互酬制の歴史から見えてきた、グローバル・レシプロシティーの未来に関する、3つの検討事項のうち、3番めは❸互助内容の集中化です。
こうした推移を考慮しつつ、グローバル・レシプロシティーにおける互助内容を考えてみると、物質的な扶助やサービス的な扶助は国家などに任せ、ベーシックインカムとして生活資金の互助に集中する、という方向が有力だ、と思われます。
とすれば、国家保証を超えた、世界規模の仮想通貨、いわばグローバル・レシプロシティー・カレンシィ(GRC:世界的共助貨幣)とでもよぶべき貨幣の構築をめざさなければなりません。具体的に言えば、次のような方向が求められるでしょう。
➀国土や国家などを超えて、グローバルに共有できる価値交換をめざすには、デジタルな貨幣機能を持つこと。 ➁交換手段としての価値の保証を、互助集団間の信用保証に置くこと。 ③交換財の贈与や受領の際に、国家保証貨幣との交換が可能なこと。 |
◆最初の「デジタル貨幣機能」については、近年急速に拡大しつつある「デジタル通貨システム」を積極的に応用していきます。
デジタル通貨は、通貨や貨幣などの価値資産全般を、デジタルコンピュータシステム、とりわけインターネット経由で管理・保存・交換するシステムであり、暗号通貨、仮想通貨、ビットコインなどの形態で行われています。
GRCでは、このシステムを継承しつつ、投資よりも共助の要素を高めていきます。
◆2番めの「価値保証」については、仮想通貨やビットコインなどで行われている、P2P(Peer to Peer:仲間と仲間)システムを基盤に、互助関係者や互助団体などが全員で保障に参加するシステムをめざします。
現行のP2Pでは、参加者全員で取引行為を監視するブロックチェーンという仕組みによって、各国の中央銀行が価値を保証する法定通貨とは異なる方法で、デジタル通貨の価値を担保しています。
GRCでは、このしくみを基礎にしつつ、参加者全員による、さらに広範な監視システムを構築し、その価値を保証していきます。
◆3番めの「国家保証貨幣との交換可能性」については、グローバル・レシプロシティーに参加する各国の地球人が、自らの資金や財産などを、この制度へ提供しようとする時、あるいはGRCの給付を受ける時、それぞれの国家の保証する貨幣との交換がスムーズにできることが求められます。
これについても、現行の仮想通貨システムでは、さまざまな企業が展開している暗号資産取引所サイトにおいて売買、街中のビットコインATMで売買、ビットコイン決済の利用可能な店舗で決済などが可能ですから、GRCの換金制度にも、このようなシステムの導入が期待されます。
こうして見てくると、GRC制度の構築とは、進展する生成AIを積極的に応用して、単なる投資システムを大きく超える、まったく新たな世界的共助制度へ向かって、人類全体が動き始めることを意味しています。
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