黒死病が壊した農業後波の「生産・社会・識知構造」を先例に、コロナ禍が今や脅かそうとしている工業現波の「生産・社会・識知構造」を推測しています。
今回は「社会構造」の「国家連合制」で、具体的には「国際連合」です。
国際機関の歴史を振り返ってみると、19世紀前半、1815年のウィーン会議によるライン航行中央委員会、1856年のパリ条約によるドナウ川ヨーロッパ委員会など、河川運航に関わる国際委員会にルーツが見られます。
19世紀後期になると行政・技術分野へ広がり、1865年にパリで発足した万国電信連合(後の国際電気通信連合)、1874年の万国郵便条約による万国郵便連合、1875年の国際度量衡連合、1883年の工業所有権保護同盟、1886年に国際著作権同盟などがスタートしています。
20世紀に入ると、1920年に第一次大戦後の国際平和を維持するため、アメリカ合衆国大統領T.W.ウィルソンの提唱で、史上最初の常設的な一般的国家連合組織として、国際連盟(League
of Nations)が設立されました。
しかし、アメリカは上院の反対で当初から不参加、1933~37年には日本・ドイツ・イタリアの脱退、1939年にはソ連の除名などが重なって有名無実化し、第二次世界大戦(1939~45年)の勃発で機能を停止、1946年に解散しています。
第二次大戦後、1945年に国際平和と安全の維持、諸国間の友好と協力を目的として国際連合(United Nations)が成立しました。総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局の6機関と15の専門機関などから構成されています。
日本も1956(昭和31)年に加わって、2020年4月現在、193か国が加盟しています。
しかし、成立してすでに70数年、国際連合にも次々と問題点が浮上しています。
こうした国連の脆弱性が、コロナ禍によって、明白に浮上してきました。
世界規模で人やモノが移動するグローバル化時代には、コロナ禍などへの対応は個々の国だけでは到底不可能なため、国連機関である世界保健機関(WHO)の役割がますます大きくなってきています。にもかかわらず、事務局長の歪な運営や発言が次々と問題化し、拠金を停止する国すら現れています。
より大きな権限を持つ安全保障理事会でも、紛争地での感染拡大を懸念して、即時停戦を求める決議案を提案しましたが、拒否権を持つ国々の対立によって暗礁に乗り上げ、ほとんど機能停止に等しい状態に陥っています。
とすれば、現在の国連にこれ以上の期待は無理なのでしょう。むしろコロナショックを一つのチャンスとして、国際連盟や国際連合に代わる、新たな国際機構の構築が必要なのかもしれません。
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