「今後50年・飽和社会」の予測が、ひとまず終わりましたので、中断していた「言語生成・新仮説」へ戻ります。
私たちが日常的に使っている「コトバ」が、何時どのような経緯で生まれ、いかなる方向へ発展してきたのか、これまで述べてきたことを今一度整理しておきます。
➀新仮説では、上表に示した、筆者の主張する「生活世界構造図」の「言語6階層説」をベースにして、より広い視点から「言語の起源・進化」を検討しています。 ➁「言語」という識知装置を、「五感の捉えた感覚を識知に置き換える、認識的な手段」と考えて、上表の横軸のように「音声・文字・動作・形象・表号」の、5つの「言語表現」として考察しています。従来の言語起源論が音声表現や文字表現だけに留まっているのに対し、新仮説では動作表現、形象表現、表号表現にまで広げて考察しています。 ➂「言語」という識知装置は、上表の縦軸のように、環境世界の把握法によって「身分け・識分け・言分け・網分け」の各次元で変化していきますから、それぞれの階層で生まれてくる言語を、深層言語・象徴言語・表象言語・交信言語・思考言語・観念言語の6つの「言語階層」とみなします。 ➃深層言語は、「身分け」が把握したものの、「識分け」が掴む前の無意識(深層心理)的な事象を、イメージや偶像などで表した認識装置であり、動作、音声、形象、表号、文字の全ての表現が含まれています。10万年以前に世界のあちこちで生み出されたものが、7~5万年前に初期的な形態へと進展し、3万年前ころにはホモ・サピエンスの間へ幅広く浸透していった、と推定されます。 ➄象徴言語は、「身分け」が把握し、「識分け」が捉えた事象を、とりあえず擬声語や擬態文字、イメージや偶像などで表した言葉です。意識が把握したものの、表象言語が形成される前の、モノコト界でゆらゆら浮遊している言語と言ってもいいでしょう。深層言語から象徴言語への移行は、10万年前ころから徐々に進み、8千年(BC6千年)前ころに本格的な段階へ至ったものと思われます。 ⑥表象言語とは、人類が「身分け」し、「識分け」した対象を、コトバやシンボル(絵や形)によって「言分け」する言葉です。意識が把握し、モノコト界でゆらゆら浮遊している象徴言語を、より明確なコトバやシンボルに置き換えた言葉ともいえるでしょう。この言語はおよそ1万2千年(BC1万年)前に始まり、5千年(BC3千年)前ころに形成された推定されます。 ⑦交信言語とは、表象言語が人間集団という共同体内の交流を通じて共通素となり、音声や記号によって他者との会話にも使用されるようになった言葉です。この言語も表象言語と同じく、1万2千年(BC1万年)前から5千年(BC3千年)前ころに始まったものと思われます。 ➇思考言語とは、共同体との交流を通じて個人の中に育まれた表象言語を、特定の音声や記号に変えて、自らの思考や集団内の合意形成などに使用する言葉です。この言葉によって、人類は「言分け」による「コト界(言知界)」から、「網分け」による「アミ界(理知界)」への移行を促され、集団的な思考を行うようになりました。この言葉も、音声表現や文字表現によって、2700年(BC700年)前から1300年(AD700年)前ころに生まれたものと推定されます。 ⑨理知言語(観念言語を改称)とは、人類が思考を深めるために創り出した言語であり、「身分け」「識分け」「言分け」が捉えた事象を、「網分け」の“理知”によって精細に捉え直し、音声や記号などの創作言語で表現した言葉です。この言葉は、専門的知識人や特定社会集団などの“理”縁共同体が、高度な思考するための記号として使われており、およそ600年前ころに生まれたと思われます。 |
以上、これまでの経緯を説明してきました。
9番目の理知言語については、AI言語や量子言語などにも波及していきますから、次回からさらに詳しく検討していきます。







