2020年9月14日月曜日

コロナ禍に対応できない国際組織!

黒死病が壊した農業後波の「生産・社会・識知構造」を先例に、コロナ禍が今や脅かそうとしている工業現波の「生産・社会・識知構造」を推測しています。

今回は「社会構造」の「国家連合制」で、具体的には「国際連合」です。






国際機関の歴史を振り返ってみると、19世紀前半、1815年のウィーン会議によるライン航行中央委員会1856年のパリ条約によるドナウ川ヨーロッパ委員会など、河川運航に関わる国際委員会にルーツが見られます。

19世紀後期になると行政・技術分野へ広がり、1865年にパリで発足した万国電信連合(後の国際電気通信連合)、1874年の万国郵便条約による万国郵便連合1875年の国際度量衡連合1883年の工業所有権保護同盟1886年に国際著作権同盟などがスタートしています。

20世紀に入ると、1920に第一次大戦後の国際平和を維持するため、アメリカ合衆国大統領T.W.ウィルソンの提唱で、史上最初の常設的な一般的国家連合組織として、国際連盟League of Nationsが設立されました。

しかし、アメリカは上院の反対で当初から不参加、193337年には日本・ドイツ・イタリアの脱退、1939年にはソ連の除名などが重なって有名無実化し、第二次世界大戦(193945年)の勃発で機能を停止1946年に解散しています。

第二次大戦後、1945に国際平和と安全の維持、諸国間の友好と協力を目的として国際連合United Nationsが成立しました。総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の6機関と15の専門機関などから構成されています。

日本も1956(昭和31)年に加わって、20204月現在、193か国が加盟しています。

しかし、成立してすでに70数年、国際連合にも次々と問題点が浮上しています。

●第2次世界大戦の戦勝国が主導する国際機関という性格ゆえに、未だに大国同士のエゴのぶつかり合いが多く、ともすれば現状維持的となって、激変する情勢へ対応し、新たな世界構造を創り上げる構想力に欠けています。
 
●世界平和の維持・達成が目的であるにもかかわらず、「平和」の定義が時々の主導国に都合のよいように変えられる場合もあり、本来の機能を果たすことが困難になってきています。

5つの安保理常任理事国(米、英、フランス、ロシア、中国)が拒否権など圧倒的な特権を持っているため、193の加盟国が出席する国連総会の決議ですらも、時には軽視されるケースが生じています。

●国連総会では「1国1票」が原則であり、その専門機関もまた中立的な運営を求められていますが、特定の国家がさまざまな支援策で諸国の意向を自国に都合のよい方向へと誘導するなど、政治的な影響力に配慮せざるを得ない状況に陥っています。

内政不干渉を原則としているが故に、世界各地で多発している紛争にはほとんど関与することができず、内戦終結へ誘導できない組織となっています。

こうした国連の脆弱性が、コロナ禍によって、明白に浮上してきました。

世界規模で人やモノが移動するグローバル化時代には、コロナ禍などへの対応は個々の国だけでは到底不可能なため、国連機関である世界保健機関(WHO)の役割がますます大きくなってきています。にもかかわらず、事務局長の歪な運営や発言が次々と問題化し、拠金を停止する国すら現れています。

より大きな権限を持つ安全保障理事会でも、紛争地での感染拡大を懸念して、即時停戦を求める決議案を提案しましたが、拒否権を持つ国々の対立によって暗礁に乗り上げ、ほとんど機能停止に等しい状態に陥っています。

とすれば、現在の国連にこれ以上の期待は無理なのでしょう。むしろコロナショックを一つのチャンスとして、国際連盟や国際連合に代わる、新たな国際機構の構築が必要なのかもしれません。

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