2023年2月8日水曜日

少子化=少産化の経済的背景は・・・

少子化=少産化対策がさまざま形で議論されています。

その効果を計るため、子どもの減る現象、つまり少産化の背景を直接的背景、社会・経済的背景、巨視的背景の3次元で整理しています。

背景の構造を一部修正し、次のように改めました。 


前回、直接的背景について考察しましたので、今回は社会・経済的背景をとりあげます。

まずは経済状況で、経済停滞、終身雇用制限界化、貧困層増加、社会保障不安などが少産化に関わってきます。

経済停滞・・・日本の経済状況は、過去30年間、ほぼ横ばいの状態です。

このような経済停滞により、直接的背景では結婚・夫婦数減少や夫婦内少産化において、大きな影響が現れています。

終身雇用制限界化・・・経済停滞に伴って、日本経済を支えてきた終身雇用制も大きく揺れ、若年層の非正規雇用が漸増しています。



非正規労働者(全年齢)の比率は、1991年の男性8.5%、女性37.2%から徐々に上昇し、2021年には男性21.8%、女性53.5%に達している。

2534では、1991年の男性2.8%、女性25.3%から徐々に上昇し、2021年には男性13.9%、女性31.8%に達している。

1524では、1991年の男性21.4%、女性20.3%から徐々に上昇し、2021年には男性48.7%、女性52.4%に達している。

④この間、出生数はほぼ一貫して減り続け、1995年の119万人から2021年には84万人まで落ちている。

終身雇用制限界化は結婚・夫婦数減少に大きく影響したうえ、夫婦内少産化をも進めています。

貧困層増加・・・経済停滞や非正規雇用増加に伴い、貧困層も急増しています。



相対的貧困率(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得の中央値の半分に満たない世帯員の割合)は、1985年の12.0%から2018年には15.4%に上がっている。

子どもの貧困率(相対的貧困の家庭で暮らす18歳未満の子どもの割合)は、1985年の10.9%から乱高下を続けた後、2018年には13.5%に下がっている。

③この間、出生数1991年の122万人から94年に149万人まで増えたが、その後はほぼ一貫して減り続け、21年には84万人まで落ちている。

貧困層増加は結婚・夫婦数減少を引き起こし、さらに夫婦内少産化にも大きく影響しています。

社会保障不安・・・経済停滞、平均寿命上昇などに伴い、公的年金制度に対する信頼性が急減しています。


①年金に「加入したい」層は、年齢が高くなるほどほぼ上昇しているが、「加入したくない」層は低い層ほど多くなる。

②「加入したくない」層は、1829歳や30代で40%に達している。

社会保障不安は、出産適齢人口減少や結婚・夫婦数減少に間接的に影響し、夫婦内少産化にはより強く影響しています。

以上のように見てくると、経済的背景直接的背景に対して、結婚・夫婦数減少、夫婦内少産化、出産適齢人口減少の順に、さまざまな影響を強めている、といえるでしょう。

とすれば、それぞれを改善することが求められますが、いずれも容易なことではないでしょう。どうすればいいのか、さらに考えていきます。

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