2025年2月8日土曜日

人口減少期は次期波動の準備期!

世界人口はまもなくピークを越え、減少期に入って行きます。

人類の歴史をふりかえると、人口波動が減少から始動に移る時期には、次の波動を準備する、さまざまな事象が起こっているようです。

ル・ルネサンスのモデルとなる時代を求めて】で既に述べましたが、世界の人口波動における、過去の4つの減少期には、次のような模索が行われています。


上図は以下のように説明できます。

石器前波(Stone early waveでは、BC20000~BC10000Last pre-stone ageで、粗放石器文明から集約石器文明への橋渡しが模索されている。

石器後波(Stone latter waveでは、BC4500BC3500年のLast stone ageで、石器文明から農耕文明への橋渡しが模索されている。

農業前波(Agri early waveでは、200700年のLast ancient ageで、粗放農耕文明から集約農耕文明への橋渡しが模索されている。

農業後波(Agri latter waveでは、13501400年のLast middle ageで、農耕文明から工業文明への橋渡しが模索されている。

これらの橋渡しはどのように行われたのでしょうか。

基本的には、周りの環境世界をどのように把握したのか、つまりどのような仕組みで言語化したのか、さらにそれによってどのような識知で理解したのか、という認識プロセスの変化が行われたのではないか、と思います。

いいかえれば、人口の減少期には、新たな言語使用法を生み出すことで、環境を理解する識知を変革し、それに見合った文明を創造していった、ということです。

こうした視点に立って、とりあえずは全体的な推移を眺めておきましょう。

この図が示すのは、次のような状況です。

Last pre-stone ageには、粗放石器文明から集約石器文明への橋渡しとして、深層言語から象徴言語へマナイズムからアニミズムへの転換が模索された。

Last stone ageには、石器文明から農耕文明への橋渡しとして、象徴言語から自然・交信言語へアニミズムからミソロジーへの転換が模索された。

Last ancient ageには、粗放農耕文明から集約農耕文明への橋渡しとして、自然・交信言語から思考言語へミソロジーからリリジョンへの転換が模索された。

Last middle ageには、農耕文明から工業文明への橋渡しとして、思考言語から観念言語へリリジョンからサイエンスへの転換が模索された。

以上のような変革の推移を、時代別に眺めていきましょう。

2025年1月15日水曜日

ル・ルネサンス展望・・・新たなルネサンスが始まる!

グローバル・レシプロシティー論を展開してきましたが、ゴールにはまだまだ未到達です。そこで、一休みして、しばらくは間もなく始まろうとしている「ル・ルネサンス」について考察していきたいと思います。

ル・ルネサンスとは、現代社会を構築した知性の誕生、つまり「ルネサンスの再来」を意味しています。

当ブログではすでに【ポストコロナは「ル・ルネサンス」へ!】【ル・ルネサンスのモデルとなる時代を求めて】などで、人口波動の減少期や始動期には、「モノ作りからコト作りへ」、あるいは「物質的拡大から情報的深化へ」といった動向が強まり、それによって新たな時代識知が育まれると、次の人口波動が始動し始める、と主張してきました。

こうした視点を今や進行している世界波動の工業現波に当てはめると、次の3点が浮かび上がってきます。

➀工業現波の伸び率が急速に衰え、20数年後、2050年代には減少に移行していくのは、この波動の人口容量を担ってきた科学技術文明がすでに限界に達したことを示している。環境問題の深刻化食糧需給の不安化などは、それを如実に物語っている。

➁一方、昨今の社会で急速に進んでいるITや生成AIなど技術革新は、この波動を担ってきた科学技術文明が物資拡大の限界に達したため、その方向を情報化へと転換し始めていることを示している。

➂こうした動向は、一つ前の人口波動、農業後波の末期に起こったルネサンスの再来、いわば「ル・ルネサンス」ともよぶべき時代を創り出す可能性がある。

人類史を振り返ると、人口波動が減少から増加へと転換する時代には、次のようなプロセスが考えられます。

❶人口減少、つまり人口容量の限界化とともに、新たな情報革命が進行する。

❷情報革命によって、次の波動を創り出す世界観、つまり時代識知の大転換が進む。

❸時代識知が変わると、新たな物質的技術もまた生み出される。

❹それに基づいて、次世代の人口容量が創り上げられる。

❺人口容量の拡大に対応して、次の人口波動が増加し始める。

以上のようなプロセスを一つ前の人口波動、つまり農業後波に当てはめてみると、「ルネサンス」が浮上してきます。

人口がピークに達して減少し始めた1300年代から、再び人口が増え始める1400年代にかけて、ヨーロッパ諸国では、活版印刷術の進展とともに、文化や知性の復興運動が始まっています。

この文芸復興、つまりルネサンスによって、「サイエンス」という時代識知が新たに育まれ、その応用によって、人口容量の拡大見通しが浸透してくるとともに、新たな人口波動、つまり工業現波が上昇を開始したのです。

文明の方向がモノ的拡大からコト的転換へ進むと、それによって新たな物的拡大の可能性が浮上してくる、ということです。

以上のようなルネサンスの仕組みは、14~15世紀に限ったことではありません。

人類の歴史をふりかえると、人口波動が減少から始動に移るプロセスには、何度も起こっているようです。

石器前波から石器後波へ、石器後波から農業前波へ・・・など、人口波動の初期段階からこのようなプロセスを振り返ってみましょう。

2024年12月20日金曜日

グローバル共助貨幣を構築する!

互酬制の歴史から見えてきた、グローバル・レシプロシティーの未来に関する、3つの検討事項のうち、3番めは互助内容の集中化です。


グローバル・レシプロシティーの条件を考える!】で見てきたように、互助行動の中味は、食糧・衣料など生活資源の提供、作業や介護など労働の提供、儀礼や交際など接遇の提供に始まり、生活資金や保険対応などの金銭提供を経
て、生涯資金や最低生活費などの資金提供に至っています。

こうした推移を考慮しつつ、グローバル・レシプロシティーにおける互助内容を考えてみると、物質的な扶助やサービス的な扶助は国家などに任せ、ベーシックインカムとして生活資金の互助に集中する、という方向が有力だ、と思われます。

とすれば、国家保証を超えた、世界規模の仮想通貨、いわばグローバル・レシプロシティー・カレンシィ(GRC:世界的共助貨幣)とでもよぶべき貨幣の構築をめざさなければなりません。具体的に言えば、次のような方向が求められるでしょう。

➀国土や国家などを超えて、グローバルに共有できる価値交換をめざすには、デジタルな貨幣機能を持つこと。

➁交換手段としての価値の保証を、互助集団間の信用保証に置くこと。

③交換財の贈与や受領の際に、国家保証貨幣との交換が可能なこと。

◆最初の「デジタル貨幣機能」については、近年急速に拡大しつつある「デジタル通貨システム」を積極的に応用していきます。

デジタル通貨は、通貨や貨幣などの価値資産全般を、デジタルコンピュータシステム、とりわけインターネット経由で管理・保存・交換するシステムであり、暗号通貨、仮想通貨、ビットコインなどの形態で行われています。

GRCでは、このシステムを継承しつつ、投資よりも共助の要素を高めていきます。

◆2番めの「価値保証」については、仮想通貨やビットコインなどで行われている、P2P(Peer to Peer:仲間と仲間)システムを基盤に、互助関係者や互助団体などが全員で保障に参加するシステムをめざします。

現行のP2Pでは、参加者全員で取引行為を監視するブロックチェーンという仕組みによって、各国の中央銀行が価値を保証する法定通貨とは異なる方法で、デジタル通貨の価値を担保しています。

GRCでは、このしくみを基礎にしつつ、参加者全員による、さらに広範な監視システムを構築し、その価値を保証していきます。

◆3番めの「国家保証貨幣との交換可能性」については、グローバル・レシプロシティーに参加する各国の地球人が、自らの資金や財産などを、この制度へ提供しようとする時、あるいはGRCの給付を受ける時、それぞれの国家の保証する貨幣との交換がスムーズにできることが求められます。

これについても、現行の仮想通貨システムでは、さまざまな企業が展開している暗号資産取引所サイトにおいて売買、街中のビットコインATMで売買、ビットコイン決済の利用可能な店舗で決済などが可能ですから、GRCの換金制度にも、このようなシステムの導入が期待されます。


こうして見てくると、GRC制度の構築とは、進展する生成AIを積極的に応用して、単なる投資システムを大きく超える、まったく新たな世界的共助制度へ向かって、人類全体が動き始めることを意味しています。

2024年12月10日火曜日

互酬制の歴史から何を学ぶか?

互酬制の歴史をさまざまな先駆者の業績を辿りつつ、おおまかに振り返ってきました。

そこから見えてきたのは、【Global・レシプロシティーの条件を考える!】で示したように、互酬制の未来に関する、次のような検討事項でした。

知縁関係の再生、互助精神の再生、互助内容の集中化

これらの事項を、グローバル・レシプロシティーの構造に採り入れるにはどうすればいいのでしょうか。

このブログではすでに【グローバル・レシプロシティー・・・構築プロセスを考える!】で、大まかな手順を思考していますので、その中に上記の条件を導入するとすれば、次のような検討が求められるでしょう。


最初に配慮しなければならないのは、
知縁関係の再生、互助精神の再生の2つを、➀AI技術を活用したGR実践基盤の構築と、➁互酬団体の構築の2つに、いかに組み入れていくか、です。

「AI技術を活用したGR実践基盤の構築」では、「地球民一人一人が自主的に参加できる、国境を越えた互助組織の構築」を目ざしますが、それには次のような対応が求められます。

AI技術によって、グローバル・ネットワーク上に、年齢・性別・職業・趣味・嗜好などを共有する交友関係やグループを形成する。

⑵その関係をデジタルからアナログへ広げるために、ギフト交換や旅行などによって直接交際を促進する仕組みを創る。

⑶こうした相互関係の強化によって、地球上で同時代に生きている個人同士の共感と信頼を強めていく。

そのうえで、「互酬団体の構築」では、地球単位のGRを構築していく前提として、まずは国境を越えた、幾つかの互酬団体の設立が期待されますが、これにも知縁関係と互助精神の再生を以下のように配慮しなければなりません。

⑴ネットワーク上で形成された交友関係やグループなどが、互いに助け合う仕組みを取り入れられるよう、新たな制度を思考し創設する企画組織を、これまたAIを駆使して創り上げる。

⑵この組織では、まずは緊急時や困惑時などに物資や資金などを支援する仕組みを提案し、徐々にレベルを上げて、財源の多様化を図りつつ、ベーシックインカムの互酬関係を提案する。

⑶企画組織は、こうした制度をさまざまなネットワーク・グループへと勧め、寄付行為や遺贈行為を促進していく互酬団体を形成する。

以上のような対応で、最初にそれぞれが自ら互酬関係を創り上げるグループを、グローバル・ネットワークの上に形成し、続いて「互助内容の集中化」に向かって、デジタル通貨、電子マネー、仮想通貨などを統合する貨幣基準を設計していくことが求められるでしょう。

2024年11月28日木曜日

互酬“性”から互酬“制”へ!

このブログでは、互酬制度を「互酬“制”」と表現してきました。

ところが、何人かの読者から、「互酬制」ではなく、「互酬性」と書くべきではないか、とのご意見をいただきました。

確かに辞書や百科事典などでは、「互酬性」という表現が一般的です。

「互酬性・・・英語reciprocityなどの訳。ものを与えたり受け取ったりすることは一つの社会関係に入ることであり,そこに働く原理を互酬性という」(平凡社:百科事典マイペディア)

「互酬性・・・個人が他人を助ければ、必ず相手もこれに応えてくれるという期待によって成立する相互作用をいう文化人類学の用語」(小学館:精選版日本国語大辞典)

「互酬性・・・互恵性ともいう。人類学において,贈答・交換が成立する原則の一つとみなされる概念」(ブリタニカジャパン:ブリタニカ国際大百科事典)

なるほど「互酬“性”」と書くのが適切なのかもしれません。

もっとも、この言葉は英語の「reciprocity」に基づくもので、英語辞書では次のように訳されています。

reciprocity ・・・1・相互依存;相互関係;交換 2・相互利益,互恵主義」(小学館:プログレッシブ英和中辞典)

reciprocity ・・・相互主義。互恵主義。相互利益」(小学館:デジタル大辞泉)

reciprocity ・・・()相互取引 相互性 相互関係 相互主義 互恵主義 相互作用 相互互恵 相互利益 相互依存の関係[状態互恵関係」(日外アソシエーツ:英和用語・用例辞典)

これらの辞書では「互酬性」という訳語は使われていません。しかし、この英語に文化人類学などが「互酬“性”」という日本語を当てたのは、「」という言葉の意味を次のように解釈していたからだと思います。

「性(せい)・・・[接尾]名詞の下に付いて、物事の性質・傾向を表す」(小学館:デジタル大辞泉)

「性(せい)・・・名詞の下に添えて、その性質や傾向があることを表す言葉。動物―、可能―」(国語辞典オンライン)

つまり、互恵、互助など互いに助け合う行動と同様の傾向を意味するものとして、「性」という言葉を当てたものと思われます。 

しかし、本ブログで展開している「互酬」は、単なる行動傾向ではありません。

このブログで主張している「互酬“制”」とは「人間一人一人が、生涯を生き抜くための、基本的な生活資源を、他人との間で補い合う仕組み」という意味です。単なる「行動」次元を超えて、人間相互間の行動の「しくみ」を意味しています。

それゆえ、「性」ではなく、「制」を使っているのです。

」とは次のような意味を持っています。

「制・・・秩序づける枠。きまり。:制度・制服/王制・学制・旧制・体制・法制」(小学館:デジタル大辞泉)

「制・・・とりきめ。おきて。とり締まる」(漢字辞典オンライン)

「制・・・のり。おきて。さだめ。制度。法度。禁制」(小学館:精選版日本国語大辞典)

 以上のような視点に立つと、【互酬制の歴史を振り返る!】で述べた推移とともに、「互恵“性”」から「互恵“制”」への変化が進んできたことが推察されます。


つまり、血縁集団や地縁共同体の内部では「互酬“性”」であったものが、社会共同体や国家共同体などでは「互酬“制”」へと、次第に変化してきた、という推移です。

このような視点から、当ブログでは「互酬“性”」ではなく、「互酬“制”」という表現を使って行きたい、と思います。

2024年11月19日火曜日

グローバル・レシプロシティーの条件を考える!

互酬制の形態を歴史的に振り返りつつ、今後の展望として、地域や国家を超えた互酬制度の方向を考えています。

下図に示したような推移を基に将来を展望すると、地球レベルの「グローバル・レシプロシティー」はいかなる方向へ向かうべきなのか、幾つかの条件が浮上してきます。

上図から浮上してくるのは、以下のような変化です。

➀制度次元・・・互酬を運営する仕組み、つまり互酬制度は、血縁、地縁、職縁などを基盤とする相互集団から、国民全体の相互扶助(年金、ベーシックインカム)を仲介する国家へと移行してきました。

これとともに、慣習的あるいは伝統的な仕組みであった「互酬」制度は、国政・行政的な「再配分」制度の要素を深めてきました。

➁互助行動者次元・・・互助を行う人間の単位もまた、家族、血族、地縁者、同業者などの「地縁人」から、国民や公民という「観念人」に移行してきました。

これによって、互助という仕組み自体も、相互扶助という協力関係から、国家による制度的援助へと変化しました。

③互助内容次元・・・互助行動の中味は、食糧・衣料など生活資源の提供、作業や介護など労働の提供、儀礼や交際など接遇の提供に始まり、生活資金や保険対応などの金銭提供を経て、生涯資金や最低生活費などの資金提供に至っています。

互酬基盤が地縁から国家へと移行するにつれて、互助の内容もまた、多様な互助関係から金銭的な支援関係へと変わってきています。

以上のような変化によって、互酬制度の基盤である「相互扶助」という精神性もまた、大きく変わりました。

互酬組織が家族・親族・同族集団から、村落や地域の居住集団、組合員や同業者などの就業集団を経て、国民という集団や政府という国家組織に代替された結果、「知縁」的な協力関係、つまり「助け合い」度は急速に薄れてしまったのです。

とすれば、今後の互助制度として、グローバル・レシプロシティーを構想する場合にも、次のような課題が浮かび上がってきます。

❶知縁関係の復活・・・地球単位の扶助関係を構築する前提として、何らかの方法で個々人の間の知縁を確保し、濃密化することが求められる(例:グローバル・ネットワークの応用)。

❷互助精神の復活・・・互酬制の本質である「互いに助け合う」という精神性を復活するため、世界各地の生活環境や生活水準などを周知させ、相互の理解を深めることが求められる。

❸互助内容の集中化・・・物質的な扶助やサービス的な扶助は国家など任せ、ベーシックインカムとして生活資金の互助に集中する。

このような基本条件を前提に、グローバル・レシプロシティーの構想を考えてみると、世界的な組織の創り方、財源、配布方法などの方向が朧気ながらも浮かんできます。

2024年11月9日土曜日

互酬制の歴史を振り返る!

互酬制や相互扶助に関する見解を、F.エンゲルスP.A.クロポトキンK.ポランニーなど、19~20世紀の著名思想家の立場から、ざっと眺めてきました。

さらに、アメリカの文化人類学者、M.サーリンズの互酬関係の3分類(一般的互酬性・均衡互酬性・否定的互酬性・・・『石器時代の経済学』)なども参考にしつつ、互酬制の定義と形態を歴史的な視点から、改めて考えてみました。

まずは当ブログで思考している「Global Reciprocity:地球的互助制」で、最も基本となるのは互酬制」の定義です。

ここで検討する「互酬制」とは、「地球上に生まれてきた人間一人が、生涯を生き抜くための、基本的な生活資源を、他人との間で補い合う仕組み」と規定します。

そのうえで、これまでの人類史に現れた「互酬制」の先例を、集団的な次元で整理してみると、下表のようになります。

血縁集団

最も基本的な互酬団体として、世界各地でさまざまな制度が行われてきました。
日本では農山漁村でイッケ、カブウチ、マキ、クルワなどの同族集団、商人社会ではノーレンといった血縁集団において、互酬性が行われてきました。中国大陸でも宋代以後、「義荘」という名称で続けられてきたようです(平凡社・世界大百科事典旧版)。
この次元では、家族・親族・同族など血縁関係が扶助担当となっています。

●地域共同体

多くの学者によって、さまざまな実例が紹介されています。

クラ交易(パプアニューギニア、トロブリアンド諸島・・・B.マリノフスキーの『西太平洋の遠洋航海者』1922

ポトラッチ(北米・北西沿岸インディアン諸族・・・M.モースの『贈与論』1925)

クラールランド制度(アフガニスタン・ヒンドゥークシュ山脈民族カフィール族・・・L.P.メア,An African Ponte in the Twentieth Century1904)

このほか、日本ではユイ・頼母子・無尽講などが、朝鮮半島では「」が、台湾本島原住民アミ族でも「頼母子」などが行われてきました(小学館・日本大百科全書)。

この次元では、村落居住者や地域居住者など、特定地域の住民同士が扶助担当となっています。

●社会共同体

中世ヨーロッパ都市におけるギルド(職業別組合)や、近代以降の世界各地で生まれた友愛組合・共済組合・労働組合・協同組合などが挙げられます(平凡社・改訂新版 世界大百科事典)。

この次元では、同業者組合員などが扶助担当となっています。

●国家

国家がそれ自体として互酬制に関わるのは、年金制度ベーシックインカムです。

1889年にドイツ帝国が始めた、民間人の強制加入による年金制度は、20世紀には各国に広がり、国家主導の互酬制として定着しています(世界史の窓)。

また近年では、租税を財源とするベーシックインカム制が、ヨーロッパ諸国で試行され始めています。

この次元では、一人一人の個人を越えて、その集団を意味する国家という団体が扶助担当となっています。

国民集団政府そのものが、扶助を保証しているといってもいいでしょう。

以上のような推移を歴史的に振り返ると、今後の展望として、地域や国家を超えた互助制度の方向が浮かんでくるようです。

いかなるものなのか、さらに考察していきましょう。