22年前、筆者の提唱した「人口波動モデル」は、その後、社会学、未来学、建築学などの関係者から「人口波動説」とよばれるようになり、現在に至っています。
「人口波動説」は、従来の「人口波動理論」や「人口原理」とどこが違うのでしょうか。さまざまな面から確かめておきましょう。
①マルサスの2公準を3公準に改訂し、人口の増加・停滞過程を動態仮説として設定した。
②自然環境を利用して、文化や文明で作り出す人口の生存規模を「人口容量」と定義した。
③「人口容量」への負荷強化によって、増加抑制の作動するしくみを「人口抑制装置」と定義し、その中身を「生理的抑制装置」と「文化的抑制装置」の2面から捉えた。
④「文化的抑制装置」のしくみとして、「直接的抑制」「間接的抑制」「政策的抑制」の3面を提唱した。
⑤一定期間の人口推移を描く曲線の名称を「ロジスティック曲線」から「修正ロジスティック曲線」に改訂した。
⑥長期的な人口推移を「修正ロジスティック曲線」の繰り返しとする「多段階人口波動曲線」と定義した。
⑦さまざまな人口推計による人口の推移を、正対数・逆対数のグラフに描いて、5つの波動を抽出し、世界や日本の「多段階人口波動曲線」の実在を確認することで、「人口波動」仮説を検証した。
⑧多段階を構成する個々の修正ロジスティック曲線の進行プロセスを、始動―離陸―上昇―高揚―飽和―下降の6時期に分け、それぞれの時期別特性を抽出した。
⑨6時期の時期別特性をアナロジーとして応用する、未来予測手法「人口波動法」を提唱した。
⑩人類の精神史には、5つの人口波動が造り出した時代、5つの時代精神の、重層的な構造があることを指摘した。
以上の10項目をとりあえず「人口波動説」のオリジナリティーとして提起したうえで、それぞれの成果と現況を説明していきましょう。
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