2025年2月25日火曜日

深層言語➔マナイズム➔旧石器文明

深層言語こそ、マナイズムの創造源であった、と述べてきました。

これまで当ブログでは、石器前波の生成要因をマナイズムから説明してきました【ディナミズムが旧石器文明を生み出した!2022223日、ディナミズム=動体生命観が石器前波を創った!2019913日】。ディナミズムとは、マナイズムの別称です。

しかし、マナイズムという時代識知が生まれてくる、さらにその背景を考えてみると、より深い次元に、人類の環境世界把握の基本的変化があった、と思われます。

私たち人類は、【「ことしり」から「ことわり」へ!】で触れたように、環境世界のさまざまな事象を“身分け”(感覚)によってひとまず“認知”したうえで、“識分け”(意識)によって無意識から意識を“識知”し、さらに“言分け”(言語化)によって“言知”しています。

こうした認識の仕組みこそが、さまざまな時代識知の生まれてくる根源ではないでしょうか。

とすれば、マナイズムという時代識知の発生源にも、やはり識分けや言分けの変化があったはずです。つまり、マナイズムが生まれるには、身分けから識分け、言分けへの“認識”装置の変化があったのです。

どのような変化であったのでしょうか。・・・といえば、前回指摘したような深層言語の発生と発展でした。

無意識から意識への移行過程を担う深層言語(Deep languageとは、無意識のため息、喘ぎ、息づかいや、意識的な手振り、身振り、しぐさなどという、初期的、胎内的な“言葉”です。

こうした深層言語によって、環境世界の動態を直観的に把握した識知、これこそがマナイズムだったのではないでしょうか。

太陽や月、風や波、獣や魚などの動きを、人類はオノマトペ(擬音・擬態語)ジェスチャー(身振り・手振り)などで、活力や生命力として理解し、お互いに会話し合ったのです。

何度も会話が繰り返されるとともに、環境世界はマナ(mana:超自然力、呪力)で動いているという共通認識が、人類共同体の中に育まれていきました。

それゆえ、マナイズム(Manaismとは、深層言語という識知装置の進展によって、初めて創り出された時代識知だった、といえるでしょう。

このマナイズムによって、環境世界の動力を人類自らの手中に引き込むことが促され、さまざまな石器類を創造させて、旧石器(Paleolithという文明へと昇華させていきました。

2025年2月18日火曜日

マナイズムは深層言語が創った!

石器前波を創ったマナイズムから、石器後波を創ったアニミズムへと、時代識知の変換を担ったのは「深層言語」から「象徴言語」への移行でした。

マナイズム(manaismを生み出した深層言語とは、どのような言葉だったのでしょうか。筆者の別のブログ(生活学マーケティング)の【言語6階層説:深層言語とは・・・】では、次のように説明しています。


深層言語とは、「身分け」が把握したものの、「識分け」が漏らした、無意識(深層意識)の事象を、言葉になる前のイメージや偶像などで表した記号です。

いいかえれば、感覚が捉えた対象を、意識が把握する前の、体感的・心像的な動作やイメージであり、自然的な言葉が生まれる前に、胎内的な言葉が湧き上がる次元です。

具体例としては、音声言語(無意識のため息、喘ぎ、息づかい)動作言語(無意識の手振り、身振り、しぐさ)などが考えられます。

このような深層言語こそ、マナイズムを産み出した、認識的な基盤でした。

マナイズムは【アニマティズムという時代識知】で述べたように、イギリスの人類学者、R.R.マレットが提唱した観念形態です。

彼によれば、マナイズムとは、動植物のみならず無生物や自然現象など、すべてのものに生命があり、生きている、と察知する考え方です。

人間、事物、動植物、諸現象の作用や活動とは、活力、威力、生命力、呪力、超自然力である、と感じる心理や態度である」と考えて、「活力や生命力という観念が、歴史的にも心理的にも霊魂や精霊という観念に先行している」と述べています(Pre-animistic Religion1900)

メラネシアやポリネシアの先住民が抱いているマナ(manaという観念は、超自然力や呪力であり、神や人間はもとより自然現象全てに含まれて、物から物へと転移していきます。

例えば、戦士が敵を倒せるのは、槍に強力なマナが付加されているからです。南アフリカのコーサ人が、暴風が吹きよせる時、丘に登って風の進路を変えるように呼びかけるのは、暴風に霊魂を認めているのではなく、暴風そのものを生き物とみなして反応しているからだ、と説明しています。

要するに、未開時代の人間は、動物や事物そのものに非人格的な威力や活力を認めたうえで、それらに情動的に反応し、驚異や恐怖、さらには尊敬や畏敬の念を抱いていた、と考えているのです。

とすれば、無意識のため息、喘ぎ、息づかいや、無意識の手振り、身振り、しぐさなどという、まさに深層言語によって、環境世界の動態を直観的に把握した識知、これこそがマナイズムだったのではないでしょうか。

このような深層言語によって、太陽や月、風や波、獣や魚などの動きを、世界を動かす動力や活力の根源と捉える観念そのものが、速やかに創り出されたのです。

深層言語こそ、マナイズムの創造源だった、と言えるでしょう。

2025年2月8日土曜日

人口減少期は次期波動の準備期!

世界人口はまもなくピークを越え、減少期に入って行きます。

人類の歴史をふりかえると、人口波動が減少から始動に移る時期には、次の波動を準備する、さまざまな事象が起こっているようです。

ル・ルネサンスのモデルとなる時代を求めて】で既に述べましたが、世界の人口波動における、過去の4つの減少期には、次のような模索が行われています。


上図は以下のように説明できます。

石器前波(Stone early waveでは、BC20000~BC10000Last pre-stone ageで、粗放石器文明から集約石器文明への橋渡しが模索されている。

石器後波(Stone latter waveでは、BC4500BC3500年のLast stone ageで、石器文明から農耕文明への橋渡しが模索されている。

農業前波(Agri early waveでは、200700年のLast ancient ageで、粗放農耕文明から集約農耕文明への橋渡しが模索されている。

農業後波(Agri latter waveでは、13501400年のLast middle ageで、農耕文明から工業文明への橋渡しが模索されている。

これらの橋渡しはどのように行われたのでしょうか。

基本的には、周りの環境世界をどのように把握したのか、つまりどのような仕組みで言語化したのか、さらにそれによってどのような識知で理解したのか、という認識プロセスの変化が行われたのではないか、と思います。

いいかえれば、人口の減少期には、新たな言語使用法を生み出すことで、環境を理解する識知を変革し、それに見合った文明を創造していった、ということです。

こうした視点に立って、とりあえずは全体的な推移を眺めておきましょう。

この図が示すのは、次のような状況です。

Last pre-stone ageには、粗放石器文明から集約石器文明への橋渡しとして、深層言語から象徴言語へマナイズムからアニミズムへの転換が模索された。

Last stone ageには、石器文明から農耕文明への橋渡しとして、象徴言語から自然・交信言語へアニミズムからミソロジーへの転換が模索された。

Last ancient ageには、粗放農耕文明から集約農耕文明への橋渡しとして、自然・交信言語から思考言語へミソロジーからリリジョンへの転換が模索された。

Last middle ageには、農耕文明から工業文明への橋渡しとして、思考言語から観念言語へリリジョンからサイエンスへの転換が模索された。

以上のような変革の推移を、時代別に眺めていきましょう。