人間の目からみるとかなり残酷で悲惨な行動ですが、それはヒューマニズムや博愛主義といった、人間特有の価値観のせいであり、動物にとっては種が生き残るための、必然的な行動といえるでしょう。
さらにいえば、人間の社会でも、食糧・資源不足、環境悪化、高密度化などで人口容量が飽和するにつれ、出生数減少、死亡数増加、移住・移民の増加など、似たような抑制行動がとられています。子殺しや共食いといった極端な行動でさえ、避妊、中絶あるいは闘争や戦争という行動を思い起こせば、ほとんど同じようなものでしょう。
とすれば、さまざまな動物の抑制行動には、人間社会にも共通する人口抑制行動の原型が潜んでいます。そこで、以上の抑制行動を整理してみると、次の4つの基本パターンが浮かんできます。
①それぞれの種に備わっている、本来の生殖能力と生存能力、つまり個体の属する群れの出生率・死亡率の増減で個体数を抑える(産卵率低下、幼虫死亡率上昇、成虫死亡率上昇など)。
②個々の個体の生殖力や生存力を抑えるような生殖抑制行動や生存抑制行動をあえて行なって、個体数を抑える(成虫の卵食い、子殺し、兄弟殺し、共食いなど)。
③キャリング・キャパシティーを小分けすることで、生殖力と生存力に格差を設け、群れ全体の個体数を抑える(なわばり、なわばりと子殺しの併用、順位制、ハレム制など)。
④特定空間から一定数の個体を分離させることで、群れの個体数を抑える(移住体型への移行、集団移動など)。
このように、動物の社会で一般的に行なわれている個体数抑制行動は、①生殖・生存力抑制、②生殖・生存介入、③生殖・生存格差化、④集団分離、の4つに整理できます。
(詳しくは古田隆彦『日本人はどこまで減るか』)
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