グローバル・レシプロシティー論を展開してきましたが、ゴールにはまだまだ未到達です。そこで、一休みして、しばらくは間もなく始まろうとしている「ル・ルネサンス」について考察していきたいと思います。
ル・ルネサンスとは、現代社会を構築した知性の誕生、つまり「ルネサンスの再来」を意味しています。
当ブログではすでに【ポストコロナは「ル・ルネサンス」へ!】【ル・ルネサンスのモデルとなる時代を求めて】などで、人口波動の減少期や始動期には、「モノ作りからコト作りへ」、あるいは「物質的拡大から情報的深化へ」といった動向が強まり、それによって新たな時代識知が育まれると、次の人口波動が始動し始める、と主張してきました。
こうした視点を今や進行している世界波動の工業現波に当てはめると、次の3点が浮かび上がってきます。
➀工業現波の伸び率が急速に衰え、20数年後、2050年代には減少に移行していくのは、この波動の人口容量を担ってきた科学技術文明がすでに限界に達したことを示している。環境問題の深刻化や食糧需給の不安化などは、それを如実に物語っている。 ➁一方、昨今の社会で急速に進んでいるITや生成AIなど技術革新は、この波動を担ってきた科学技術文明が物資拡大の限界に達したため、その方向を情報化へと転換し始めていることを示している。 ➂こうした動向は、一つ前の人口波動、農業後波の末期に起こったルネサンスの再来、いわば「ル・ルネサンス」ともよぶべき時代を創り出す可能性がある。 |
人類史を振り返ると、人口波動が減少から増加へと転換する時代には、次のようなプロセスが考えられます。
❶人口減少、つまり人口容量の限界化とともに、新たな情報革命が進行する。 ❷情報革命によって、次の波動を創り出す世界観、つまり時代識知の大転換が進む。 ❸時代識知が変わると、新たな物質的技術もまた生み出される。 ❹それに基づいて、次世代の人口容量が創り上げられる。 ❺人口容量の拡大に対応して、次の人口波動が増加し始める。 |
以上のようなプロセスを一つ前の人口波動、つまり農業後波に当てはめてみると、「ルネサンス」が浮上してきます。
人口がピークに達して減少し始めた1300年代から、再び人口が増え始める1400年代にかけて、ヨーロッパ諸国では、活版印刷術の進展とともに、文化や知性の復興運動が始まっています。
この文芸復興、つまりルネサンスによって、「サイエンス」という時代識知が新たに育まれ、その応用によって、人口容量の拡大見通しが浸透してくるとともに、新たな人口波動、つまり工業現波が上昇を開始したのです。
文明の方向がモノ的拡大からコト的転換へ進むと、それによって新たな物的拡大の可能性が浮上してくる、ということです。
以上のようなルネサンスの仕組みは、14~15世紀に限ったことではありません。
人類の歴史をふりかえると、人口波動が減少から始動に移るプロセスには、何度も起こっているようです。
石器前波から石器後波へ、石器後波から農業前波へ・・・など、人口波動の初期段階からこのようなプロセスを振り返ってみましょう。
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