21世紀後半、世界中のほとんどの国で人口が減少に転じますから、積極的に対応する国家こそ「人減先進国」ということになります。
既に10年以上、人口減少を続けている日本は、その対応如何によっては、人減先進国となる資格を有しています。
そこで、日本の取り組むべき課題をあげてみると、前回述べたような幾つかのテーマが浮上してきます。
最初の課題は、人口容量をいかに維持していくか、という課題です。
超長期的な人口波動説から見ると、人口減少に対応した社会を創り出すには、これまで成長・拡大社会を担ってきた人口容量を、できるだけ維持していくことが求められます。
一つの人口波動の最終段階を創り出す対応であるからです。
現代日本でいえば、【人口容量の中身を考える!】で述べたような構成で、2010年前後に1億2800万人に達した人口容量をいかにして維持していくのか、という課題です。
当時は、この容量を、総人口の約65%にあたる生産年齢人口(15~64歳)で概ね担ってきました。この容量を、急激に減少していく人口で、今後も維持していけるのでしょうか。
それを確かめるため、生産年齢人口に相当する一人の人間が、容量の維持にどの程度関わっていかなければならないのか、を大まかに展望してみました。
今後の人口が最も低く推移する予測値を前提に、生産年齢に当たる一人に、どれだけ維持義務が期待されるかを展望してみると、下図のようになります。
①人口容量1億8700万人を2100年ころまで維持していく。 ②総人口と生産年齢人口は、国立社会保障・人口問題研究所の予測値(2017年)の最低値とする。 ③生産年齢該当者に期待される一人当たりの分担量は、2010年の1.58人分に始まり、2020年の1.73人分、2040年の2.18 人分、2050年の2.53人分、2070年の3.42人分、2080年の4.06人分を経て、2100年の5.45人分に達する。 |
要するに、これからの日本が現在の人口容量を維持していくには、15~64歳の人々はこれまでの2~3倍ほど関わっていかなければならない、ということです。
そんなことができるのでしょうか。大きな対策として、3つが考えられます。
❶生産年齢の範囲を変えて、15~80歳まで上げていく。 ❷ITやロボット技術等を活かし、分担推進力、つまり生産性を大幅に上げていく。 ❸海外からの移民を増やし、該当者の数を増やす。 |
それぞれの可能性はどこまであるのでしょうか。
もしこれらが不可能、あるいは遅延するようであれば、4番目の対策として、
❹人口容量を徐々に落としつつ、国民全体の容量水準をできるだけ維持していく。 |
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