆとりを国民全体に浸透させていくことはまず不可能でしょう。

とはいえ、下線の再分配所得のジニ係数は、1980年ころから拡大はしているものの、その伸び方はかなり緩やかで、2005年以降は縮小傾向さえ見せています。これは税と社会保障による格差是正がそれなりに効果をあげていることを示しています。

となると、人口容量のゆとりを国民全体へ配分していくためには、2030~60年代に向けて、次の両面からの対応が求められます。

①雇用者所得の適正化や事業所得への適正課税などにより、所得実態の公正化を進める。

②社会保障などの適正化によって、格差拡大の抑制を進める。

こうした対応によって所得分配が平準化していえば、その分だけ人口回復の可能性が高まってくるものと思われます。 

2017年7月17日月曜日

外国人の労働力を受け入れる!

人口減少時代にGDPを維持していくには、「人口減少でGDP /人は2倍へ!」(2017年5月18日)で述べたように、まずは労働力の確保が必要です。

それには、①労働力対象の見直し、②AIやロボットなど新技術による生産性の向上③外国人労働力の受け入れ、の3つが求められます。

①②についてはすでに述べてきましたので、③について付記しておきますと、すでに「
外国人を増やせるのか?」(2015年1月20日)と「プラス、マイナスの分岐点は?」(2015年1月21日)で触れたように、今後は外国人常住者の受け入れを毎年平均3.7%の割合で増やしていかなければなりません。

だが、それに伴って、総人口に占める比重が次第に高まり、2030年には3%台、2040年には4%台、そして2050年には7%台へ急上昇します。

この比率が5%を超えるあたりから、ヨーロッパ諸国では社会・経済のさまざまな側面で、プラス面よりマイナス面が顕在化しているようです



となると、わが国においても、2040~50年代に5%を超えるまでは、プラス面の効果の方が期待できるものと思われます。

いずれにしろ、人口が減少する時代にGDPを維持していくには、マイナス現象、あるいはデメリット現象への対応を的確に行ったうえで、外国人の受け入れを徐々に行うことが求められます。


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この件に関しては、同趣旨の論文を16年前、『中央公論』(2001年10月号)に寄稿しています。→現代社会研究所サイト
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2017年7月4日火曜日

人工知能やロボットを激活する!

生産年齢人口や労働力人口の減少をカバーするには、人工知能やロボットなどの最先端技術を最大限に活用しなければなりません。

㈱野村総合研究所の推計(2015年12月)によると、10~20年後には国内労働人口の49%に当たる職業が、人工知能やロボットで代替される可能性が高い、とされています。



どのような職業が代替されるのか、次のように指摘しています。

代替可能性の高い職業は、製造や販売などの現場作業であり、可能性の低い職業はクリエイターや研究者、医者や保育士などである。

代替可能性が高のは、必ずしも特別な知識・スキルが求められない職業や、データの分析や秩序的・体系的操作が求められる職業であり、逆に代替が難しいのは、抽象的な概念の知識や他者の理解、交渉などが必要な職業である。

要するに、日本の生産を支えている、さまざまな職種のうち、単純労働や定例的労働などについては、ほぼ半分ほどが人工知能やロボットに置き換えられる、ということです。

このためか、人工知能やロボット技術の進歩によってさまざまな職業が不要になり、失業者が急増するのではないか、という懸念や不安も囁かれ始めています。

しかし、人口減少時代に日本の生産力を全体として維持していくには、一人一人の生産性を上げていくことが必要です。

人工知能やロボットに置き換えられる職種は積極的に代替を進め、その余力を代替不可能職種に振り向け、既存業務全体の生産性を上げていく。そのうえで、生産性の高い新商品や新サービスを創り出す分野へと移行させていく。

人工知能やロボットの導入で失業者が増えるとしても、彼らを非代替分野へ積極的に振り向けることで、全体として不足する労働力をカバーしていかなければなりません。

人口減少時代には、職業能力対策もまた、人口増加・成長・拡大型社会とは異なる、人口減少・飽和・濃密型社会に即した方向へと、大胆に対応していくことが求められるのです。

2017年6月28日水曜日

生産性の上昇で労働力の減少をカバーする

新しい年齢区分の適用で生産年齢人口を56%台で維持し、さまざまな労働参加策の向上によって労働力率を60%台に引き上げることができれば、GDPの維持はさほど困難なことではありません。

しかし、労働力人口が減っていくことは避けられませんので、もう一方では、労働者1人当たりの生産性を上げていくことが必要になってきます。私たち日本人の労働生産性は現在、どの程度なのでしょうか。

(公財)日本生産性本部の「
労働生産性の国際比較」(2016年度版)によると、次のように位置づけられています。



①日本の労働生産性(2015年)は74,315ドル(783万円)で、OECD加盟35カ国中22位、カナダ (88,518ドル/932万円)や英国(86,490ドル/911万円)をやや下回り、米国(121,187ドル/1,276万円)の概ね6割程度である。

②日米間の生産性格差は、両国企業の価格戦略の違影響されている。

日本企業では小売や飲食、製造業などを中心に、1990年代からのデフレに対応して業務効率化を進め、利益を削ってでも低価格化を実現するという戦略で競争力を強化してきた。
一方、米国企業では生産性の向上によって付加価値を拡大させ、高価格を実現してきた。
こうした両国間の戦略差が生産性の格差を生みだしている(米・コロンビア大学:H.パトリック教授)。

③日本の生産性を向上させるためには、米国で急成長している配車サービス「ウーバー」のような、IT技術をミックスしたサービスの開発が求められる。

米国ではIT技術によるイノベーションがさまざまな産業分野で、新たな付加価値を創出する原動力となって、生産性の向上にもつながっている(米・ハーバード大学:D.ジョルゲンソン教授)。

④日本が米国など主要国との格差を縮めるには、業務の効率化を進めるだけでなく、新しいサービスや製品を生み出して、付加価値を上げることが必要である。


以上のように、日本の労働生産性は今後、大きく改善される可能性があります。

とりわけ、IT技術、AIやロボットなどの導入によって、生産年齢人口や労働力人口の減少をカバーできる可能性はますます広がっていくでしょう。

2017年6月20日火曜日

労働力人口を維持するには・・・

生産年齢人口の減少が避けられないとすれば、労働力人口を可能な限り増やしていくことが必要です。

労働力人口とは、15歳以上の人口から非労働力人口(主婦や学生など労働能力はあっても働く意思をもたない者、あるいは病弱者や老齢者など労働能力をもたない者)を差し引いた人数です。

この労働力人口が15歳以上人口に占める比率が労働力率です。

労働力人口と労働力率の推移を振り返ってみると、下図のようになります。

人口増加に伴って、労働力人口は2010年ころまで順調に伸びてきましたが、1990年代以降は労働参加率の低下によって、2000年ころから減少してきました。

しかし、2010年以降、女性や高齢者の労働参加が進み始めたため、2015年には幾分回復していきました。

前回見たように、生産年齢人口(15~64歳)は今後、年齢区分を見直したとしても、なお急減していきます。

とすれば、生産力を維持するには、労働力率をさらに上げていくことが求められます。

労働政策研究・研修機構の「労働力需給の推計・2016年版」によれば、下図のように労働力率を現在の59%台から2020年には60.2%へ、2030年には60.8%へと上げていきことができれば、労働力人口は現在の6580万人台から、2020年には6589万人2030年には6362万人まで維持していけるものと推測しています。
要するに、15歳以上の国民にできるだけ働いてもらえるよう、さまざまな対策を展開する必要がある、ということです。

具体的に言えば、女性や高齢者・障碍者などがいっそう労働に参加できるように、働き方の改革や雇用制度の改革などを積極的に進めていくことでしょう。

女性の参加率拡大については、ダイバーシティ経営の実践や促進、待機児童解消対策の強化、産休・育休制度の拡張など、女性が働きやすい体制造りが求められます。

高齢者の参加率改善については、65歳以上まで働ける雇用体制の拡大、ハローワークなどでの生涯現役支援体制の拡大、体力に見合った雇用体制の拡大などが求められます。

人口減少に伴う生産力の減少に対応していくには、まずは以上のような労働力率の上昇が求められます。