2026年2月14日土曜日

今後50年(工業現波・飽和期)を予測する➀

農業後波の飽和期(13001350年頃)をモデルに、工業現波の飽和期(20202070年頃)の世界を予測しようとしています。

飽和期の基本的な現象としては、【人口停滞の背景を考える!】で触れたとおり、主導文明の停滞とともに人口抑制装置が作動し、政治面では中心勢力の動揺、社会・経済面では飽和・閉塞・動揺感の上昇、文化面では先行き不安ムードの拡大などが予想されます。この視点を基盤に、人口容量限界化、社会的混乱、時代識知動揺の3つの次元から、さまざまな変化を展望してみましょう。


最初は「人口容量の限界化」です。

➀自然環境の変化では、温暖化が進みます。

20世紀初頭からの100年間で摂氏0.7度ほど上昇した地球の平均気温は、21世紀に入ってさらに加速し、世紀後半まで続くと予想されています。要因の9割は、人間の産業活動等で排出された温室効果ガス(主に二酸化炭素とメタンなど)と推定されます。

これによって海水面の上昇や降水・降雪量の変化などが進み、洪水や旱魃、酷暑や豪雪、暴風雨などの異常気象が頻発し、生活・産業環境の危機が急増します。そのうえ、真水資源の枯渇や生物相の変化なども急進し、農業・漁業等食糧資源への悪影響も懸念されます。

➁主導文明の変化では、科学技術の限界化が進みます。

工業現波を生み出した「科学」という時代識知、そのものの限界が浮かび上がってきます。【科学という時代識知は・・・】で指摘したように、この識知は要素還元主義、記号・数字的思考、科学万能主義によって、さまざまな学問や技術を生み出し、人類の生活や生産力を大きく向上させてきました。

しかし、昨今の世界を見ると、化石燃料系は大気汚染を引き起こし、核燃料系は高濃度放射能を拡散させ、巨大化した資本では寡占化や横暴化が進んでいます。今後は急進するAIによるポピュリズムの拡大で民主制が危機に瀕し、コニュミズムの倒錯による全体主義の拡大中央統治機構の弱体化、そして国際機関の空洞化など、この文明の限界を示すような事象が次々に発生します。

➂国際環境では、ポスト・アメリカーナが進行します。

20世紀に「パックス・アメリカーナ」として、世界の覇権を確立したアメリカ合衆国が次第に弱体化し、ヨーロッパの統合を果たしたEU(ヨーロッパ共同体)もまた解体の危機に瀕します。その一方で、中国の「一帯一路」化戦略をはじめ、ロシアや北朝鮮の専制強化など、強引な外交や強硬な内政を行う政権が次々と登場してきています。

こうした状況を見越すように、中近東では20世紀半ばからのパレスチナ紛争や、ISLの勃興によるイラク紛争などが、再び拡大する恐れが高まります。さらに中国・インド間での国境紛争や、米中間での台湾有事なども推測されます。

➃国家体制では、超国家制度の模索が始まります。

パックス・アメリカーナの終焉やコロナ禍への対応などで、グローバリズムへの安易な信仰が大きく動揺し、国際連合の安全保障理事会(UNSC)や世界保健機関(WHO)などへの信頼も次第に低下していきます。

このため、国際連盟や国際連合に代わる、新たな国際構造として、より統合力のある国際組織の模索が始まります。

以上のような変化によって、工業現波の今後50年の世界は、基盤である人口容量が限界に達するとともに、国際環境はもとより、国家という統治制度にも、大きな見直しが迫られるようになるでしょう。

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