ル・ルネサンスがいかなる時代になるかを予測するには、①石器・農業・工業波動の成立構造の推移、②旧石器と新石器、粗放農業と集約農業の発展推移、③一つ前の個別波動における下降期の変容推移の、3つの推移を推察することが必要だ、と述べてきました。
そこで最初に、3大波動を引き起こした基本構造の推移をおおまかに考えておきましょう。
石器波動、農業波動、工業波動を生み出した、生業、技術、共同体、熱源(エネルギー)、およびそれらを可能にした時代識知の、それぞれの変化を考えてみます。
❶生業・・・各波動の成立する基礎は、人類がいかなる形で自然を利用して生命源を得ているか、つまり「生業」の形によって決まってきます。 一つの人口波動は【人口容量=(自然環境×文明)/1人当たり生息水準】の上限が拡大することによって開始されますが、1人当たり生息水準もまた文明の様相に準拠しています。それゆえ、人口波動は、自然環境をいかなる文明で利用しているか、つまり「文明」の形によって決まってきます。 文明の具体的な形を「生業」と考えると、石器波動では「動物類の狩猟化や植物類の採集化」、農業波動では「植物類の農耕化や動物類の牧畜化」、工業波動では「動植鉱物類の利用拡大を図る機械化・分業化」が指摘できます。 ❷技術・・・生業を成り立たせるために用いられる、直接的な方法が「技術」です。 石器波動では狩猟・採集を行うための「石器」技術が、農業波動では植物類の農耕や家畜類の牧畜化を行うための「農具」技術が、工業波動では自然資源を効率的に利用するための「機械」技術が、それぞれ該当するでしょう。 ❸共同体・・・技術を駆使して生業を行う生産の主体は、個々人が集まった数人のグループに始まり、次第に人数の多い集団へと拡大してきました。 石器波動では親子兄弟などを基礎とする血縁・地縁集団に、農業波動では特定地域に定住した人々による村落・都市共同体に、工業波動では企業や都市共同体、それらが集合した国家に、それぞれ担われています。 ❹熱源・・・生業を成り立たせる技術の中で、最も基盤となるのは、自然エネルギーをいかに獲得し、いかに有効化するかという方法です。 石器波動でいえば「短期蓄積エネルギーの採集と消費」が、農業波動でいえば「短期蓄積エネルギーの育成と消費」が、工業波動でいえば「長期蓄積エネルギーの採取・育成と消費」が、それぞれ目標にされています。 ❺識知・・・生業、技術、共同体、熱源などを統合するうえで、最も基盤となる人類の能力は、環境世界をどのように理解するかという精神能力、つまり「時代識知」です。 石器波動では「Dynamism:生命力からAnimism:霊魂力へ」が、農業波動では「Mythology:神話からReligion:宗教へ」が、それぞれベースになっていますが、現在の工業波動では「Science:科学からNew Science?へ」がベースになるでしょう。(詳細は後述します。) |
以上は3大波動の基本的な成立構造(structure)を大雑把に整理したものであり、詳しい説明は②や③を紹介したうえで、改めて考察することにします。
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