人減先進国の社会構造を展望しています。
最も基本となる生産・分配制度、つまり政治・経済制度は、どのように変えていくべきでしょうか。
この課題については、すでに【生産・交換制度の未来を読む!】で詳細に検討していますので、以下では要点を提示しておきます。
経済人類学者のK.ポランニー(1886~1964)によると、人類が歴史的に創り出してきた生産・分配制度、つまり社会・経済のしくみには、家政、互酬、再配分、交換の4つがあります。
現代風にいいなおせば、「家政」とは個々人とその家族だけの自給自足制度、「互酬」とは家族や親族、さらには継続的な地縁・友縁などによる生活扶助制度、「再配分」とは国家による生活維持・保障制度、「交換」とは市場を通じて形成される生活構築制度ということになるでしょう。
4つの歴史を当ブログ、人口波動説の視点で振り返ると、【家政・互酬・再配分・交換の比重は変わる!】で述べたように、下図になります。
再配分では、いわゆる福祉国家による税収・年金負担と生活保護・年金給付などが拡大し、また交換では、地域や国家を超えた市場経済の拡大で、生活者の暮らしの半分以上を占めるようになっています。
しかし、工業現波が下降期に入った現代社会では、再配分(福祉国家)と交換(市場経済)の限界もまた露呈し始めています。
過剰な福祉を標榜する国家の財政破綻や、自由競争を標榜する資本主義の分配破綻など、再配分と交換の2制度についても、見直しが求められるようなっています。
とすれば、人減先進国として、人減定着に見合った日本を創り上げていくには、2制度の過剰化についてもまた、忌憚のない見直しが必要になるでしょう。
①互酬性の再建・・・【互酬性を再建する!】 一方では破壊された共同体の再建、他方では新しい共同体の構築が求められるでしょう。 ②市場経済制度の修正・・・【集約工業文明とは何か】 グローバル市場主義を超えて、国際性と国内性の調和、市場性と象徴性の調和、そして価値と効能(私的有用性)のバランスなどに配慮した、より「柔らかな」体制をめざすこと、いわば、粗放市場経済から集約市場経済への移行といえるでしょう。 |
2つの修正が的確に行われれば、アンバランス化した社会制度は、再バランス化した生産・分配制度へ向かって、もう一度歩き出すことが可能になります。
工業現波の下降期にふさわしい人減先進社会を創り出していくには、まずはこのような生産・分配制度の修正が求められるでしょう。