ル・ルネサンスの進むべき、2つめの要件は「❷工業前波から工業後波へ」です。
前回述べたように、人類の人口波動において、過去の4つの波動は2つずつペアになっていました。つまり石器前波と石器後波、農業前波と農業後波です。
とすれば、現在の工業現波もまた、前波と後波に分かれてくるでしょう。
私たちの生きている工業前波は未だ工業波動の前半にすぎず、これが終われば、次の工業後波が始まる、ということです。
工業後波とは、どのような特性を持つものになるのでしょうか。
過去の4波動における発展構造を、技術、生業、共同体などで整理してみると、次表のようになります。
この表を基に、前波と後波の関係を推測してみると、次のような関係が浮かんできます。
➀技術では、旧石器から新石器へ、粗放農具・金属器から集約農業技術へと、粗放段階から集約段階への移行が見られます。 ②生業では、狩猟・採集から狩猟・採集・耕作へ、粗放農業から集約農業へと、基礎次元の生産から高度次元の生産への移行が見られます。 ③共同体では、血縁・地縁から地縁・集落へ、村落・市井から村落・都市・国家へと、縁故的な単位集団から広域的な連合集団への移行が見られます。 ④識知では、生命力(Dynamism)から霊魂力(Animism)へ、神話(Mythology)から宗教(Religion)へと、分散的認識から統括的認識へ、つまり分節化から合節化への移行が見られます(詳細は後述します)。 |
以上を参考にすれば、工業後波には、次のような特性が予想できます。
❶技術では、粗放的機械生産から集約的機械生産へ進展します。 ❷生業で、工業・分業化から工業・統合化へ移行します。 ❸共同体では、企業・都市・国家から3団体+新共同体へ移行します。 ❹識知では、科学(Science)から統合的科学(Integrated Science)へ進展します。 |
以上のような基礎的要件の変化を前提にしつつ、ル・ルネサンスには、コロナ禍が摘発した現代社会のさまざまな欠陥を、速やかに改善していく発想力が求められます。
例えば物量的限界に達した工業技術、形骸化した民主主義、格差拡大した経済制度、過剰分業・分散化する国際社会、そして思考基盤としての分断的科学技術など、それぞれを基盤から見直して、大胆に再構築していかなければなりません。
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