2019年3月15日金曜日

人口波動は5重の精神史を示す!

人口波動説のオリジナリティー、第10人類の精神史に潜む、5つの重層的な構造を指摘したことです。

人口波動を構成する、5つの個別波動は[環境×文明]によって作り出されたものですが、それがゆえに、それぞれの時期における人類の自然観や世界観には、独自の特徴が潜んでいます。

例えば世界波動を見ると、過去5万年の間に人類がどのように生存環境を理解し、どのように利用しようとしてきたか、という観念や世界観の推移が推測できます。

詳細な説明は後回しにして、まず大まかな見取り図を描いてみましょう。



 
概略は以下のようなものです。
 
①「石器前波」は「旧石器文明」によってB.C. 4万年ころに始まる約600万人の波ですが、この時代の人類は、さまざまな人物や事物・現象に情意的に反応し、「生きていること」を「力」としてとらえるという「アニマティズム(animatism、プレアニミズム」(R.R.マレットの説)によって、環境世界に対応しています。

②「石器後波」は「新石器文明」によってB.C.9000年ころに始まる約5000万人の波ですが、この時代の人類はあらゆる事物や現象に霊魂の存在を認める「アニミズム(animism)」(E.B.タイラーの説)によって、世界に向き合ってきました。

③「農業前波」は「粗放農業文明」によってB.C.3500年ころに始まる約2億6000万人の波ですが、この時代の人類はシュメール、インダス、ミノア文明などに見られるような、「神話的な世界観(ミソロジー:mythology)によって、人口容量を増やしてきました。


④「農業後波」は「集約農業文明」によってA.D.400年ころに始まる約4億5000万人の波であり、この時代の人類はヒンズー教、仏教、キリスト教、イスラム教など、いわゆる「宗教(レリジョン:religion)によって世界を見つめなおしてきました。


⑤ 「工業現波」は「近代工業文明」によってA.D.1400年ころに始まる約100億人の波ですが、この時代の人類は神話や宗教から科学を切り離すことによって生み出された「機械論的自然観(mechanistic view of nature)によって環境世界と対峙し、人口容量の大幅な拡大を達成させました。
 
以上のように、人口波動が示すものは、人口動向や社会動向はもとより、より高次元の自然観、宇宙観、環境観などにも及んでいます。

これまで20回ほど人口波動説・10のオリジナリティー」について述べてきましたが、10番目の精神史構造については、さらに詳しい論述が必要と思われますので、ここで一区切りし、次回から新たなタイトルのもとに議論を展開していきます。

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