2021年9月15日水曜日

グローバル化を見直す!

ポストコロナ時代の新たな社会目標を予想するため、集約・統合的識知という視点から、市場経済制、民主主義制、グロ―バル化を見直しています。

今回は3つめのグローバル化です。

今回のコロナ禍によって、グロ―バル化についても、さまざまな混乱が露呈しています。

すでに【ル・ルネサンスは集約・統合的な社会知をめざす!】で指摘しましたが、国際機関の空洞化、国際市場経済制の欠陥化、食糧・資源・燃料などの枯渇化といった現象が目立ち始め、安易なグローバリズム信仰が大きく動揺しています。

こうした混乱を乗り越えていくには、集約的・統合的集中性という、新たな社会知が必要だと述べてきました。

この社会知は、「言語機能は分節化から合節化へ」「数値機能は数値絶対化から数値相対化へ」「把握機能はシステム化からストラクチャー化へ」の、3つから構成されています。

この視点をグローバル化の今後に適用してみましょう。


①言語機能:分節化から合節化へ

グローバル化という言葉は、人、物、金などが国境を越えて広く交流することを意味し、それこそが人類の発展方向だという価値観もまた内包している。

しかし、野放図なグローバル化によって自国内の生産構造が次第に崩れ、些細な国際変動によって、自国民の生活が危機に瀕するケースが拡大している。

こうした悪弊を防ぐには、まずは国内の自給構造を再構築し、それに対応した国際分業をめざすことが必要になる。

いいかえれば、過剰な国際分業を見直し、国際分業と国内自給を改めて整合化することが急務なのだ。

②数値機能:数値絶対化から数値相対化へ

国際情勢を大局的に把握するため、国際連合などでは統計的データによる集積と分析が行われている。だが、現実の世界情勢は数値を超えて、刻々と変化している。

世界人口の予測でも、国連人口部の「World Population Prospects 2019」では、現在の77憶人から、2030年に85憶人、2050年に97憶人、2100109憶人に達すると予測している。だが、コロナ禍の影響やSDGs(下記参照)の進展などによって、ワシントン大の予測では、2050年に87憶人、2100年に63憶人まで落ちていくという。

昨今の大きく変貌する国際構造に対応していくには、視野狭窄に陥りがちな数値・統計的把握だけに留まらず、意見収集・交流実態などを通じて、多様な情動的情報との統合を行い、政策化の充実をめざすことが望まれる。

③把握:システム化からストラクチャー化へ

国連はSDGsSustainable Development Goalsと命名し、17の世界的目標、169の達成基準、232の指標と、極めて多くの目標をシステマティックに掲げている。

これはまさに分散型、ポイント型、ネットワーク型の識知構造を意味している。

だが、上記の如く、SDGsが進めば、人口減少が進んでいくことになる。つまり、SDGsの推進と人口の維持は対立する目標なのである、

その意味で、SDGsがいかに偏狭な発想であるかについては、筆者の別のブログで【サステイナブル・・・えっ、ほんとに実現できる目標なの?】以下で詳しく述べている。

マスメディアの多くが、何の躊躇いもなく「SDGs賛成!」と国連追従を繰り返しているのは、まさに時代錯誤そのものであろう。

とすれば、今や人口減少へと転換しつつある世界への対応は、もっとストラクチュアルに提示していかなければならない。

ストラクチュアルとは、個別の目標の積み上げではなく、民主主義制、市場経済制、国際協調制などを含む、人類の社会構造そのものを、横断的、統合的、ラッピング的なアプローチによって、人口増加型から人口減少型へどのように変革していくか、を示すことである。

要するに、点と線による一元的な国際視点から、何層かの面を重ねていく多元的な国際視点への転換が望まれるのだ。

以上のように、ポストコロナ時代には、グローバル化についても、新たな社会知による見直しが求められるでしょう。

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