2026年5月25日月曜日

言語生成・新仮説・・・電子言語の構造は?

生成AIを支える電子言語(プログラミング言語)の構造について考えています。

まずは私たちが通常使っている「自然言語(当ブログでは“表象言語”)」と、どのように異なるのかを明らかにするため、幾つかの生成AIサイトに「自然言語で生成AIと会話を交わすプロセスを、ソフトとハードの両面から、簡潔に図解してください」と質問してみました。

代表的な回答を示します。

ChatGPT・・・問いかけどおりに、シンプルな図を提案しています。

Google Gemini・・・情報流通のプロセスをダイナミックに描いています。

Claude・・・論理だけをフローチャートで描いています。 


それぞれがユニークな回答していますが、最も図解度が高いと思われるGoogle Geminiの構図を、さらに要約させると、次のような構造になります。

この図をベースに、電子言語の特性を考えてみます。

例えば、人間が自然言語で問いかけると、スマホやパソコンが電子言語を経て、さまざまな電子的思考を行い、自然言語で答えるというプロセスは、次のように整理できます。

➀人間が「明日の天気は?」という自然言語を、マイクには音声で、ディスプレィには文字で問いかける。

➁その自然言語をスマホやパソコンは、内蔵する自然言語処理ソフト電子言語に置き換える。

➂変換された電子言語を基に、インターネット上の「生成AIモデル」がクラウドに蓄積された、さまざまな学習データを利用して電子回答を探り出す。

➃電子回答をAIクラウドサービスが自然言語に変換して、音声や文字を創り出す。

➄「晴天です」という自然言語が、スマホの音声パソコンの文字で人間に回答される。

大雑把な推論ではありますが、自然言語と電子言語の関係が凡そこのようなものだとすると、電子言語には次のような特性が浮かんできます。

❶電子言語は、パソコンからクラウドに至るAI関連装置を、人間が操作するための言語である。

❷電子言語は、AI関連者の「知縁共同体」の中だけで使用される言語であり、「“理”縁共同体」言語の延長線上にある。

❸クラウド上に蓄積された、さまざまな学習データは、自然言語の多様性を取捨選択したうえでの、狭義かつ正確性の強い電子言語である。

❹電子言語は、表現対象のストラクチャーから要点を網状に抽した、系的なシステム言語である。

❺情報機器が電子回答を変換して答える言語は、多義性を捨象した自然言語となる。

以上のように、電子言語の特性を整理してみると、その利点と欠点、さらにはそれを基盤とする生成AIの限界までが、朧気ながらも浮かんでくるようです。

2026年5月9日土曜日

言語生成・新仮説・・・電子言語の効用と限界

工業現波の高揚期に始まった電子言語が、飽和期が近づくにつれて急速に進展し、下降期に向けてさらに進化し始めています。

電子言語は、これまでの言語に比べて、どのような特性を持っているのでしょうか。

言語表現(音声・文字・動作・形象・表号)と言語階層(深層・象徴・表象・交信・思考・理知)の両面から考えてみましょう。

言語表現でいえば、文字と表号という視覚記号を中核としつつ、音声という聴覚記号や、動作や形象という映像記号へ広がりつつあります。プログラム言語が文字と理知表号で相互間の交信を行いつつ、音声や動作、さまざまなイメージとも対応しようとしています。

言語階層でいえば、理知言語で把握したアミ界の世界を、交信・思考言語へと押し広げ、さらに表象言語の捉えたコト界にまで広げようとしています。初期のロジスティックな単純プログラムから次第に進展し、近年ではダイアローグなAIプログラムへと移行してきました。

いいかえれば、電子空間の中で飛び交う交信・思考言語や表象言語が創り出す世界、それ自体を模擬人格としての電子主体が現実世界とみなし、人類に対してさまざまな情報行動を展開し始めているのです。生成AIの造り出す空間の上で、自然人そっくりに応対する電子主体、・・・その裏側では、電子言語によるプログラムが縦横に操作している、ともいえるでしょう。

この延長線上で、電子言語は人類と同じレベルの象徴・深層階層にまで進んでいけるのでしょうか。

現在の機能水準では、下図のようにモノコト界やモノ界にまで達するのはかなり難しいと思います。

生成AIは人類の思考・交信能力を超えていく、と喧伝されていますが、それはコト界次元までのことでしょう。理論言語学や言語生成説の立場から見れば、その下部にあるモノコト界やモノ界にまで及ぶのは、今のところ不可能と思われるからです。

現在の電子言語の生成構造は、理知言語を基盤に、思考・交信言語を通じて表象言語へ交信することを前提にしていますから、「言分け」によるコト界までは進展が可能です。

ところが、「言分け」以前の、「識分け~言分け」の間にまでは進めません。表象言語が捉える前の深層的な世界、そこから生まれる象徴言語にはほとんど配慮されていないからです。

とはいえ、何時までも不可能かといえば、そうでもありません。

もし次世代の電子言語が登場し、こうした「言分け」の壁を乗り越え、「識分け~言分け」の次元にまで踏み込めば、サイエンスという時代識知さえ乗り越えて、新たな世界観を生み出すかもしれません。これにより、工業前波の次に来る工業後波がじわじわと始動し始めます。

どうすればいいのか、その可能性を探っていきましょう。

2026年5月1日金曜日

言語生成・新仮説・・・電子言語の成立過程

理知言語の浸透で、世界認識に「サイエンス(科学)」という「時代識知」が広がると、科学技術という文明が生み出され、5つめの人口波動「工業現波」が始動した、と述べてきました(サイエンスという識知が工業文明を創った!)。

言語の進展新たな文明が創り出され、それによって新たな人口波動が浮上し始めるというプロセスは、これまでの論述で何度も述べてきました。深層言語により石器前波が、象徴言語により石器後波が、表象言語により農業前波が、思考言語により農業後波が、理知言語により工業現波が・・・という次第です。

となると、新たな言語の発生で、現在の「工業“”波」が「工業“”波」となり、次の波動である「工業“”波」が始まる可能性も生まれてきます。すでに飽和期を迎え下降期に移りつつある、現在の世界人口もまた、新たな波動の準備を始めるかもしれない、ということです。

このような動きは胎動しているのでしょうか。

確かな動きとは言えないかもしれませんが、コンピューター文明からAI文明への発展を担っているプログラム言語には、その可能性があります。モノ造りを発展させたサイエンスを超えて、コト造りへの移行を促し始めているからです。

そこで、この言語をとりあえず「電子言語」と名づけることにします。電子情報空間によって、生活民の生活空間を操作し始めているからです。

電子言語はいかにして生まれ、どのように発展してきたのでしょうか。まずはその経緯を振り返っておきましょう。

電子言語を代表するプログラム言語は、次のように発展してきました。

1940年代〜50年代初頭の黎明期には、01の羅列だけで指示を出す「機械語 (Machine Code)が生まれました。

1950年代後半から60年代になると、FORTRAN COBOLLISP など、特定のコンピューターに依存せず、数式や英語に近い表現で書ける「高水準言語」が登場しました。

1970年代には、プログラムが複雑化するにつれて、C言語、Pascalなど、「整理整頓」して書く手法(構造化プログラミング)が求められるようになりました。

1980年代から90年代初頭にソフトウェアの規模が巨大化し、C++Objective-Cなど「データ」と「手続き」をセット化する「オブジェクト指向プログラミング」が進展しました。

1990年代から2000年代になると、インターネットの爆発的な普及でネット専用ソフトが誕生し、JavaJavaScriptPythonなど、開発スピードと安全性が重視されるようになりました。

2010年代には、SwiftGoRustなど、安全性と効率を高めるため、よりエラーが少なく、並列処理が得意な「モダン言語」が登場しています。

2020年代になると、GitHub CopilotDSLなど、AI支援プログラミングが進展し、自然言語からコード生成へと補完力を強化させ始めています。

こうしてみてくると、電子言語は「コンピューター専用の言葉」から始まりましたが、半世紀の間に「人間の会話に近い言葉」への移行が進み、間もなく「人間の会話をそのまま書く言葉」へと進化しつつあるようです。

人口波動との関係で言えば、工業現波の高揚期に始まった新言語が、飽和期が近づくにつれて急速に成長し、下降期に向けて完成されようとしている、ともいえるでしょう。

このような電子言語とはいかなるものなのか、このブログ、言語生成・新仮説の視点から改めて考察していきます。