2023年11月25日土曜日

ル・ルネサンス:生産・分配体制を再編する!

ル・ルネサンスでは、生産・分配制度、つまり経済構造についても、根本からの再編成が求められます。

まずめざすべき目標を考えてみましょう。



ウィーン出身の経済人類学者、K・ポランニーによると、人類が歴史的に創り出してきた生産・分配制度には、家政、互酬、再配分、交換の4つがあり、これらの制度をほどよくバランスさせた「複合社会(complex society」こそ望ましい、と述べているようです(【K.ポランニーの複合社会論を応用する!】。

こうした視点を、今後の社会の向かうべき生産・分配制度に当てはめてみると、企業や資本家だけが闊歩する市場交換制度、社会主義国家や福祉国家のような再配分至上制度、家族や集落の相互扶助だけに頼る互酬中心制度、個人や家族内だけで生産・消費する家政主導制度の、いずれの一つに偏るのではなく、4つの制度を4つとも存続させながら、それぞれのバランスをとっていくという方向が浮かんできます。

あるいは、移りゆく時代の変化に応じて、組み合わせの比重を変えたり、それぞれの内容を微妙に変換していくという方向も考えられます。

昨今、経済制度の改革案として、コモンズ再生ポスト資本主義などが囁かれ始めていますが、それらを実現していく場合にも、4つの制度のバランス化が課題となるでしょう。

そうなると、今後の社会が市場交換、互酬、再配分、家政の諸制度のほどよくバランスした「複合社会」へ向かって行くには、3つの調整が必要になってきます。 

市場交換の縮小に比例して、適度に他の3領域を広げること

再配分の適正化に応じて、税金や社会保障などの規模を見直すこと

互酬制の拡大に応じて、贈答、贈与、寄与などの社会的意義を重視すること

以上のように、次の人口波動を生み出すためには、より複合化の進んだ生産・分配制度が期待されます。

果たしてその実現は可能なのでしょうか? あるいは、さらに実現性の高い代替案はあるのでしょうか?

2023年11月13日月曜日

ル・ルネサンス:統治体制を見直す!

ル・ルネサンスでは、国家機構、つまり政治・統治制度においても、根本からの見直しが求められます。

前回の政治制度に続いて、今回は統治制度の修正方向を展望してみましょう。

政治制度が国民の合意形成を図るための制度だとすれば、統治制度は合意形成された方策を実現していく制度です。一般には、行政機能執行機能を意味しています。



この課題についても、①分節化から合節化へ、②数値絶対化から数値相対化へ、③システム化からストラクチャー化へ、という視点に立って、幾つかのアイデアを検討してみましょう。

①言語機能・・・分節化➡合節化】を実現するため、【間接制度中心➡直接・間接整合化】が求められる。

超省庁的課題への対応拡大・・・工業前波の社会的課題を大きく超えた諸問題(脱福祉国家、地球単位の互助組織の進展など)の拡大に伴って、従来の固定的な行政分野では対応できなくなるケースが増えてくるため、超省庁的な新組織の設定と運営を柔軟に行っていく。

専門省庁と課題別チームのバランス化・・・超省庁的な新組織の拡大で、従来の専門別省庁との間に新たな連携方式を形成し、それによって省庁の既存運営方式を大胆に改良・修正していく。

公務員・民間人交換制の導入・・・工業後波の進行に伴って、次々発生する、新たな社会的課題に対応するため、斬新な発想力のある民間人を統治分野に参加させるとともに、統治能力の高い公務員を経済・社会分野に転出させ、両者の合力化を可能にするような、新たなジョブ型雇用制をめざす。

②数値機能・・・数値絶対化➡数値相対化】へ向かうため、【多数決絶対化➡多様意見整合化】を検討する。

数値統計+非数値情報による判断拡大・・・情意のバランスのとれた統治制度を実現するため、さまざまな社会・経済事象を把握する時には、数量・計量的把握に加えて、民意・世論・世相・風潮など超数値的な情報把握に努め、両者の統合をめざす。

統計少数値への肯定的理解の拡大・・・統計的には少数であるマイノリティーに対しては、極力その意見を収集・分析し、多数派意見との調整を図る。

③把握機能・・・システム化➡ストラクチャー化】へ転換するため、【網の目的統治➡風呂敷的統治】を目指す。

超省庁的政策課題の発見・提案拡大・・・工業後波の社会的課題は、従来の省庁的視点を大きく超えているため、専門的・ネットワーク的なアプローチに留まらず、より視野を広げた、多角的・ラッピング的なアプローチによる発見や提案が求められる。

❷政策課題への超省庁的対応拡大・・・個々の政策課題への対応についても、先例・慣例重視の専断的担当を見直し、常に省庁を超えた、横断的な対応の可能性を探っていく。

以上のように、制度改革の基本的な方向を挙げてきましたが、工業後波の統治制度においては、工業前波の専門的統治制度を継承しつつも、省庁の固定的な役割を大きく超えていくような、幾つかの修正が必要になるでしょう。

2023年11月3日金曜日

ル・ルネサンス:国家機構を見直す!

ル・ルネサンスでは「統合科学(Omni-science:オムニシェンス)」という知性によって、倫理・使命感を持った「集約的・統合的構造性」という社会知が形成され、グローバル化、国家機構、生産・分配制度などの修正が準備されることになります。

今回は、国家機構への影響を考えてみます。



現代社会では国家機構、つまり政治・統治制度においても、その限界が目立ち始めています。

とりわけ、多くの国家が採用している間接民主制については、❶制度固定化による無力感や不信感の増加、❷政党選挙制による個別意見の排除、❸代議制による政治的無関心の拡大、❹投票者は政策内容・実施状況の検証・理解が困難、❺選挙活動における利益誘導や投票誘導などの不正など、さまざまな欠陥が露呈しています。

これらを修正し、次の時代にふさわしい政治・統治制度へ進んでいくには、どうしたらよいのでしょうか。

この課題についても、統合科学の社会知の特性、つまり①分節化から合節化へ、②数値絶対化から数値相対化へ、③システム化からストラクチャー化へ、という視点に立つと、幾つかのアイデアが浮上してきます。

まずは政治制度について、次のような方向が考えられます。

①【分節化➡合節化】を実現するには、【間接制度中心➡直接・間接整合化】が求められます。

IT化による選挙方式の導入……現在の直接投票唯一制に、パソコンやスマホなどで個人認証を徹底化したIT投票制を加え、投票率の拡大を図る。

個別政策別意思表示法の導入……政党主導型政策選定に加え、重要な個別政策については、国民自身がその是非を選べる投票制度を導入する。

議員任期・回数限定制の導入……議員の固定化・職業化を脱するため、任期や回数などの制限を導入し、議員の流動化・多角化を図る。

②【数値絶対化➡数値相対化】へ向かうには、【多数決絶対化➡多様意見整合化】を検討することが必要です。

多数決+異見調整方式の導入……多数決を前提にしつつも、投票の事前事後に反対意見との調整を図る機会を拡大し、合意形成の上昇を図る。

少数意見探索・組み込み方式の導入……政策案の立案に際しては、主導意見だけでなく、少数意見や反対意見なども広く収集し、効果・逆効果、利益層・不利益層などを明示したうえで、議会への提案を図る。

③【システム化➡ストラクチャー化】へ転換するためには、【網の目的政治➡風呂敷的政治】を目指すことが求められます。

代議制+直接投票制による関心拡大……重要な個別政策については、国民の直接投票制をいっそう拡大し、政治課題への参加拡大を促す。

社会的課題の網羅的抽出……国家の取り組むべき社会的課題については、利害関係者や主要関心者の意向だけをくみ取るだけでなく、その背後や影響にまで広く目を配った、統合的な政策提案をめざす。

課題解決策の多様な提案……新たな社会的課題に取り組むには、合理的な解決策に加えて、非合理的にもかかわらず合意形成が可能な方策なども提示し、一面的な提案から多面的な提案への転換を図る。

以上のように、今後の政治制度では、現在の間接民主制を継承しながらも、国民の参加をいっそう可能にするような、幾つかの修正を加えていくことが求められるでしょう。