キリスト教に続いてヒンドゥー教、イスラム教と、「宗教(Religion)」に潜んでいる識知観を眺めてきました。
これらにほぼ共通しているのは、【教団組織化が創り出したのは「万物統合観」だった!】で述べたように、宇宙エネルギーを人間集団で巧みに利用すれば、新たな人口容量を創り出せるという発想だった、と思います。
もう少し詳しく言えば、宇宙エネルギーを直接応用するため、農業・牧畜業を担う人間集団(集落や村落など)に、太陽神を中心とするツリー状の社会構造を成立させ、個々人の役割、倫理、責任などを確定させるような、集団的な方策を用意した、ということです。
この発想を動力譜(Energy Flow:言語や観念などに潜むエネルギーの動き)の変化として考えてみると、「宗教」には神話の「万物関係観」を継承しつつ、さらにさまざまな事象の間の関係性を改めて統合(integrate)していくという「万物統合観」が見えてきます。
これこそ、さまざまな宗教に強く共通する識知観であり、人口波動史から見れば、下図に示したような変化の推移が見えてきます。
人類の時代識知における動力譜は、石器前波の「ディナミズム(dynamism)=動体生命観」から、石器後波の「インモータリズム(immortalism)=生死超越観」へと変わり、さらに農業前波の「リレーショナズム(relationalism)=万物関係観」に続いて、農業後波では「インテグレーショニズム(integrationism)=万物統合観」と変化してきた、ということです。
①石器前波の「ディナミズム(dynamism)=動体生命観」とは、【アニマティズムよりディナミズムがふさわしい!】で述べたように、時間の推移とともに動いたり変化する、あらゆる物の中に「動力」や「活力」を認め、その延長上にそれらを生み出す「生命力」を想定することです。 ②石器後波の「インモータリズム(immortalism)=生死超越観」とは、【インモータリズムの時代へ】で述べたように、生命力のあるものはすべて意志や感情という「意思」を持つ主体であり、その主体は生死を超えて継続する、目には見えない存在である、という新たな観念です。 ③農業前波の「リレーショナズム(relationalism)=万物関係観」とは、【リレーショナズムが農耕・牧畜を促した!】で述べたように、宇宙エネルギーを無意識、心像、神話などのシンボルで、人間集団と自然環境の関係として相関的に捉えることによって、農耕・牧畜という、継続的な生産形態を可能にする識知です。 ④農業後波の「インテグレーショニズム(integrationism)=万物統合観」とは、【教団組織化が創り出したのは「万物統合観」だった!】で述べたように、宇宙エネルギーを直接的に応用するため、集落や村落などで、太陽神を中心とするツリー状の社会構造を成立させ、個々人の役割、倫理、責任などの関係性を改めて統合することによって、農業・牧畜業を担う人間集団を形成する識知です。 |
以上のように見てくると、宗教という時代識知とは、「リレーショナズム=万物関係観」で生まれたエネルギーの循環観をさらに一歩進め、それらを統合する「インテグレーショニズム=万物統合観」へ進展したものだ、といえるでしょう。
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