2017年10月8日日曜日

人口容量に本格的な余裕が生まれると・・・

総期待肥大値が2030年代人口容量1億2800万人を下回った後、総人口はどのように回復していくのでしょうか。

総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を超えたのは1960年代でしたので、普通出生率普通死亡率が、おそらく当時の水準にまで戻る動きが出てくる、と思われます。

しかし、ほぼ50年にわたる出生率低下と死亡率上昇が、一気に回復するのは不可能ですから、1960年の水準に戻るには、なお70~80年間の年月が必要だと思います。

そこで、出生率と死亡率が2030年から80年後の2110年に1960年の水準に回復すると仮定して、1960年から2015年までのデータと2110年を結ぶ多項式を求めてみると、下図のようになります。


この式でシミュレートしてみると、2050~60年代に両率はともに変曲点を迎え、それ以後、出生率は上昇へ、死亡率は下降へと進みますから、2100年ころに自然動態もまた減少から増加に転じることになります。

いうまでもなく、総人口は自然動態だけで増減するわけではありませんが、日本の場合は社会増減が少ないため、総人口の大勢は自然増減によってほぼ決まる思います。

この多項式に実際の年数の経過を代入してみると、今後ほぼ100年間の出生数と死亡数が推定されて、それより毎年の人口増減率が計算できますから、総人口の今後の動きを下図のように描くことができます。


①一番上の曲線は、国立社会保障・人口問題研究所が2017年4月に発表した予測値(中位推計)です。前回(2012年3月)の中位推計よりやや上目に推計されていますが、2015年まで一貫して減少していく、とされています。

②一番下の曲線(新予測①)は、上記で説明したとおり、出生率と死亡率が2110年ころに1960年の水準まで回復すると仮定した場合の総人口の予測値です。①よりやや下目に推移していますが、2105年ころから上昇に転じ、2110年ころに①を追い抜いていきます

③真ん中の曲線(新予測②)は、出生率と死亡率が、新予測①の前提より10年早い2100年ころに1960年の水準に回復すると仮定した場合の総人口の予測値です。これもまた①よりやや下目に推移していますが、2090年ころに追い抜いて、2105年ころからは上昇に転じていきます。

今回は、とりあえず回復目標時点と総人口の関係をざっと眺めてきました。

目標時点を決めるのは、人口容量と総期待肥大値の時間的関係ですから、その前後によって、21世紀後半~22世紀初頭の日本の総人口は、大きく影響を受けるものと思われます。 

2017年9月26日火曜日

減少圧力を抑えられるか?

増加圧力を活用するには、減少圧力、つまり人口抑制装置の作動を緩和させることが必要です。

装置を緩和できるのか否か、それを決めるのは、作動のきっかけとなった、国民の価値観=総期待肥大値の動きです

先に【
人口は再び増加する!:2015年7月5日】で触れましたが、総期待肥大量は現在、1億6000万人の規模にまで膨れ上がっており、人口容量に多少の余裕が生まれた程度では、抑制装置を緩和するまでには至りません。

振り返ってみると、抑制装置が作動し始めたのは、総期待肥大値が1億2800万人の人口容量を超え始めた1960年代でした。・・・【
人口抑制装置を緩められるか?:2017年8月8日

この頃から抑制装置が徐々に強まるにつれて、人口の伸び率も次第に低下し、2008年に至って実数もまた増加から減少に転じたのです。装置の作動から人口の減少まで、実に半世紀の時間がかかっている、ということになります。

とすれば、今後、人口を減少から増加に転じさせるためにも、ほぼ同様の月日が必要になる、と考えるべきでしょう。

先に述べたような単純な予測によれば、総期待肥大値が今後、1億2800万人の人口容量を切るのは2030年代と思われます。

その頃から、抑制装置が緩み始めるとすれば、実際に人口が減少から増加に転じるのは,
半世紀後の2070~80年代から、ということになります。

もしも私たちがそれよりも早い回復を望む、というのであれば、総期待肥大値そのものを抑制して、一刻も早く1億2800万人の人口容量以下に抑え込む、という方向へ向かわなければなりません。


果たして、そんなことができるのでしょうか?

2017年9月17日日曜日

増加圧力とは何か?

生物的な人口増減原理については、何度も述べていますが、増加圧力の視点からもう一度確認しておきましょう。

生物学や生態学では「一定の空間において一種類の動物の数(個体数)は決して増えすぎることはなく、ある数で抑えられる」という現象が知られています。

その上限を「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity)」と名づけていますが、日本語には「環境収容力」とか「環境許容量」と訳されています。・・・【
人口減少の本当の理由:人口容量の限界化:2015年1月27日

動物の個体数は、このラインに近づくにつれて、自ら増加率を落とし始め、ピークを過ぎると、減少していくことがわかっています。

しかし、ある程度減少してキャパシティーにゆとりが出てくると、今度は下図のように再び増加に転じ、もう一度キャパシティーの上限まで増えていきます。そうして再度上限に達すると、またまた減少に転じ、さらにまたゆとりが出てくると増加となって、以後はキャパシティーの内側で増減を繰り返します。・・・
2015年1月27日2015年1月28日

図  魚の個体数変化




こうした現象は、人間の場合でも基本的には同じですから、人口容量が増えない限り、その人口もまた、容量の下で増減を繰り返していくことになるのです。・・・【
人口は回復しないのか?:2017年4月25日
現在、日本の人口は12,800万人という人口容量のもとで、130万人ほどゆとりが生まれています。このゆとりは、先に述べたように、2030年には613~1,149万人、2050年には1,246~2,332万人、2080年には3,481~5,516万人まで増えていきます。

膨大なゆとりの発生・・・これこそ生物的な人口増減原理に従えば、人口増加の圧力となるものです。

もし日本人口を少しでも回復させようと思うのなら、この圧力を巧みに利用しなければなりません

2017年9月9日土曜日

増加圧力はここまで強まる!

増加圧力とは、人口容量と実人口の間に生まれるゆとりです。

国立社会保障・人口問題研究所の2017年の予測をベースにすると、2015年に91万人ほどであったゆとりは、下図にしたように広がっていきます。

 
2030年には中位値で888万人(低位値で1,149万人~高位値で613万人)になります。

2050年には中位値で1,808万人(低位値で2,332万人~高位値で1,246万人)になります。

2080年には中位値で5,370人(低位値で5,516万人~高位値で3,481万人)になります。 
経済的な次元でみると、現在のGDP(実質)約500兆円を今後も維持できたとすれば、1人当たりGDPは、2015年の393万円から、次のように上がっていきます。

2030年には中位値で420万円(低位値で429万円~高位値で410万円)になります。
2050年には中位値で491万円(低位値で517万円~高位値で465万円)になります。

2080年には中位値で673万円(低位値で771万円~高位値で587万円)になります。

1人当たりの経済水準は、2015年を1とすると、ゼロ成長であっても、次のように上がっていくのです。

2030年には中位値で1.07倍(低位値で1.09倍~高位値で1.04倍)になります。

2050年には中位値で1.25倍(低位値で1.31倍~高位値で1.18倍)になります。
2080年には中位値で1.71倍(低位値で1.96倍~高位値で1.49倍)になります。

これをみると、人口減少が進めば進むほど、人口容量にはゆとりが大きくなります。

そうなると、一人当たり生活水準も上昇してきますから、人口抑制装置の作動も抑えられるようになります

抑制装置の作動が緩めば、日本の人口もまた、生物的な人口増減原理に基づいて、再び増加し始めることになるでしょう
 

2017年8月29日火曜日

人口には増加圧力と減少圧力がかかっている・・・

21世紀の日本人口は、増加圧力減少圧力のせめぎ合いの中で、人口回復の糸口を探っています。

増加圧力とは、人口容量と実人口の間に生まれるゆとりです。

日本人口は2008年に史上5番目の人口容量の上限=12,800万人にぶつかって以降、徐々に減少しているため、容量との間には少しずつゆとりが生まれています。

現に2017年8月1日現在、総人口は約12,677万人で、123万人ほどのゆとりが生じています。

このゆとりは、今後数10年間、人口の減少に伴って次第に広がっていきますから、
人口抑制装置の作動を緩め、今後は上図に示したように、増加の圧力を高めていくものと思われます。

一方、減少圧力とは人口抑制装置の継続です。

抑制装置は、人口が人口容量の上限に近づいた、20世紀の後半から徐々に作動し、今もなおも継続しています。

人口抑制装置は一度作動すると、ゆとりが生まれた後も簡単には緩まず、先に【
人口は再び増加する!】で述べたとおり、早くとも2030年代まで続いていくからです。

このように、21世紀の日本人口には、増加圧力と減少圧力の両方が潜んでいます。

今のところ、後者の方が強いため、数十年間は減少していくと思われています。

しかし、抑制装置の継続を少しでも抑えることができれば、その分、減少を抑えたり、うまくいけば回復させることもまた不可能ではありません。

それにはどのような対策があるのか、改めて考えていきましょう。

2017年8月18日金曜日

牛乳石鹸CMの炎上で人口抑制が進む!

人口抑制装置の作動している社会を象徴するような事象が、WEB上で起こっています。

6月にYouTube上で公開された、牛乳石鹸のWEBムービーCM「与えるもの」篇です。




2か月ほど経って、SNSなどで批判や罵倒が広がっていますが、一方では援護や容認も現れて、この数日間はまさに“炎上“状態です。

批判派の主張では「意味不明」「大変不快!」「もう買わない」などと、否定的な文言が並んでいますが、一方では「すごく共感」「一応わかるよ」「お父さんの応援ムービー」などと評価する意見も散見されます。

CMのデキはともかく、これだけ騒がれたのですから、提供者や製作者としては十分満足されていることでしょう。

ともあれ、賛否激論の中身を探っていくと、人口減少の進む社会の構造がまざまざと浮上してくるような気分になります。

整理してみると、次の3つがポイントです。

増子化、あるいはコダルト化の進行・・・平均寿命の延長に伴って、子供時代の上限が30~40代にまで上がっている。

世代間のギャップの拡大・・・55歳前後の谷間世代を境界として、生活価値観(=期待肥大値)が大きく変化している。

期待肥大値の拡大で抑制装置が作動・・・子供に対する親の責任水準が高まるにつれて、出産を抑えようとする傾向が高まっている。

人口抑制装置が作動するのは、人口容量が伸びなくなった時代に、増加時代の生活価値観(期待肥大値)をなおも続けようとする人々が引き起こす、さまざまな軋轢のためです。

それは決して悪いことではなく、人口容量に適切に対応していこうとする生物の知恵を示しています。

こうした意味で、批判派の不快感は勿論、肯定派の共感もまた、人口を抑制する装置を動かしているといえるでしょう。

牛乳石鹸CMの炎上事件は、現代日本の気分、あるいは感情状況をまさしく象徴しています。 

2017年8月8日火曜日

人口抑制装置を緩められるか?

人口容量のゆとりが拡大するにつれて、人口回復の可能性が高まってくると述べてきました。

この実現性を当ブログの基本的な論理である「
人口抑制装置」の視点から、改めて検討してみましょう。

結論を先に述べますと、「ゆとりで装置が緩むのは2030年代から」ということになります。

人口の実数ではゆとりが生まれますが、国民の価値観=総期待肥大値でゆとりが生まれてくるのは2030年代になるからです。

先に【
人口は再び増加する!】で触れましたが、総期待肥大量は現在、1億6000万人の規模にまで膨れ上がっており、人口容量に多少の余裕が生まれた程度では、人口抑制装置を緩和するまでには至りません。

緩和できるのはいつ頃になるのか。下図に示したように、人口減少と年齢構成の変化に伴って、2030年代になると、ようやくこの値は1億2800万人を切ることになります


そうなると、本質的なゆとりが生まれてきます。

2030年以降、人口容量に本格的な余裕が出てくると、徐々に影響が出てきます。


それによって、一方では一貫して落ちていた出生率が上がり始め、他方では上昇傾向だった死亡率が少しずつ緩み始めて、2050年頃にようやく下がっていく可能性が生まれてきます。

果たしてこれが実現できるものなのか、人口抑制装置の作動を緩和する条件を、もう一度考えていきましょう。