人口減少が進むと、GNIが現状の水準をほぼ維持できれば、一人当たりGNIは、現在より大きく伸びていくはずです。
まさに人減先進国の目ざすべき目標ですが、これを実現するには、国民全体のGNI維持力、つまり生産性の向上が求められます。
それには、実際に生産活動に携われる年齢階層、いわゆる生産年齢人口の規模と一人一人の生産性が問われることになります。
そこで、前回設定した2115年の経済規模を前提に、生産年齢に該当する国民一人がどれくらいGNI成長を分担していかなければならないのか、を大まかにシミュレートしてみました。
目標となる2115年の経済規模(2015年時価)を、次のような伸び率で設定します。
①0.2%成長時・・・688兆円 ②0%成長時・・・ 575兆円 ③-0.2%成長時・・・480兆円 |
一方、生産年齢人口は、経済協力開発機構(OECD)の定義により15~64歳の人口とされていますが、今後の100年間が人口構成の変化に伴って、かなり変化していくものと思われますから、3つのケースを想定してみました。
①15~64歳・・・OECDの定義・・・2115年:1871万人 ②25~74歳・・・当ブログの定義・・・同:2164万人 ③20~74歳・・・今回設定の定義・・・同:2302万人 |
上記のような生産規模3ケースと年齢別3ケースを掛け合わせてみると、次の図になります。
2つの図を整理して、生産年齢国民一人当たりに期待される生産額の変化を確かめてみると、以下の表になります。
❶0.2%成長の場合、いずれの年齢定義でも、期待生産額は現在の4~5倍となる。 ❷0%成長の場合、いずれの年齢定義でも、期待生産額は現在の3.5倍前後となる。 ❸-0.2%成長の場合、いずれの年齢定義でも、期待生産額は現在の3倍前後となる。 |
現在の経済的人口容量を100年後も維持していこうとすれば、15~74歳の間に入ってくる国民の1人1人が、現在の3~5倍の生産性を上げなければならない、ということです。
そんなことができるのでしょうか。過去には1900~2000年の100年間に、日本の1人当たりGDPは17.5倍に伸びた、という研究もありますから、決して不可能ではありません。
どのような社会・経済構造が構築できれば可能になるのか、さらに考えていきましょう。
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