2026年1月22日木曜日

人口停滞の背景を考える!

農業後波(AD4001400年)の飽和期(13001350年頃)をモデルに、工業現波(14002100年)の飽和期(20202070年頃)を予測しようとしています。

筆者の提唱する「人口波動法」という予測手法ですが、その論拠をざっと紹介します。

世界の人口波動を振り返ると、飽和期という時代は、石器前波、石器後波、農業前波、農業後波のピーク時に、4回起こっています。


それぞれの波動を修正ロジスティック曲線として描いた場合、前回述べたように、始動―離陸―上昇―高揚―飽和―下降
6つの時期があります。6つの時期の特性としては、【6時期別の社会的特性を読む!】で述べたように、下表のような傾向が読み取れます。

これを前提に、飽和期の特性をより詳しく考えてみると、次のような傾向が浮上してきます。


経緯を説明してみましょう。

➀人口推移が「飽和」に移るのは、人口容量の伸び率が限界に達するとともに、生活水準を高めた人口が増加し、一人当たりの人口容量が伸びなくなるためである。

➁人口容量の限界要因は、自然環境の変化基準文明の限界化が絡み合うためである。

自然環境の変化では、気候変動の進行や水陸環境の変化などが人口容量に限界を迫る。

➃当該波動を支える基準文明では、ハードとソフトの両面で限界に至る。

ハード面では、生産技術、分業技術、輸送技術などの進展が伸び悩みに至る。

ソフト面では、生産主体(労働者、経営者など)、共同体制(村落、企業など)、分配体制(自治体、国家、国際組織など)などが、人口容量の変化に対応できなくなる。

⑦基準文明を支える時代識知が限界に達し、向かうべき方向が未定のままになる。

一人当たりの生活水準は、基準文明の発展とともに上昇し、人口容量の分配を増加してきた結果、限界状況となっていく。

人口飽和期の社会では、以上のような現象が共通して発生します。

とすれば、工業現波の飽和期、つまり20202070年頃の世界をさまざまな視点から展望することができます。

2026年1月17日土曜日

10年前の予測・・・なぜ当たったのか?

10年前の予測が、前回述べたように、ほぼ的中し始めています。

なぜここまで当たり始めたのか、その理由は、筆者の提唱する、新しい未来予測手法、「人口波動法」の成果といえるでしょう。

人口波動法」とは、このブログで何度も述べていますが、長期的な人口推移に見られる波動サイクル「説明変数(モデル)」として、未来を予測する手法です。

具体的な手順は【人口波動で未来を読む!】や【人口波動法による未来の読み方】などで述べています。またこの手法で予測した事例として、【人口波動で世界の未来を読む!】と【21世紀の国際情勢は・・・】を挙げることができます。前回前々回の予測も、これらの成果を取りまとめたものです。

この方法の要旨を取りまとめたうえで、21世紀中葉の予測手順を述べてみましょう。

➀人類の人口は、自然環境×文明で創られる「人口容量」の変化に伴って変動してきた。

➁人類の創り出した文明は、旧石器、新石器から、粗放農業、集約農業を経て、科学技術へと進展してきた。

➂文明の進展によって、世界人口は、石器前波、石器後波、農業前波、農業後波、工業現波の5つを創り出してきた。

➃人口は、人口容量にゆとりがある時には増加し、なくなるにつれて停滞し減少する。この推移は、始動―離陸―上昇―高揚―飽和―下降6つの時期を辿る。

➄現在の人口が6時期のどの位置にあり、どこへ向かおうとしているかを確認することで、基本的な社会構造を推測することができる。

以上のような予測手法を応用すると、今後の世界情勢も次のように展望できそうです。

国際連合などの推定によると、現在の世界人口は工業現波の飽和期に入ったと推定され、今後は下降期に向かおうとしているからです。

とすれば、最も近い人口波動、つまり一つ前の農業後波をモデルとして、今後の世界を展望することができます。

農業後波(AD4001400年)の飽和期(13001350年頃)をモデルにすると、現在の工業現波(14002100年)の飽和期(20202070年頃)の姿が推定できる、ということです。


農業後波の飽和期とはどんな時代だったのでしょう。

気候変動(寒冷化の進行、農耕牧畜大被害、餓死者が急増)、国際紛争(英仏百年戦争)、伝染病大流行(ペストが欧州全土蔓延8,500万人死亡)、新政権誕生(ポスト・モンゴリカで新国家が続出)、世界経済成長鈍化(ポスト・モンゴリカ混乱で経済活動縮小)などが進行しています。

このような事象を説明変数にすると、工業現波の飽和期、つまり20202070年頃の世界情勢が浮かび上がってきます。

次回では、より詳しく展望してみましょう。

2026年1月10日土曜日

10年前に予測しました!

10年前に予測した「2020年代の世界情勢」は、かなり当たっているようです。

2016年に上梓した拙著『平成享保・その先を読む』(Kindle版)の中では、21世紀前半の国際情勢について、6分野(気候変動、100年戦争、伝染病流行、新政権誕生、世界経済成長鈍化、新文化・新思想)別に、幾つかの事象を展望しています(前回

前回は要旨だけでしたので、改めて本文そのものを掲載します。

①温暖化の進行・・・20世紀初頭からの100年間で0.74℃ほど上昇した地球の平均気温は、世紀を超えてさらに加速し、21世紀後半まで続く見込みです。要因の9割は、人間の産業活動等で排出された温室効果ガス(主に二酸化炭素とメタンなど)と推定されており、これによって海水面の上昇や降水・降雪量の変化などが進み、洪水や旱魃、酷暑や暴風雨などの激しい異常気象が増加する一方、真水資源の枯渇、生物相の変化などで農業・漁業への影響が急増してきます。

100年戦争の継続・・・中近東では前世紀半ばからのパレスチナ紛争や、ISILの勃興によるイラク紛争がなお継続していく上、2020年代には米中戦争勃発の可能性という、物騒な予想も取りざたされています。

③スーパー耐性菌の大流行・・科学文明が創造したがゆえに、自然界の細菌類が耐性を持ってしまったため、抗生物質が全く効かないスーパー耐性菌が、世界中ですでに猛威を振い始めています。2013年には全世界で約70万人が死亡した、と米疾病対策センター(CDC)が推計していますが、日本でも2014年秋以降、約2000人が感染し、60人ほどが死亡したとの推計もあります。今後、この種の細菌による感染症の拡大で、2050年には世界中で年間およそ1000万人が死亡する、とCDCは予測しています。

④新政治リーダーの誕生・・・20世紀に世界の覇権を確立したアメリカ合衆国が弱体化し、ヨーロッパの統合を果たしたEU(ヨーロッパ共同体)もまた解体の危機に瀕しているため、アジアではロドリゴ・ドゥテルテ大統領のフィリピン共和国、東欧ではヤロスワフ・カチンスキ「法と正義」党首主導のポーランドなどを筆頭に、強力な右派政権が世界各地で次々に登場してくるでしょう。

⑤経済活動は拡大から鈍化へ・・・「パックス・アメリカーナ」の影響による、20世紀後半のグローバル化の進展で、新興途上国の経済活動が活発化した結果、先進国の経済はやや減速するものの、世界全体では2020年から2050年まで年平均3%強のペースで成長し、2050年ころには3倍近くになるものと予想されています。しかし、この期間の後半になるにつれて、主要新興国の多くで労働年齢人口の伸びが鈍化してくるため、中国やインドなどの成長率がやや鈍化し、世界経済の成長は減速していくでしょう。

⑥近未来ルネサンスの開始・・・20世紀末から急拡大したインターネット文化がナルシシズムの肥大化から、ポピュリズムやオクロクラシー(衆愚政治)を引き起こした後、人口飽和化の進展とともにその反省が巻き起こり、世界各地でネオ・コミュニティズム(新地縁主義)や脱市場主義など、「ポストモダン」ならぬ「ラストモダン」の思想を育むようになっていきます。

いかがでしょうか。イラク紛争問題やポーランド政権動揺など、外れている箇所も幾つかありますが、大きな流れはほぼ当たっている、ともいえるでしょう。

とりわけ、「温暖化」での異常気象や農・漁業の混乱、「感染症拡大」でのコロナ禍大流行、そして「新政治リーダー」でのアメリカ合衆国混乱などは、ほぼ的中といえるでしょう。ここまで当たれば、今後の25年間にはさらに当たるかもしれません。

なぜここまで予測できたのか、その理由として、筆者の提唱する、新しい未来予測手法、「人口波動法」を紹介させていだだきます。

2026年1月5日月曜日

的中し始めた未来予測

謹賀新年、本年もよろしくお願いします。

新たな年が始まりましたので、「言語生成・新仮説」を一休みし、「10年前の予測がどこまで的中したか」について、しばらく述べさせていただきます。

先日、拙著の読者のお一人から「この本で予測されている事象は、ほとんど当たっている」とのメールを頂きました。2016Kindle版で上梓した『平成享保 その先を読む:人減定着日本展望』という著作です。

「まさか、そこまでは・・・」と読み直しつつ、現況に照らしてみると、なるほど幾つかの事象で予測した事態が起こっています。

どれほど当たっているのか、2016年に予測した事項(同書・第3章・図表33)と2026年の現況を突き合わせてみると、次表のようになります。 

6つの予測項目は、人口波動・農業後波飽和~下降期(詳細は後述)の変動事象から推定したものですが、主な対応事象をとりあえず述べておきましょう。 

①気候変動

予測・・・異常気象が増加し、生物相の変化などで農業・漁業への影響が急増

現況・・・温暖化・異常気象が農業・漁業に影響し、生産量減少で供給不足

100年戦争

予測・・・中近東の紛争が継続し、2020年代には米中戦争勃発も予断できない

現況・・・中近東はもとより、世界各地に紛争が広がり、台湾情勢をめぐって米中対立が浮上

③伝染病流行

予測・・・抗生物質が全く効かないスーパー耐性菌などによる感染症の拡大で、2050年には世界中で年間1000万人が死亡

現況・・・2019年に始まった新型コロナウイルス感染症は鎮静化せず、2025年末までに死亡者は710万人へ(WHO統計)

④新政権誕生

予測・・・アメリカ合衆国が弱体化し、ヨーロッパではEUもまた解体危機に瀕し、世界各地で強力な右派政権が次々に登場

現況・・・アメリカではトランプ政権の成立国際・国内状況が混乱し、ヨーロッパでは右派政権の増加でEUも動揺

⑤世界経済

予測・・・グローバル化の進展で経済活動が活発化した新興途上国も、2050年に近づくと、労働年齢人口の伸び低下などで成長率が鈍化し、世界経済は減速

現況・・・コロナ禍の影響を乗り越え、短期的にはやや回復したものの、長期的には低迷の時代へ突入

⑥新文化・新思想

予測・・・人口飽和化の進展とともに、ラストモダン思想が萌芽

 現況・・・生成AIの爆発的な進行で、情報処理や生産方式が変貌し始め、国家を超えたワールドベーシックインカムのような、新たな社会構想が萌芽

こうしてみると、10年前に予測した事象は概ね当たり始めている、といえるのではないでしょうか。

筆者もまた未来予測に関わって半世紀、さまざまな予測手法を試みてきましたが、なんとか的中する方法に近づけたようです。

なぜここまで当たったのでしょうか。詳しい経緯について、次回から述べていきます。