ラストミドルをモデルにして、コロナ禍によって今や始まろうとしているラストモダン、その約100年間を推定しようとしています。
ラストミドルについては、【ポスト黒死病=ラストミドルは革新準備の時代!】で述べたように、社会的混乱と社会的革新が並行的に進行しました。
こうした前例をモデルにすると、ポストコロナ=ラストモダンの時代もまた、社会的混乱と社会的革新が並行的に進行するものと思われます。
社会的混乱では、【ポストコロナは「ル・ルネサンス」へ!】で指摘したように、グロ―バル化、民主主義制、市場経済制の3つが浮上してきます。
まずはグローバル化。コロナ禍への対応が混乱するにつれて、国際機関の空洞化、国際市場経済制の欠陥化、食糧・資源・燃料などの枯渇化といった現象が目立ち始め、安易なグローバリズム信仰が大きく動揺することになります。
❶国際機関の空洞化 すでに【コロナ禍に対応できない国際組織!】で述べたとおり、現在の国際連合では、①新たな世界秩序を創り上げる構想力の欠如、②世界平和の維持・達成が困難、③安保理常任理事国の巨大特権の弊害化、④専門機関の中立的運営の限界化、⑤内政不干渉原則による紛争解決の限界化など、さまざまな限界性が目立っています。 コロナ禍への対応力をめぐって、その脆弱性が明確に露呈し、もっと統合力のある国際組織への模索が求められています。 ❷国際市場経済制の欠陥化 交換経済制度を前提に、資本主義国家はもとより国家資本主義国家もまた、国際市場という交換空間へ競うように参入した結果、それぞれの国の経済構造ではさまざまな弊害が目立ってきました。 とりわけ注目されるのは、①自国の総合的自給力の衰退、②相互依存の強化に伴う危険負担の増加、③先進国・途上国間の経済格差・貧富格差の拡大、④低価格商品の競争激化による資源喪失の拡大、⑤人的物的移動拡大による感染症の拡大、といった現象が急拡大していることです。 ❸食糧・資源・燃料などの枯渇化 グローバル化の進展で、世界の各国は生活や産業の基盤である食糧・資源・燃料の供給を相互依存によって、それぞれ強化してきました。 だが、コロナ禍によって、食糧では①供給国の輸出規制、②食糧関連産業の労働者不足、③物流の停滞、③買いだめ・備蓄などが進行し、世界的な食糧危機が懸念されています。 資源・エネルギーについても、石炭、石油、天然ガスなどは特定産出国への加重が進行して、化石燃料の資源枯渇が懸念され始めています。 過度のグローバル化によって、各国は基盤となる生活財までも輸入に依存する産業構造に傾斜させられた結果、それぞれ自給自立構造を弱体化させているのです。 |
以上のように、これまで進展してきたグローバル化という現象は、安定的な国際環境運営というにはほど遠く、社会・経済環境においても、極端な機能分担を推し進め、ひたすら経済的拡大のみを追求した結果、各国の自立性や自給性については著しく損なわせるという、跛行的な結果を招いています。
一息に寓話に置き換えれば、一人の人間の全体像、つまり「生活体」を地球儀に合わせてバラバラしてしまったのだ、とでもいえるでしょう。
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