現に日本政府は、2050年1億人の人口維持をめざしており、その政策の一つとして、外国人の受け入れについても、さまざまな検討をしているようです。果たしてこれが実現できるのでしょうか。この課題については、詳細な検討が必要だと思われますので、ひとまずは基本的な視点を整理しておきます。
第1の検討課題は、2050年1億人という目標を達成するには、どれだけの受け入れ数が必要なのか、さらにはその数字が達成できるのか、という問題です。
現在、政府の人口予測の基本となっている、国立社会保障・人口問題研究所の予測(2012年)によれば、2050年の人口は最も多い高位ケースで1億0423万人、中位ケースで9708万人、最も少ない低位ケースで9056万人と見込まれています。
とすれば、中位ケースで292万人、低位ケースで944万人が不足してきます。これを外国人で補うとすれば、 現在の約165万人から今後35年間で、中位ケースで127万人、低位ケースで779万人を、新たに受け入れなければなりません。これは実現可能なのでしょうか。
第2の検討課題は、外国人受け入れのインパクトを明らかにし、利点の実現や欠点の克服が可能かという問題です。
外国人を増やす利点としては、次の事項が主に指摘されています。
- 労働力の補充
- 消費力の補充
- 社会保障を支える年齢層の補充、
- グローバル化への対応 など
他方、欠点としては、以下のような事項があげられているようです。
(雇用・労働問題)
- 低賃金の単純労働者の受け入れで、日本人の雇用不安や労働条件が悪化
- 好況時の大量の受け入れで。不況時の失業率が上昇 など
- 教育負担や社会保障負担の拡大
- 第2世代という新国民の増加
- 特定地域に集中居住するゲットーの形成
- 犯罪の増加や風紀の乱れ
- 文化摩擦や国際問題の流入 など
(この課題については、30数年前の1982年から、基礎的な調査・研究を行ってきました。)
参照:http://gsk.o.oo7.jp/report1982.htm
0 件のコメント:
コメントを投稿