「ディナミズム(dynamism)」は、「万物生命観」というよりも、「動体生命観」と名づけるべきかもしれません。
動いているものであれば、あらゆる物体に対して、「生き物」や「生命」を感じるという識知であるからです。
五感の「認知」した内外、明暗、遠近などを、人類特有の「識知」能力で自他、昼夜、天地などに「分節」したうえで、それらが「時間」の推移とともに少しずつ変化することを知って「動」と「不動」を分節し、その起因を「活力」、さらには「生命力」とみなしたのではないでしょうか。
その結果、この時代の人々は、人間、鳥獣、昆虫、樹木、花々などはもとより、天空を横切る太陽や月、雲や風、雨や雪や雷などを、あるいは地上に広がる海原や大河、波濤や風力や野火、転がる岩や流れる枯れ木などにも、「生きている物」や「生命」を読み取っていたものと思われます。
このような「動体生命観」によって、彼らは周りの自然環境を理解したうえで、さらには積極的にそれらへ働きかけ、一定の「人口容量:Population Capacity」を創り出そうとしました。
例えば、不動の「石」に人力の「動」を「合節」化することで「石礫」や「石矢」という「生命力」を創り出し、それによって果実や獲物という、新たな「生命力」を獲得し、自らの「生命力」に「合節」化することに成功しました。
あるいは雷や野火という「生命力」を「調理」という行動と「合節」化することで、自らの「生命力」を増加させることに気づきました。
彼ら一人一人の行った、このような「合節」化行為が積み重なって、「狩猟・漁猟・採集」文明が形成され、この時代に生きた人々の人口の上限、つまり石器前波の「人口容量」が生み出されたものと推定されます。
考古学の定説によれば、旧石器時代(約260万年前~約1万年前)は、前期(約260万年前~- 約30万年前)、中期(約30万年前~ 約3万年前)、後期(約3万年前~ 約1万年前)に分けられていますが、クロマニヨン人(ホモ・サピエンス)が主流となった後期以降に石器が急速に高度化・多様化したといわれています。
人口波動上の「石器前波」(BC40000年=3万年前~BC9000年=約11000年前)を創り出したのは、まさしく以上のような「動体生命観」、つまり「石前識知」であった、といえるでしょう。
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