2020年8月23日日曜日

コロナ禍でお金の価値が変わる?

黒死病が壊した農業後波の「生産・社会・識知構造」を先例にして、コロナ禍が今や脅かそうとしている工業現波の「生産・社会・識知構造」を推測しています。 

2番めは「社会構造」で、それを支える国家連合制、民主主義制、市場経済制の3つを順番に考えていきます。 

最初は市場経済制。この制度は主に①資本主義と②管理通貨で支えられていると思いますので、まずは管理通貨から入ります。



近代の市場社会では、分業と私有財産制を基礎としつつ、生産の主体消費の主体が相互に依存して経済活動を行っていますが、これらを繋いでいるのが通貨、つまり貨幣です。

その起源は古く、原始社会にまで遡れますが、分業の発達とともに商品交換が広がるにつれ、石、貝殻、布、家畜、穀物などの物品貨幣(実物貨幣)から、金銀銅などの金属貨幣へと移り、最終的には鋳造貨幣紙幣という現金通貨へ、さらには銀行等に預金されている当座性預金通貨などへ変化してきました。

貨幣とは一体何なのでしょうか。経済学などでは、主な機能としては、①価値尺度および価値基準、②交換手段あるいは流通手段、③価値貯蔵手段の3つを挙げています。

現代社会において、これらの機能を一片の紙無用の鉱物片に与えているのは、国家という保証機構が働いているためです。

近代国家の確立とともに、特定の形態を備えた物体を貨幣であると宣言する力(貨幣高権)を国家が持つことになりました。初めは金属製の鋳貨が主流でしたが、その素材価値が低下するにつれて補助貨となり、代わって紙幣が中心となりました。

1816年、イギリスが1ポンドの金貨鋳造を始めた時、中央銀行が発行紙幣と同額の金を常時保管して、金と紙幣との兌換を保証するという制度を開始しました。金を通貨価値の基準とする金本位制です。

その後、この制度が欧米諸国に広がって、国際決済市場では金本位が一般化しました。金貨や金地金を預託した、銀行の預かり券(紙幣)を用いて商取引を行い、最終的な決済は売り手・買い手の指定する銀行の間で金を現送して精算する、という制度です。

しかし、第一次世界大戦(1914~1918年)の前後から金本位制の矛盾が拡大し、1929年から世界恐慌が拡大したため、イギリスが1931年に金本位制を離脱すると、アメリカを除く各国も追随して、以後は金本位制に代わる管理通貨制度が拡大しました。


国内通貨の供給量を、金貨・銀貨などの備蓄量で保証することなく、政府や中央銀行が政策的に管理・調節する制度です。

この制度は広がったものの、第二次世界大戦(1939~1945年)後になると、国際通貨基金(IMF)体制のもとで、金と1オンス=35ドルで交換可能なアメリカ合衆国ドルを基軸通貨とし、各国通貨は米ドルとの固定相場制採用されました。「金ドル本位制」とか「金為替本位制」などといわれています。

ところが、1971年、アメリカでは財政赤字が増大してインフレが進行したため、ドルと金の兌換停止に踏み切りました(ニクソン・ショック)。これによって、金と通貨の関係は完全に切り離され、国際的にも本位制度(金・銀本位制)から管理通貨制度への移行が進みました。

現在の管理通貨制度では、各国の通貨当局は金や銀などの保有量とは無関係に通貨供給量を増減できますから、次のような利点と欠点が生まれてきました。



利点・・・通貨の発行量が金銀などの本位の備蓄量に拘束されないため、その量を自在に調節することで、物価の安定、経済成長、雇用の改善、国際収支の安定などを図ることが可能となりました。 

欠点・・・通貨当局が行政府の影響下にある場合には、景気対策のための恒常的な金融緩和が通貨の信用を低下させてインフレを招くことになり、逆に独立性が極端に保護される場合には、通貨当局の失策が国家に破滅的な混乱をもたらす、という懸念も考えられます。 

こうした管理通貨制度の長短に加え、21世紀に入るともう一つ、インターネットの拡大で普及し始めた仮想通貨が、さまざまな影響を引き起こしています。



代表的な仮想通貨である「ビットコイン」では、幾つかの取引情報をブロックごとにまとめて暗号化し、鎖のようにつなげていくブロックチェーン技術によって、情報の改竄を困難にし、通貨の信頼性を担保しています。 

今後、仮想通貨が拡大していけば、これまでの通貨の概念や価値が根本的に変わる可能性も生まれてきました。

以上のように、現代社会の貨幣制度は、政府または中央銀行の政策方向や仮想通貨の拡大などによって大きく変わり始めています

コロナ禍が引き起こす国家財政の悪化や、それが加速させるネット社会の拡大は、こうしたトレンドをいっそう進めていくのではないでしょうか。

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