2018年2月27日火曜日

田沼政権・3つの原動力

田沼政権の行った諸政策は、かなり大胆で画期的なものでした。

それでもなお、かなりの進展を見せた背景には、次の3つの利点があったからだ、と思われます。




常識・通念を超える実行力
その発想や政策が、従来の常識や通念を根本からひっくり返すものでした。石高経済からの脱出や商業資本の導入といった発想は、それ以前にも生まれていたのですが、幕府の政策に実際に導入したのは、田沼政権が初めてでした

卓越した官僚統制
田沼政権は勘定奉行所の官僚を巧みに操縦しています。勘定奉行所は財政・経済・司法を担う事務方役人の勤める役所ですが、それがゆえに能力如何によっては、下級官僚から昇進し勘定吟味役や勘定奉行にまで上り詰めることが可能でした。

明和~天明期のような、財政が極端に悪化した時代には、複雑で難解な財務運営が求められましたから、経理の才・功利の才に長けた役人が頭角を現していました。

田沼意次はそうした役人を、身分の上下を問わず、積極的に活用することで、斬新な政策を推進したのです。

農工商人からの献策重視
田沼政権は、豪農や豪商からの積極的な献策を取り上げています。

新たな税収源として、冥加・運上金制度を新設しましたが、その対象となった団体のほとんどは、幕府の指定ではなく、豪農や豪商など農民・町人層からの献策によったものでした。

田沼意次は、財政改善のためのアイデアもまた、幕府の内部にこだわらず、広く全国民に求めています

このような卓越した発想力と統治力こそ、田沼時代という、前例なき時代を創り出した、そもそもの原動力だったといえるでしょう


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