2022年7月16日土曜日

「人減先進国」へ向かって!

21世紀後半には、欧米先進国はもとより、人口大国の中国インドでも、人口が減少していきます。そうなると、今後の世界をリードするのは、人口減少に積極的に対応する国家、つまり「人減先進国」ということになります。

これまでの人口増加・成長・拡大型社会を大きく超えて、新たに人口減少・飽和・濃密型社会を目指す国が、先進国の役割を担うということです。

となると、人減先進国として、日本が目ざすべき方向は、いかなるものになるのでしょうか。

日本という国の、今後取り組むべき課題を大まかに整理してみると、国内・国際の両面への対応が求められると思います。



❶国内の人減マイナス面への対応

人口増加を前提に構築されてきた社会構造を、人口減少に見合った構造に向けて、大胆に変換していくことが求められます。

経済的側面・・・労働力の減少や需要の縮小、それに伴う経済規模の縮小へ、どのように対応するのか。

社会保障面・・・年齢構成の逆ピラミッド化による年金制度や健康保険などの破綻を、いかに克服していくのか。

政治行政面・・・野放図に拡大していく政治制度や行政制度を、いかにして縮小対応に変えていくのか。

生活環境面・・・人口分布の偏差拡大や過疎地域の増加などに、柔軟に対応できる地域環境をいかに整備していくのか。

生活様式面・・・上記のように予測される、さまざまな不安に対し、果敢に対応できるような、新たな生活様式をいかに創造していくのか。


❷国際的な「ル・ルネサンス」への対応

人口減少対策が世界の各国に共通する課題になってきましたので、すでに【ポストコロナ・・・ル・ルネサンス(Re-Renaissance)が始まる!】以下で述べたように、次のような課題にも積極的に対応することが求められます。

社会的限界・・・グロ―バル化、民主主義制、市場経済制の限界を確認したうえで、それぞれをいかに改良していくのか。

社会的革新・・・第5次情報化【参考:トイレットペーパーはなぜ記号化するのか?】を活用して、新たなルネサンス、つまり「ル・ルネサンス」をいかに創り出すのか。

統合型科学技術の振興・・・ル・ルネサンスによる識知転換【参考:「時代識知」の要件を考える!】を基礎にして、統合型エネルギー化をいかに推進していくのか。


以上に示したような、国内的課題と国際的課題の両面に配慮すると、人減先進国としての日本の取り組むべき課題は、次のように整理できます。

●人減先進国・日本の課題

経済・・・国際分業と自給自足のバランスを回復し、国内市場でも過剰な資本集中や所得の不均衡分配などを是正していく。

社会・・・福祉国家への過剰な期待を緩和し、家政・互酬・福祉的再分配・市場交換の制度的バランスを目ざす(参考:【.ポランニーを人口波動で読み直す!】。

政治・・・形骸化した民主主義を再構築し、人口減少に見合った縮小型政治・行政制度の構築をめざす。

科学技術・・・現代社会を支えている5次情報化【参考:トイレットペーパーはなぜ記号化するのか?】の成果を積極的に活用して、統合型の科学技術【参考:コロナ禍が暴露した近代社会の限界】へと接近し、現在の分散型エネルギーの統合化をめざす。

生活・・・人口増加に支えられた成長・拡大型のライフスタイルを止揚し、人口減少に見合った飽和・濃密型ライフスタイル【参考:コンデンシング・ライフへ向かって!】を創造するとともに、その成果を地域共同体の再建に広げていく。

大まかに述べれば、以上のような方向こそ、人減先進国・日本に期待されている対応課題といえるでしょう。

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