2022年11月7日月曜日

人減先進国・人口容量維持産業とは何か?

人減先進国の向かうべき産業分野として、①人口容量維持産業、②情報深化推進産業、③濃密生活対応産業の3つを挙げてきました。

最初に「人口容量維持産業」、いわゆる「サステナブル対応産業」とはいかなるものか、を考えてみましょう。

人口容量12800万人の基本である生活資源の規模を維持していくには、図に示したように、扶養量と許容量の両面への対応が必要であり、両方を確保していくには、国内での生産と国外からの調達の両方向があります。 





扶養量対応産業

扶養量対応では、生活資源(食糧・衣料・住居など)や生活素材(熱源・移動・通信など)といった、生活基礎物質を確保する産業の維持が求められます。

従来の人口増加社会では、これらの資源や素材の大半を国外からの輸入に頼ってきました。しかし、ラストモダンに突入した、今後の世界では、需給環境が極めて不安定化する可能性が高まっており、自給率を高めていかなければなりません。

それゆえ、食糧はもとより衣料素材や建築材料などについても、国内での生産量を増やし、可能な限り自給していくような産業の振興がまずは必要となります。

それでも、国内では調達できない資源や素材については、国外からの調達がどうしても必要ですから、それらの輸入対価を得られるほどの輸出製品を生産する、さまざまな産業の振興もまた振興していかなければなりません。

その時、新たな輸出商品として求められるのは、従来の成長・拡大型商品ではなく、後述するような濃密生活対応商品となるでしょう。そうした商品の開発する産業こそ、国内需要を超えて、人減社会の新たな産業構造をリードしていくことになるでしょう。

 

➁許容量対応産業

許容量対応では、人口密度(過密・過疎など)の居住限界や廃棄物(生活・産業廃棄物・排出ガスなど)の処理限界といった、さまざまな制約を緩和する産業が求められます。

過密・過疎など居住環境の限界を調和する、土木・建築などの生活環境改善産業では、成長・拡大型の新規事業を抑えて、既存の国土・都市環境をいかにして保存・改善していくか、という飽和・濃密型需要への対応が、新たな産業目標となってきます。

一方、大気汚染・水質汚染・廃棄物増加などへの環境改善産業では、国内での対応はもとより、国際的な環境保全需要に対応する、さまざまな産業の育成が求められます。その意味では、国際連合の提唱するSDGs17目標のうち、地球環境対応の5目標に連動するともいえるでしょう(それ以外の12対策については当ブログのSDGs)

以上のように、見てくると、両方の産業はともに、人口容量の拡大をめざすのではなく、既存の人口容量をいかにして維持していくか、を目標にしています。

その意味において、人口容量維持産業とは、広義の「Sustainability(サステナビリティ)」を実現する産業ともいえるでしょう。

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