第1のオリジナリティーでは、R.マルサスの立てた2つの公準(①人間の生存には食料が必要である、②人間の情欲は不変である)を継承しつつ、第2にあげた「人口容量」の視点によって、改めて3つの公準に再構成しています。
①人口は常に増加圧力を持つ
②人口は人口容量の範囲内で増加する
③人口容量の規模は、文化や文明による自然環境の利用形態によって決定される
②人口は人口容量の範囲内で増加する
③人口容量の規模は、文化や文明による自然環境の利用形態によって決定される
マルサスの「人口原理」は、基本的に人類の人口推移から定立されたもので、立論の根拠もまた各国の人口動向で説明しています。
これに対し、筆者の「人口波動説」は、主として20世紀に発達した生態学や動物行動学などの成果を応用し、動物一般の個体数推移を参考にしつつ、人類の人口動向をとらえ直しています。
動物の個体数推移では、一種の動物が一定の地域空間内で生存できる量を「キャリング・キャパシティー(Carrying Capacity)」という概念でとらえています。
「一定の空間において一種類の動物の数(個体数)は決して増えすぎることはなく、ある数で抑えられる」という現象です。
このキャリング・キャパシティーを人類に応用し、第2のオリジナリティーとして、新たに「人口容量」という用語を提案しました。
「人口容量」とは、自然環境を利用して、文化や文明で作り出す人口の生存規模を意味しています。
日本の生物学や生態学では、「Carrying Capacity」という英語を「環境収容力」とか「環境許容量」と訳すのが一般的であり、「環境」という主体が受け入れてくれる「受動的」能力というニュアンスで使われています。
しかし、人類の場合は他の動物と異なって、しばしば文明という方法によって自然環境に働きかけ、キャパシティーを積極的に拡大しています。
つまり、人類の場合は〔自然環境×文明〕によって容量を変えていますから、「Carrying Capacity」よりももっと「能動的」な意味を込めて、「人口容量(Population Capacity)」と言う用語を使うほうがベターだと思うからです。
以上のような改訂によって、マルサスのoscillations論をよりダイナミックな動態仮説へと変換しました。
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