2022年2月15日火曜日

精神史が示すエネルギー観とは・・・

人類の精神史を「時代識知」という視点から、振り返っています。

人類が環境世界をどのように理解するかによって、生き延びるために、最も基礎的なエネルギー源を獲得するプロセス、その推移が推定できると思います。

前回、工業現波の「科学識知」では、宇宙エネルギーを蓄積した諸物を、多角的に利用しようとする「分散型・無機・有機エネルギー観」であった、と述べてきました。

このエネルギー観は、科学という識知の、最も基本的な態度である「分析(analysis)」、つまり「細かく分けて理解する」という態度と、かなり密接に連携していると思いますから、「アナリティクシズム(analyticism)=分析分担主義」とでも名付けることにします。

そのうえで、【宗教が農業後波を創った!】で整理した「動力譜」(Energy Flow:言語や観念などに潜むエネルギーの動き)に組み込んでみると、下図のようになります。


5つの波動を動かすエネルギー源が全て現れましたので、ここでもう一度、人類の動力譜を整理しておきましょう。

①石器前波の「ディナミズム(dynamism)=動体生命観」とは、時間の推移とともに動いたり変化する、あらゆる物の中に「動力」や「活力」を認め、その延長上にそれらを生み出す「生命力」を想定することです。

②石器後波の「インモータリズム(immortalism)=生死超越観」とは、生命力のあるものはすべて意志や感情という「意思」を持つ主体であり、その主体は生死を超えて循環する、目には見えない存在である、という新たな観念です。

③農業前波の「リレーショナズム(relationalism)=万物関係観」とは、宇宙エネルギーを無意識、心像、神話などのシンボルで、人間集団と自然環境の関係として相関的に捉えることによって、農耕・牧畜という、継続的な生産形態を可能にする識知です。

④農業後波の「インテグレーショニズム(integrationism)=万物統合」とは、宇宙エネルギーを直接的に応用するため、集落や村落などで、太陽神を中心とするツリー状の社会構造を成立させ、個々人の役割、倫理、責任などの関係性を改めて統合(integrateすることで、農業・牧畜業を担う間集団を形成する識知です。

⑤工業現波の「アナリティクシズム(analyticism)=分析分担主義」とは、宇宙エネルギーを蓄積した、有機、無機のさまざまな物質を、「科学(science)」という分析・分割的対応によって把握し、多角的に利用することで、工業や工業的農林漁業などの生産を実現する識知です。

以上のように「動力譜」という識知から人類史を見直してみると、宇宙のエネルギーを人類がどのように使用してきたか、という大局的な推移がくっきりと浮かび上ってきます。

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