数理生態学や個体群生態学などの分野では、密度効果を出生数と死亡数の差で表すのではなく、人口総量の増減率で表す、下記のような数式がしばしば使われています。
Pn+1=α×(1-Pn/K)×Pn
Pnはn年の人口、Kは人口容量、αは増減係数を、それぞれ表しています。
この数式を使って、Kを100人とし、αをさまざまに変えてシミュレートしてみると、Pnは下図のように変化します。
①α=2.0のケースでは、50人前後をピークとする、ほぼロジスティック曲線を描いています。人口容量が100人にもかかわらず、50人前後でほぼ定常状態となっているのは、αが変化した時の増減幅が50人を基準にして上下に大きく揺れることを前提にしているからです。
②α=3.0のケースでは、65人前後で小波が現れ、以後は小刻みに続いていきます。
③αが3.18から3.5へ、さらに3.8へと変わるにつれて、波動の上限は大きく80~95人へ広がるとともに、増減の振幅や変化パターンが多様化していきます。
②α=3.0のケースでは、65人前後で小波が現れ、以後は小刻みに続いていきます。
③αが3.18から3.5へ、さらに3.8へと変わるにつれて、波動の上限は大きく80~95人へ広がるとともに、増減の振幅や変化パターンが多様化していきます。
こうしてみると、前回の加除式でも今回の乗除式でも、人口容量の上限に近づくにつれ、人口の動きはロジスティック曲線のような定常状態だけでなく、さまざまな動揺状態を辿るケースが多い、と推測されます。
つまり、容量制約時の人口推移は、安定的な定常状態を辿るのは稀なことで、下降、増減、回復などさまざまな推移を辿ることの方が多い、ということです。
サステイナブル(持続可能)だけではなく、カオティック(混沌)な動きも見せるのが常態なのです。
これこそ、筆者の提唱する「修正ロジスティック曲線」が意味するところです。
特定の数式や方程式をさすのではなく、上限到達時以降の人口推移に多様な変化を認めようという視点や見解、そのものを示しているのです。
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