国連のSDGs(Sustainable Development Goals)が目ざす持続可能(Sustainable)とは、地球の人口容量を90億人程度で維持し、世界人口を低位値に近づけていくことだ、と述べてきました。
そこで、SDGsに掲げられた17の目標が、世界の人口動態にどのような影響を及ぼすのか、国連の説明に従って、そのインパクトを考えてみましょう。
まずは前半の7目標について。
1.貧困・・・「あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる」
2030年までに極度の貧困を世界中で終わらせると、一方では死亡率の低下で人口は増加し、他方では生活水準の上昇による出生率の低下で人口が減少するという、両面的な影響が現れます。 |
2.飢餓・・・「飢餓を終わらせ、食料安全保障と栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」
飢餓を撲滅し、すべての人々、特に貧困層や幼児を含む脆弱な立場にある人々が安全かつ栄養のある食料を十分得られるようにし、若年女子、妊婦・授乳婦、高齢者の栄養需要に対処すると、死亡率が低下し、人口は増加します。 |
3.保健・・・「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する」
2030年までに、世界の妊産婦の死亡率を出生10万人当たり70人未満に削減し、新生児や5歳未満児の死亡率を激減させると、死亡率が低下し、人口は増加しますが、生活水準が高まるにつれて、出生率が低下し、人口は減少します。 |
4.教育・・・「すべての人々へ包摂的かつ公正な質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」
2030年までに、すべての子どもが男女の区別なく、適切かつ効果的な学習成果を得られる、無償かつ公正で質の高い初等・中等教育を修了できるようにし、すべての人々が男女の区別なく、質の高い技術教育・職業教育と大学を含む高等教育への平等なアクセスを得られるようにすると、自己実現願望の拡大で出生率が低下し、人口は減少傾向となります。 |
5.ジェンダー ・・・「ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う」
あらゆる場所ですべての女性と女児に対するあらゆる形態の差別を撤廃し、公共のサービス、インフラ、社会保障政策の提供や、世帯・家族内における責任分担を通じて、無報酬の育児・介護や家事労働を評価し、 政治、経済、公共分野のすべてのレベルの意思決定で、完全かつ効果的な女性の参加および平等なリーダーシップの機会を確保すると、結婚の延期や育児の敬遠などで出生率は低下し、人口減少が進みます。 |
6.水・衛生・・・「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」
2030年までに、すべての人々が安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成できるようにすると、衛生水準の上昇で死亡率が低下し、人口は増加します。 |
7.エネルギー・・・「すべての人々の、安価かつ信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保する」
2030年までに、世界のエネルギーミックスにおける再生可能エネルギーの割合を大幅に拡大させ、世界全体のエネルギー効率の改善率を倍増させると、人口容量の安定化によって、人口の維持される傾向が強まります。 |
以上のように、前半の7目標の影響では、人口増加が4つ、人口容量維持が1つ、人口減少が4つ(ダブり2項目)ということになりそうです。
後半は次回で。
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