農業後波の飽和期(1300~1350年頃)をモデルに、工業現波の飽和期(2020~2070年頃)の世界を予測しようとしています。
「社会的混乱」については、➀伝染病、➁基本制度、➂国際情勢、➃経済制度において、大きな変化が予想されます。
前回の伝染病と基本制度に続き、今回は国際情勢と経済制度を展望していきます。
➂国際情勢では紛争多発が予想されます。
農業後波の寒冷化や英仏百年戦争などをモデルにすると、次のように予測できます。 気候変動による干ばつ、洪水、海面上昇などで、水資源争奪、食料不足、気候難民の大量移動が発生します。2050年までに約33億人が水不足に直面すると予測されており、ナイル川やメコン川などの上流・下流諸国間では「水戦争」のリスクが急上昇します(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change 第2作業部会 第6次評価報告書)。 また海面上昇や干ばつで、2050年までに最大12億人の気候難民が発生するとの予測(Institute for Economics & Peace:IEP)もあり、大規模な人口移動によって、排外主義の台頭や内戦の勃発なども可能性が高まります。 さらに国連や既存の国際機関の機能不全が進みますから、地域紛争の拡大が予想されます。アメリカと中国の対立は、台湾を巡る緊張、南シナ海での限定的軍事衝突、サイバー攻撃・宇宙空間での妨害行為、経済圏のブロック化などで、全面的な戦争には至らないまでも、常時対立状態として2070年代まで続く可能性があります。 中東でもイランvs湾岸諸国の紛争、イスラエルと周辺諸国の限定衝突、トルコの地域覇権志向などが継続する可能性が強く、ヨーロッパではクライナ戦争終結後もNATOとロシア間で断続的な衝突が予想されます。 これらの紛争は、国家間の全面的な戦争には至りませんが、中規模な紛争が同時並行する、慢性的な不安定世界を生み出すことになります。第三次世界大戦は起きないものの、戦時体制が常態化する可能性が高いでしょう。 |
➃経済制度では市場経済の混乱が予想されます。
農業後波の農業経済終焉をモデルにすると、これまでの成長・拡大型の市場社会が次のような要因で混乱に陥っていきます。 第1要因は人口容量限界化です。地球の環境容量や資源が限界に達しますから、「無限の成長」を前提とした、これまでの経済モデルは終焉します。 異常気象や海面上昇によって、洪水、干ばつ、山火事などが連鎖的に発生し、農漁業生産、サプライチェーン、インフラなど同時多発的な打撃を与え、市場機能の不安定化を招きます。 これに伴って各国の人口もまた停滞や減少に向かいますから、労働力人口の縮小、社会保障費の増大などで、成長前提の資本主義モデルは限界に達します。 第2要因はグローバル構造の変質化です。2050年頃には中国、インド、インドネシアなどが世界経済の中心となり、先進国と新興国の力関係が大きく変わります。 これにより、従来の単一グローバル市場が崩れ、複数の経済圏が併存する世界へと移行します。欧米が主導してきた市場経済のルール(知財、投資、貿易、金融)が縮小し、多極化したルール体系と併存する可能性が高まるでしょう。 第3要因はAI等高度情報化の進展です。AI(汎用人工知能)と高度なロボティクスが、ホワイトカラーとブルーカラー双方の労働を代替し、富の集中が資本側へ加速すると、労働分配率が低下します。これにより、資本家層と労働者層の格差が拡大するにつれて、政治的ポピュリズムを刺激し、市場原理そのものへの反発が強まります。 以上のような変化で、これまでの市場経済制度は、前提条件そのものが揺らぐ「制度的危機」に陥る可能性があります。国家分断化やグローバル経済縮小化が進めば、経済問題を超えて、文明の持続可能性に関わる構造的課題となるでしょう。 |
以上、「社会的混乱」について、伝染病、基本制度、国際情勢、経済制度の4つの面から、今後の50年を展望してきました。
これらの変化によって、現代社会を支えてきた時代識知もまた、大きな変貌を迫られます。どのように変わっていくのでしょうか。

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