人減先進国、日本の未来を構想しています。
50年後、2070年に8,000万人ほどの人口を養って行くには、どれだけの人口容量が必要なのでしょうか。
その前提として、現在の人口と人口容量の関係を、経済的容量で確認しておきましょう。
まずは過去20年間の人口とGNI(国民総所得)の関係。GNI(Gross National Income)とはGNP(国民総所得)に海外からの所得を足した数値です。
①人口は2000年の12,692万人から緩やかに増加したが、2008年の12,808万人をピークに減少し始め、2020年には12,614万人まで落ちている。 ②GNI(2015年基準・実質)は、2000年の513兆円から2007年の547兆円まで増加した後、2008年のリーマンショック(世界同時金融危機)で2009年に513兆円まで落ちたものの、2018年には572兆円まで回復し、以後はコロナ禍の影響でやや減少している。 ③人口は2008年のピーク時から2020年には98%まで落ちたが、GNIは2008年から2020年までに106%伸びている。 |
以上のトレンドを見ると、GNIでは今後の回復が予想でき、人口は減少過程に入ったものの、経済的容量はなお維持されていくことが予想できます。
とすれば、人口一人当たりの容量水準は上昇していくはずですから、1人当たりGNIの動きを見ておきましょう。
①人口増加とともに、一人当たりGNIもまた2007年の335万円までは伸びたが、リーマンショックの影響で2008~2012年までは90%台に落ちている。 ②人口が減り始めた2009年以降、GNIの回復に伴って、一人当たりGNIもまた増加に転じ、2019年には451 万円、2020年には435万円にまで増えている。 ③2010年以降の推移をみると、2020年のコロナ禍を除けば、人口の減少に反比例するように、一人当たりGNIは上昇している。 |
以上のような推移から類推すると、一人当たりGNIは今後もなお維持、あるいは上昇していくことが十分に予想できます。
パンデミック後の経済停滞や人口減少の影響などで、GNIそのものの伸び率が低下することを考慮しても、おそらく人口の減少率よりも低いため、一人当たりGNIはなお伸びていく、と思われるのです。
これこそ、人口減少社会における個人と経済的容量の基本的関係ともいえるでしょう。