2015年5月26日火曜日

「人口激減社会」は悪いことばかりじゃない!


週刊新潮(4月30日号)巻頭特集「人口激減社会の利点検証」に、幾つかの利点をコメントしました。https://www.shinchosha.co.jp/shukanshincho/backnumber/20150422/
おもな内容は http://homepage1.nifty.com/gsk/insist15.htm です。

これが英訳、仏訳されて、世界中の皆様からご意見やご批判をいただきました。

英語:https://www.japantoday.com/smartphone/view/kuchikomi/a-shrinking-population-not-all-bad-news

仏語:

http://www.nipponconnection.fr/une-diminution-de-la-population-japonais-nest-pas-forcement-une-mauvaise-nouvelle/

















ありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
Thank you very much. I am deeply grateful.

2015年5月21日木曜日

9年前にも書いています!

人口抑制装置の作動を抑えるには、人口容量を増やすか、あるいは1人当たりの人口容量(生活水準)を落とすか、どちらの選択しかありません。このことは、先に述べた下記の式が明確に示しています。







実をいうと、こうした選択については、すでに9年前の毎日新聞(2006年2月4日)論壇「どうする少子化」(古田隆彦)で一通り述べています。以下に再掲しますので、改めて確認していただきましょう。

政府の少子化対策は、その意図とは裏腹に出生数を減らしているのではないか

人口が減るのは、「少子高齢化」のためではなく、出生数を死亡数が追い越す「少産多死化」のためだが、この背景には「人口容量(キャリング・キャパシティー)」の飽和化がある。


容量が一杯になると、原生動物から哺乳類まで、ほとんどの動物は生殖抑制、子殺し、共食いなどで個体数(動物の人口)抑制行動を示し、容量に確かな余裕が出てくるまで続ける。さすがに現代人はそこまではしないが、動物である以上、生殖能力や生存能力の低下とともに、避妊、中絶、結婚減少など人為的な抑制を行う。

他方、人間の人口容量は、国土の自然・社会環境をいかなる文明で利用するか、で決まる。歴史を振り返ると、日本列島の人口容量は、旧石器文明で3万人、縄文文明で30万人、粗放農業文明で700万人、集約農業文明で3300万人程度であったと推定される。この壁にぶつかる度に、日本の人口は停滞もしくは減少を繰り返してきた。

人口容量が拡大している時には、1人当たりの人口容量である「生活水準(経済、環境、自由度などを統合した水準)」が伸びても、なお容量にゆとりがあるから、親世代は自らの水準を落とさないで、子どもを増やせる。が、容量が限界に近づくと、許容人口は生活水準が高ければ少なく、水準が低ければ多くなる

そこで、親世代は自らの水準を下げて子ども増やすか、水準を維持して子どもを諦めるか、の選択を迫られる、すでに一定の豊かさを経験している親世代は、それを落とすことを嫌うから、事前に晩婚や非婚を選んだり、結婚後も避妊や中絶を行って出生数を減らしていく。

現代日本は工業製品を輸出して食糧・資源を輸入する〝加工貿易〟文明によって1億2800万人の人口容量を作り出してきたが、これが今、頭打ちになった。


そこで、多くの日本人は無意識のうちにも人口抑制行動を開始し、過去の減少期と同様、出生数を減らしはじめている。つまり、「晩婚化・非婚化」や、「子育てと仕事の両立が難しい」という理由の背後には、「飽和した人口容量の下での自らの生活水準を維持しよう」という、隠れた動機が働いているのだ。

ところが、エンゼルプラン以来の少子化対策は生活水準を上げてしまう。人口容量が伸び悩んでいる時、水準をあげれば、許容量はますます縮小し、その分、出生数を減らし死亡数を増やして、人口を減らす。ミクロの増加がマクロの減少を招くのだ

「子育てと仕事の両立を進めるな」といっているのではない。「この種の政策で出生数の回復は無理」といっているのだ。
政府がお金をかければ、一時的に出生数は増える。が、少し手を抜けば1990年代のスウェーデンのようにたちまち減少する。

本格的に出生数を回復させるには人口容量の拡大しかないが、それには文明次元の転換が必要だから、少なくとも30~40年はかかるだろう。 

いかがでしょうか。こうした考え方にたって、私は今もなお、新たな社会構想を進めています。

2015年5月19日火曜日

現代日本でも人口抑制装置がすでに作動している!

これまで見てきたように、現代の日本でも人口抑制装置がすでに作動しています。

もっとも基礎的な生物的抑制では、生殖能力低下、若い世代のセックス離れ、流死産の増加などで「増加抑制が進む一方、死亡数・死亡率の上昇、平均寿命の伸び率の縮小などで
減少促進が始まっています。

人為的(文化的)抑制でも、人工妊娠中絶件数の増減や自殺数の増減など(直接的抑制)、結婚の抑制、子どもの価値の低下、家族の縮小など(間接的抑制)、緩慢な出産奨励策など(政策的抑制)によって「増加抑制」が進んでいます。

また自殺数の増減など(直接的抑制)、自然環境の悪化や健康水準の低下など(間接的抑制)、長寿者向け社会保障制度の縮減など(政策的抑制)によって、「減少促進」もすでに始まっています。

以上のように、人口容量が飽和化した現代日本では、必然的に人口抑制装置が動き出しています



 一旦作動を開始した人口抑制装置は、人口容量に十分なゆとりが出てくるまで、決して止まることなく継続していきます。

もしこの動きを止めようとするのであれば、新たな文明によって人口容量を増やすか、あるいは1人当たりの人口容量、つまり広い意味での生活水準を落とすか、どちらの選択しかありません。

現代日本で人口を回復させていくには、どちらを選ぶべきなのでしょうか?   

2015年5月14日木曜日

減少促進策はすでに実施されている!

政策的な抑制策には、人口を減らしていく減少促進政策もあります。

人口を減らすというと、いわば退行的な政策ですから、表立って宣伝されることはありませんが、日本の現状を注意深く見つめてみると、すでに幾つかの分野で、このような政策が始まっています。代表的な政策が、長寿者向け社会保障制度の縮減です。幾つかの事例をあげておきましょう。

後期高齢者医療制度の負担増・・・75歳以上の「後期高齢者」だけを独立させて医療給付を集中管理するという、他国にはほとんど類を見ない政策として、2008年4月に始まった、この制度は、2年ごとに保険料金(全国平均)の引き上げを繰り返してきました。このためか、保険料を払えずに滞納した75歳以上の人は約25万人にのぼり、正規の保険証でない、有効期間が短い短期保険証を交付された人は2万3千人に達しています。それにもかかわらず、厚生労働省は2017年度から、所得の低い人の保険料軽減措置を段階的に撤廃する方針を打ち出しています。現在は低所得者や、会社員や公務員の扶養家族である人の保険料は最大9割を軽減されていますが、この特例措置を2017年度から原則として廃止されます。対象者は、75歳以上の約半数に当たる865万人に達する見込みです。

介護保険料の負担増・・・2000年から施行されてきた介護保険制度では、65歳以上の保険料が市区町村ごとに、介護保険サービスの公定価格・介護報酬が改定される3年ごとに見直されてきました。2015年4月に改定された65歳以上の介護保険料は、全国平均で月5514円、542円(10.9%)上昇しました。今後、全国平均の保険料は、2020年度には月6771円、2025年度には月8165円にまで上昇していくと見込まれています。

介護保険・特別養護老人ホーム等費用の負担増・・・介護保険の給付についても、2015年8月から、所得や資産が一定以上ある人や世帯を対象に、特養入居費などの自己負担額が大幅に上がります。これまでは、住民税非課税世帯などが特養などの入居、ショートステイ費用に入居する場合、その所得に応じて3段階で軽減されてきました。しかし、8月以降は、住民税非課税世帯であっても、預貯金と有価証券(時価)の合計額が、単身者1千万円、夫婦合計2千万円を超えると軽減から外されます。自己申告した預貯金額を市町村が金融機関に照会して虚偽と分かった場合には、不正受給額の3倍を支払わなくてはいけないという罰則も設けられました。
さらに夫婦の住民票を2つに分ける「世帯分離」で認められてきた軽減制度も制限されます。夫婦が別の世帯になると、どちらか一方の住民税が非課税になるケースがありましたが、8月以降は世帯分離をしても、夫婦のどちらかが住民税の課税者であれば軽減を認められなくなります。2016年8月以降は、本来は非課税の遺族年金と障害年金の受給者も、他の年金などとの合計額が住民税の課税水準に達していれば軽減対象から外されることになります。


年金が減額される一方、医療・介護などの負担が膨らんでいけば、長寿者の生活はますます苦しくなっていきます。それが意味するのは、間違いなく死亡率の上昇です。

当ブログの1月6日(http://jingenblog.blogspot.jp/2015/01/blog-post_19.html)で述べたように、2010年から2013年にかけての人口減少数76万人の要因は、死亡数増が44%、出生数減が37%、社会減が19%ということになります。つまり、人口減少の最大の理由は死亡者の増加なのです。

高齢者向けの医療・介護保険制度の負担強化は、財政健全化には避けて通れない課題かもしれません。


しかし、人口政策という視点から見れば、長寿者の生活を圧迫することによって、結果的には死亡者を増やし、人口減少につながっていきます。

そうした意味で、これらの政策は減少促進策の典型といえるでしょう。

2015年5月9日土曜日

出産奨励策は期待できるのか?

政策的な抑制は、政策的に行われる増加抑制政策と減少促進政策です。

増加抑制政策でいえば、現在の日本では、いうまでもなく出産奨励策を実施しており、中国の「一人っ子政策」や、戦後の日本が採用してきた産児制限策のような、いわば強制的な出産抑制策は全く実施されていません。

わが国の人口政策の歴史を振り返ってみると、下図のように戦前の人口容量拡大期には堕胎の禁止や産児調節の抑圧のような出産増加政策が実施されてきました。ところが
戦後になって、人口容量のゆとりがなくなってると、今度は産児調節の普及促進や新型避妊具の認可など、出産抑制策が急速に進んでいます。



れをみると、政治的な政策もまた人口容量との、密接な相互関係の中で選択され、かつ実施されてきたことがわかります。

20世紀末からは人口減少への不安が高まったため、わが国の政府は、経済的な理由による妊娠中絶を制限する「母体保護法」へと政策を転換しました。


けれども、この政策は、出産奨励策としては緩慢なものであり、戦前の「人口政策確立要綱」、いわゆる「産めよ増やせよ」政策のような、積極的な出産増加策には至っていません。

人口減少の不安は高まったとしても、その一方で人口容量の停滞不安が数多くの国民の中になお浸透している以上、そこまで強引な出産増加策をとることはまず不可能なのでしょう。

これまで述べてきたように、直接的、間接的抑制が既に作動していますから、政策的な次元において、もし強引な出産奨励策を打ち出したとしても、さほどの効果は期待できなのではないでしょうか。